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まさるさん直伝!昔ながらの「ライスカレー」は薄力粉を炒めて作る優しい味【小林まさみ&まさるのお助け食堂#9】

人気の料理研究家 小林まさみさんと、シニア料理研究家としても活躍する義父でアシスタントの小林まさるさんが、日々の料理の悩みを楽しく解決する連載企画。

夏はやっぱりカレーの季節! ということで、まさるさん直伝の「ライスカレー」を懇切に教えてもらいました。

薄力粉を炒めて作る懐かしい味。隠し味はコーヒーとバター

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今回はまさるさんが主役! カレーを作るときは1日かけて作るというほど、カレーにこだわりを持つまさるさん。そこで、kufura編集部から「まさる流ライスカレー」をリクエスト。特別に作り方を教えてもらいました。

「俺が子どもの頃、カレーはごちそうだったから、カレーの日はうれしかったね! カレーに肉を入れるのは贅沢で、俺は北海道育ちだから、さんま、さば、いか……魚でカレーを作るんだよね。缶詰で作ってもいいし、貝で作ってもだしが出てウマイよ! 帆立貝やホッキ貝で作ってもいいね。

昔のお母さんは、いまみたいに市販のカレールウなんてなかったから、小麦粉を炒めてカレールウを自分で作っていた。俺のライスカレーも同じように作るんだ。粉っぽさをなくすために、薄力粉は茶色く色づくまでしっかり炒めるのがポイントだよ」(以下「」内、まさるさん)

まさるさんのライスカレー、聞いているだけでおいしそう! 早速、作り方を見てみましょう。動画では、まさるさんの愉快なカレートークもぜひお楽しみください!

【材料】(2人分)

じゃがいも・・・1個

玉ねぎ・・・1個

にんじん・・・小1/2本

豚バラ薄切り肉・・・150g

薄力粉・・・大さじ5

カレー粉・・・大さじ1

水・・・3/4カップ、3カップ

サラダ油・・・大さじ1

鶏がらスープの素(顆粒)・・・小さじ1

塩・・・小さじ1〜小さじ1と1/2

インスタントコーヒー・・・小さじ1/2

バター・・・10g

ごはん・・・2皿分

らっきょうの甘酢漬け・・・適量

福神漬け・・・適量

【作り方】

(1)野菜と豚肉を切る

じゃがいもは小さめのひと口大、玉ねぎは薄切り、にんじんは小さめの乱切り、豚肉は3cmくらいに切ります。

「豚肉はバラ肉がおすすめ。バラ肉だと早く火が通るし、旨味もたっぷり!」

(2)薄力粉をしっかり炒める

小さめのフライパンに薄力粉を入れ、中火で3分ほど炒めます。焦げそうになったら、火を弱めながら、ほんのり茶色く色づくまで炒めてください。

「粉っぽさをなくすために、薄力粉はしっかり炒めるのが大切! 茶色く色づいたら火を止めて、余熱で30秒ほど炒めてボウルに取り出します。途中でダマになったら、ヘラで潰すとうまくいくよ」

「黒砂糖みたいな色だね」とまさみさん。おいしいカレーを作るため、茶色くなるまで根気よく炒めてくださいね。

(3)調味料を加えて、カレールウを作る

よく炒めた薄力粉にカレー粉を入れて混ぜ合わせ、水(3/4カップ)をダマにならないよう少しずつ入れていきます。

「辛いのが好きな人は、ここに一味唐辛子を入れて辛くしてもいいね。これでカレールウの完成です!」

(4)玉ねぎを炒める

深めのフライパンにサラダ油を強めの中火で熱し、玉ねぎを入れて、薄いきつね色になるまで5分ほど炒めます。途中で焦げそうになったら、中火にしてください。

「玉ねぎはカレーのウマさを底上げしてくれる野菜。じっくり炒めると甘味とコクが出て、グッとおいしいカレーに仕上がるよ」

(5)豚肉、じゃがいも、にんじんを炒める

玉ねぎが色づいたら、豚肉を入れて炒めます。豚肉は後からまた煮込むので、ほぼ色が変わればOK。さらにじゃがいも、にんじんの順番で加え、油が全体に回るまで炒めます。

(6)野菜がやわらかくなるまで煮る

全体に油がなじんだら、水(3カップ)、鶏がらスープの素を入れ、ふたをして野菜がやわらかくなるまで中火で10分ほど煮ます。

途中で沸騰したら火を弱くして、アクが出たらアクを取り除きましょう。野菜がやわらかくなったら、塩で味を調え、火を止めます。

「ここまで来たら、あともう少し! これにルウを入れるとちょうどいい味になるよ」

(7)カレールウを入れる

火を止めたまま、カレールウを入れて軽く混ぜ、再び中火にかけます。

「このとき、カレールウに少し煮汁を入れて溶くと、ダマになりにくいよ」

(8)インスタントコーヒー、バターを入れる

ここで最後に隠し味のインスタントコーヒーとバターを投入!

「インスタントコーヒーを入れるとグッと深みが増して、簡単に本格的な味になるんだ。バターを入れると風味とコクがアップ。酸味が好きな人はヨーグルトを入れてもいいね」

(9)できあがり!

器にごはんと一緒に盛り付け、好みでらっきょうと福神漬けを添えたら完成です。これぞ、まさに「ザ・ライスカレー」!

ひと口食べると、どこか懐かしいホッとする味。口の中でほんのり香ばしいカレーの風味が広がります。豚肉や玉ねぎの旨味がじっくり溶け込んでいるので、奥深い味わい。さらに、隠し味で入れたインスタントコーヒーが、味に重厚感を出しています。いろいろなカレーがありますが、こういった素朴で懐かしいカレーには、逆になかなか出逢えません。

まさみさんも「昔ながらのやさしいカレーだね!」と太鼓判。

「こういうカレーもいいだろ。まさみちゃんと一緒に食べに行ったインドカレーもウマくて感動したね! そのとき俺は70代で、初めてインドカレーを食べたんだ。カレーが嫌いな人っているのかなぁ? 俺はカレーの日は拍手して喜んじゃうよ!」

どこか懐かしくて癒される、まさるさんのライスカレー。マイルドなやさしい味わいで、子どももOK。市販のカレールウが当たり前の時代だからこそ、ぜひ一度、この奥深い味わいを堪能してみてください。

次回は、「油揚げ」を使った、ボリューム満点の「餃子」をご紹介します。

【取材協力】

小林まさみ

料理研究家。結婚後、会社勤めをしながら調理師学校に通い、料理研究家を目指し、料理愛好家 平野レミさんのアシスタントなどを経て、独立。誰でも作りやすく、家庭的なアイディアあふれるレシピにファンが多く、テレビや雑誌、書籍、企業のレシピ開発、料理教室など、幅広く活躍。自身のオンラインショップ『台所用品と食「暮らしの仲間」』では、おすすめの台所用品や各地から厳選した食材、小林まさるの瓶詰め『まさる漬け』などを販売。料理本は『切りおき』(小学館)など著書多数。Instagram@kobayashimasami.masaru

小林まさる

昭和8年生まれ。小林まさみの義父。定年後70才から小林まさみの調理アシスタントを務める。78才でシニア料理研究家として活躍。長年料理をしてきた経験から、冷蔵庫の中にある食材でパパッと作るアイディア満点の家庭料理やおつまみが得意。著書に『人生は棚からぼたもち!』(東洋経済新報社)など。

 

取材・文/岸綾香

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