とにかく皮までこんがり香ばしく焼くのがポイント!
null夏のなすもおいしいですが、古来より美味といわれている「秋なす」。夏は強い日光を浴びるため、皮が厚く、ギュッと実の詰まった食べ応えのあるなすに育つのに比べ、秋は昼と夜の寒暖差が激しくなるため、水分を多く含み、皮がやわらかくてみずみずしいなすに育つそうです。そのため、ジューシーさを楽しみたい焼きなすに、秋なすはぴったりなんです。
「焼きなすの魅力は、なんといってもトロトロの食感と香ばしさ。レンジで加熱したり、フライパンで炒めたのでは味わえない、香ばしい香りもごちそうです。網の上でコロコロ転がしながら火で焼くのは大変ですが、家庭なら魚焼きグリルを使って十分おいしい焼きなすが作れますよ!」(以下「」内、沼津さん)
手間のかかるイメージが強い焼きなすですが、実は魚焼きグリルにお任せでちょっと贅沢な一品ができるんです。早速、作り方をチェックしてみましょう。
【作り方】
(1)なすの下準備をする
まずは、なすの下準備から。ヘタは焦げやすいので、包丁でぐるっと1周切り込みを入れ、ヘタの先は取り除きます。さらに破裂しないよう、なすの下部分の先端を少しだけ切り落とします。皮をむきやすくするため、縦に4本筋を入れたら下準備の完了です。
「こうしておくと、焼いた後に皮がむきやすくなります」
(2)魚焼きグリルで焼く
なすを魚焼きグリルに入れ、強火で10分ほどこんがりと焼きます。10分経ったらトングなどで挟んで、なすがやわらかくなっていればOK!
「魚焼きグリルが片面焼きの場合は、途中でひっくり返してください。焼き時間はなすの大きさに合わせて調整してくださいね」
(3)粗熱を取り、皮をむく
焼き上がったら水にはさらさず、このまま粗熱を取ります。
「このとき早く冷ましたいからといって、水には絶対入れないこと。水に入れると水っぽくなるので、せっかくの焼きなすが台無しですよ!」
粗熱が取れたら、いよいよ皮をむきます。中は熱いので火傷に注意して、指を冷やすために水を入れたボウルを用意しておくと◎。楊枝で皮の端をひっかけると、スルッと簡単にむくことができました。
「冷めると皮がくっついてむきにくくなるので、完全に冷める前に粗熱が取れた段階ですぐにむきましょう。焼きが足りないと皮がむきにくいこともあるので、皮が真っ黒になるまでしっかり焼くのがポイントです」
(4)できあがり!
皮をむき終わったらヘタを切り落とし、食べやすい大きさに切って、好みでしょうゆとかつお節をかけたら完成です。
ひと口食べると、トロットロ〜! 口の中でなすがとろりと溶けるようです。こんがり焼くことで余分な水分が蒸発して、なすの旨味と甘味がギュッと凝縮され、さらに香ばしい風味がますますおいしさを引き立てています。魚焼きグリルで焼いただけなのに、「秋なすって、やっぱり美味……」としみじみ噛み締めてしまう、上品で贅沢な逸品に仕上がりました。
「魚焼きグリルに入れて焼けばいいだけなので、本当にお手軽。しっかり焼けば、皮も簡単にスルスルッと気持ちよくむけますよ。まずはやっぱりシンプルにしょうゆとかつお節で味わってみて。好みで大根おろし、七味唐辛子やラー油をかけてもいいですね」
まさにこれだけでごちそうになる一皿。秋の晩酌のお供にも最高です。ぜひ、秋なすのおいしい季節に試してみてくださいね!
取材・文/岸綾香
【取材協力】
沼津りえ
料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『55分焼きたてパン 粉100gの食べきりレシピ。手も道具も汚さずパパッとかんたん』(主婦の友社)、『野菜まるごと冷凍レシピ』(主婦の友社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu YouTube 管理栄養士 沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」