「冷凍玉ねぎ」を使えば、飴色玉ねぎが約5分で完成!
null沼津家の定番カレーを探るべく、作り方を聞いたところ、なんと「冷凍野菜」を使うとのこと。凍らせた玉ねぎとミニトマトを使用することで、調理の時短&美味しさアップに繋がるそう!
「野菜を丸ごと凍らせると、水分が膨張して細胞が壊れ、調理するとすぐに水分や旨味が溶け出てきます。さらに細胞が壊れているので、味が染み込みやすいのも特徴です。その性質を活かして、通常はじっくり炒めて1時間くらいかかる飴色玉ねぎが、なんと約5分で完成! カレーに加えると、味に奥行きが出て、手軽に深みが増します。
ミニトマトは凍らせておくと、面倒な湯むきが不要に。水に浸けるだけで皮がツルンとむけるので、暑い夏にわざわざ湯を沸かす手間がなく、何個か冷凍室に入れて凍らせておくと便利ですよ!」(以下「」内、沼津さん)
沼津さんは実は「冷凍」の達人でもあり、『野菜まるごと冷凍レシピ』(主婦の友社)を出版。野菜を丸ごと冷凍保存して調理に使う便利で美味しい方法は、こちらの記事も参考にしてください。
【材料】(2人分)
玉ねぎ(冷凍)・・・1個
ミニトマト(冷凍)・・・8個
にんにく(みじん切り)・・・小1片分(約5g)
合いびき肉・・・250g
カレー粉・・・大さじ2
水・・・100ml
塩・・・小さじ1/2
しょうゆ・・・小さじ1
ごはん・・・2膳分
半熟ゆで卵・・・適宜
【作り方】
(1)冷凍玉ねぎの皮をむく

丸ごと凍らせた玉ねぎをそのまま水に1分ほど浸けてから、皮をむきます。
「水に浸けて、皮の隙間に水を入れながらむくと、スルンときれいに皮をむくことができます。これで中はまだ凍ったまま、外側だけ解凍されます」
(2)冷凍玉ねぎを薄切りにする

玉ねぎの両端を切り落とし、半分に切って、根元の硬い部分を取り除きます。さらに縦半分に切ってから、繊維を断つように薄切りにしましょう。
「切るとシャリシャリ! 生の玉ねぎよりもしっとりして、飛び散りにくいんです。凍っているので玉ねぎの成分も飛散しにくいのか、切っていても涙が出ません。手に香りが移りにくいのも嬉しい」
(3)油はひかず、凍った玉ねぎを炒める

冷たいままのフライパンに油をひかず、凍った玉ねぎを入れて広げます。中強火にかけ、水分が出るのを待ち、しんなりして透明感が出てきたら炒め始めます。焦げが出てきたら、玉ねぎで削ぎ落としながら炒めてください。
「冷凍玉ねぎを使えば、すぐに水分が溶け出すため、早く水分を出すために塩を振る必要もありません。通常の作り方と違うのは、最初に油を入れてしまうと、水分が溶け出た時にはねてしまうので、油は使わずに炒めるのがポイントです。なので、今回はひき肉の脂だけ! 炒め油を使わないのでとってもヘルシーです」
水分がなくなってきたら中火にして、煙が出てきたら火を弱めます。完全に水分が飛んで、玉ねぎが飴色になったら完成です。この間、なんとたったの5分!
(4)にんにくを炒める

飴色玉ねぎができたら、みじん切りにしたにんにくを入れます。中火で炒め、にんにくの香りを玉ねぎ全体に移してください。
「炒め油を使わないので、にんにくは後から加えましょう。飴色玉ねぎに加えることで、にんにくの香りが広がります。好みでしょうがを加えても。ちなみに、ここで水、塩、こしょうを足せば、速攻オニオンスープが完成しますよ」
(5)ひき肉を焼きつけてから炒める

