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今年こそ、「梅干し」を手作りしよう!失敗しない「干し方」を全解説【干し方編/ちょこっと漬け#76】

kufuraの連載「ちょこっと漬け」でおなじみの料理研究家・沼津りえさんに教えてもらう「梅干しの干し方」。今回は後半の干し方から完成まで、を教えてもらいました。

沼津さんが毎年開催する梅干し教室は大盛況! そんな沼津さんのレシピをぜひ「漬け方編」と併せてチャレンジしてみてください。

梅雨明けを待って、3日間続けて天日干しにする

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前回教えてもらった「梅干しの漬け方」はこちら。梅が出回る6~7月頃の熟したものを使います。

今年こそ、「梅干し」を手作りしよう!失敗しない作り方【漬け方編/ちょこっと漬け#33】

6月頃に漬けた梅干しは、4週間以上漬けてから天日干しにします。梅雨が明けたら、7月中旬以降、晴天の続く日を選び、3日間続けて天日干しにするのが基本です。

「天日干しには殺菌効果があり保存性が高まるうえ、梅干しの味も濃縮されておいしさも増します。梅干しをおいしく仕上げるために、干すことも大事な仕事なんです」(以下「」内、沼津さん)。

それでは、干し方のポイントを動画で分かりやすく解説していきます。今回は、赤しそも一緒に漬ける「赤しそ梅干し」を中心に見ていきましょう。(※映像は2020年に撮影したものです)

【作り方】

(1)4週間以上漬けた梅干しをザルに並べる

梅雨が明けたら、まずは天気予報を参考にして3日ほど晴天が続く日をチェック。干す日を決めたら、4週間以上漬けた梅干しをザルに並べます。

「漬けている間は、1日1回、瓶を振って全体をなじませ、表面にラップをのせておくと梅が乾燥するのを防げます。大切なのは、最低でも4週間は漬けてから干すこと。例えば、漬け始めるのが遅かったため、梅雨明けしてもまだ4週間経っていなければ、梅雨が明けたからといって慌てて干さなくてOK。4週間漬ける方を優先してください。漬けた日を忘れないよう、ふたなどにラベリングしておくといいですよ」

表面のラップを外し、清潔な箸を使って赤しそを取り出してから、ザルに梅干しを並べていきます。この時、梅干し同士がくっつかないように並べるのがポイントです。

「箸で梅を破くと、梅がザルにくっつくので注意して。破かないよう丁寧に優しく扱ってくださいね」

赤しそも一緒に天日干しにするので、ザルにあげて梅酢をしっかり絞ります。よく乾燥するように手でギュッと絞って、できるだけ薄くザルに広げてください。梅酢は再び瓶に戻しておきます。

ちなみに、「関東干し」の場合は、赤しそが入っていないので梅だけ干します。

(2)【天日干し/1日目】日光がよく当たる場所で干す

午前9時から午後3〜4時を目安に、日光がよく当たる場所に置いて干します。梅は1日に1〜2回上下を返すのがベストですが、日中、梅干しの上下を返す時間がない人は、翌日干す時に上下を返せばOKです。

今回は大きめのザルに並べて干しますが、以下のような方法もあるので、干せる環境や自分のスタイルに合わせて干し方は選んでみてください。

ホコリが気になる人は、ふた付きのザルがおすすめ。
ベランダに干す人は、吊るすタイプの干しネットが便利!
網の上にペーパーを敷いて、バットの上で干してもOK!

午後3〜4時を目安に、家の中に入れます。部屋の中に置いておく時は、ふきんをかけておくと衛生的です。

(3)【天日干し/2日目】だんだんシワが寄ってくる

2日目も同じ時間に外に出し、天日干しにします。2日目になると梅干しにだんだんシワが寄って、水分が抜けてきます。

「2日目になると、赤しそもカラカラに乾燥してきます。赤しそは天日干し後、さらに電子レンジで水分を飛ばしてもいいですよ」

(4)【天日干し/3日目】表面が乾くまで干したらOK!

いよいよ3日目。最終日は、梅酢も一緒に干します。瓶のふたを開けて、ペーパーを挟み、日当たりのよい所に置きましょう。梅酢も干すことで、梅酢も殺菌されて保存性が高まります。

最後は梅干しの表面をチェック。シワが寄って、表面が乾燥していたらOKです。

「干しすぎると水分が抜けて皮が硬くなり、塩が浮いてしまいます。なので、厳密に必ず3日干さなくてもよいので、干し過ぎないように梅の表面を見ながら判断してください」

これで天日干しは終了です!

(5)再び、漬ける

【赤しそ梅干しの場合】

梅酢も干して温まっているので、梅酢が温かいうちに、干した梅を再度戻し入れます。この時、梅を傷つけないよう優しく戻してください。天日干しにしてしっかり乾燥させてから梅酢に戻すことで、ふっくらおいしい梅干しに仕上がります。

この時、沼津さんは梅酢は半量だけ、別の瓶に移しておくそう。

「梅酢は料理に使ってもおいしいので、半量だけ別の瓶に移しておきます。お肉を焼いたり、卵を漬けたり、ピクルス液にしたり……色も鮮やかでいろいろな料理に使えますよ!」

同様に乾燥した赤しそも半量だけ梅酢に戻し、残りはこの後ふりかけにします。

梅酢に梅と赤しそを戻したら、ふたをして瓶を振り、全体をなじませます。最低3カ月、このまま室温に置いてください。

「3カ月経てば食べられますが、1年置くと塩味と酸味がなじんでまろやかな味になり、もっとおいしくなりますよ」

【関東干しの場合】

赤しそを入れない「関東干し」の場合は、干した梅は梅酢には戻さず、別の清潔な保存瓶に入れ、3か月ほどそのまま室温に置きます。

「関東干しは赤しそが入っていないので、梅酢には戻さなくてOKです」

(6)できあがり!

3カ月〜1年置いて、おいしい梅干しに仕上がるのを待ちましょう!

【おまけ】赤しそふりかけの作り方

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沼津さんは乾燥した赤しそをすべて梅酢に戻さずに、半量はふりかけにして楽しむそう。

作り方は簡単で、乾燥した赤しそをミルで細かく粉砕するだけ。もし乾燥が足りない場合は、電子レンジで乾かしてから粉砕するとよいそうです。

「手作りの赤しそふりかけはピュアなおいしさで、ごはんにかけると最高ですよ!」

以上、梅干しの「干し方編」でした。保存食が見直されるいま、手仕事を楽しみながら、自分で漬けた梅干しのおいしさをぜひ味わってみてください。

【取材協力】

沼津りえ

料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『低糖質だからおいしい!「おやつ&スイーツ」』(K&M企画室)、『野菜まるごと冷凍レシピ』(主婦の友社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu

 

取材・文/岸綾香

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