にんにくの香りが立ったら、ひき肉を入れ、中強火で焼きつけます。ひき肉はすぐに炒めず、しっかり焼きつけるのがポイント。広げて焼きつけ、脂を出し、ひっくり返すのを繰り返します。
「すぐに炒めると無駄な水分が出て、臭みが出やすくなります。あまりいじらず、ひき肉の脂を先にしっかり出して焼きつけてから、混ぜることで美味しさアップ!」
ひっくり返した際に、ひき肉が少し焦げていればOK。プチプチと音がしてきたらひき肉の脂がしっかり出て温められたサインです。
「今回は脂を使わないので、ひき肉から出た脂を全体にしっかり混ぜ合わせてください。時短で作れますが、焼きつけはしっかり丁寧に行うことで、より深みのある本格的なカレーに仕上がりますよ」
(6)カレー粉を入れる

カレー粉(大さじ2)を入れます。
「好みのスパイスを追加してもOK。辛いのが苦手な人は、ガラムマサラがおすすめです」
(7)冷凍ミニトマトを入れる

カレー粉がなじんだら冷凍したミニトマトを入れます。一度火を止め、水を張ったボウルに凍ったミニトマトを入れると、皮がツルンと気持ちよくむけます。皮をむき、ヘタを取ったら、そのままフライパンの中に入れてください。
「水に浸けるだけで簡単に皮がむけるから、湯むきの手間が不要。ミニトマトは凍らせておくと、好きな個数だけ使えて便利なんです」
(8)中火で5分ほど煮込む

中火にかけて全体がなじんだら、水(100ml)を入れ、ふたをして冷凍ミニトマトがやわらかくなるまで、5分ほど煮込みます。
「冷凍ミニトマトから水分が出るので、水は少量で充分です」
(9)塩としょうゆで味付け

5分経ったらミニトマトを潰し、塩(小さじ1/2)、しょうゆ(小さじ1)を入れ、全体を混ぜ合わせ、2分ほど煮込みます。
(10)できあがり!

2分ほど煮込んだら完成です。器にごはんと共に盛りつけ、お好みで半熟ゆで卵を添えましょう。ちなみに、沼津さんの半熟ゆで卵のゆで時間は、沸騰した湯に卵(冷蔵庫から出してすぐのもの)を入れ、6分半~7分が目安です。また、なすやズッキーニ、パプリカなどを焼いて添えると、夏野菜もたっぷり摂れます。
食べてみると、しっかり煮込んだ深みのある味がして本格的! 煮込む時間は7分程度ですが、まるで2日目のカレーのようにこっくりと濃厚です。調味料もカレー粉、塩、しょうゆと至ってシンプルなのに、複雑な旨味を感じるのは、冷凍野菜のパワーかも! 飴色玉ねぎのコクと旨味、ミニトマトの酸味と旨味がじんわりとけ込んでいるのを感じます。さらに油を一滴も使っていないので、くどさがなくてお腹にもたれず、体が元気になるカレーです。
「先日、このキーマカレーを私の料理教室で紹介したところ大好評でした! チーズをのせてドリアにしたり、もっと炒めてドライカレーにしたり、アレンジしても◎。飴色玉ねぎの作り方を覚えておけば、オニオングラタンスープやハヤシライス、ビーフストロガノフなどにも使えますよ」
早速、作ってみたところ、飴色玉ねぎのスピード感に驚き! ひき肉を炒める時のコツも分かり、焼きつけるようにして焼くと、通常よりもベチャッとせず、さらに今回は炒め油を使っていないので、とってもヘルシー。コトコト煮込まずに旨味たっぷりの極旨カレーがこのスピード感でできるのは夏にいいかも! 私は好みでクミンやコリアンダー、ガラムマサラを足したので、手軽にスパイスカレー感が出ました!
各家の冷凍室のスペースもあるかと思うので、まずは玉ねぎとミニトマトは下ごしらえのひとつとして少しずつ冷凍しておくのがおすすめとのこと。ぜひ本格的な旨味たっぷりのカレーを試してみてください。
取材・文/岸綾香
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料理研究家・管理栄養士の沼津りえさんによる“ごま油で「いつものごはん」をもっと楽に、もっと美味しく”するレシピ集。パパッと作れる小鉢、メインになる肉や魚のおかずからごはんや麺まで、全98レシピを掲載。

料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『ごま油さえあれば さっぱりもコク旨も、いつもの家ごはん98』(小学館)、『マンガでわかった! ラクしておいしい作りおき』(主婦の友社)、『からだとこころがととのう滋養菓子』(日東書院本社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu YouTube 管理栄養士 沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」