「“三枚肉”とも呼ばれる豚バラ肉のかたまり肉は、赤身と脂身の層が美しく整っているものをお使いください。とろけるようにおいしく仕上がります」
nullばぁばといえば「煮もの」。おだしと調味料の絶妙な加減でこっくりと、ご飯がすすむばぁばの煮ものの秘密は、食材の丁寧な下ごしらえにあります。
「大根は面取りをして、お味がしみやすくなるように忍び(隠し)包丁を入れます。それからお米のとぎ汁で下ゆでします。とぎ汁を使いますとね、大根のアクや苦味が抜けてお味もさらにしみやすく、しかし、煮崩れはしにくくなります。あとはちょこちょこいじらないことよ。時間がきちんとおいしくしてくれますからね」(ばぁば)
「大根と豚バラ肉のやわらか煮」の作り方
null材料(6人分)
大根 1/2本(約600g)
豚バラかたまり肉 200g
しょうが 1片
米のとぎ汁 適量(大根がかぶるくらい)
だし 3〜4カップ
酒 大さじ3
砂糖 大さじ3
みりん 大さじ2
しょうゆ 大さじ3強
絹さや 8枚
作り方
(1)大根は3cm厚さに輪切りにし、皮をむく。面取り(切り口の角を薄くそぐこと)をし、真ん中に包丁で十文字の忍び包丁を入れる。
(2)大根を鍋に入れ、米のとぎ汁を加えて火にかけ、大根に竹串がすっと通る程度までゆでる。
(3)豚バラかたまり肉は、7〜8mm厚さに切る。深さのある鍋にゆでた大根、豚バラ肉を入れてだしを注ぐ。薄切りにしたしょうがを入れ、酒、砂糖、みりん、しょうゆを加える。中火にかけ、アクを取りながら豚バラ肉に火が通るまで煮る。
(4)大根と豚バラ肉を器に盛って煮汁を少量かけ、さっとゆでた絹さやを添える。
PROFILE
鈴木登紀子(すずきときこ)
日本料理研究家。1923年11月に青森県八戸市に生まれる。46才で料理研究家としてデビュー。東京・武蔵野市の自宅で料理教室を主宰するかたわら、テレビ、雑誌等で広く活躍。『きょうの料理』(NHK・Eテレ)への出演は、50年近くになる。『ばぁば92年目の隠し味』(小学館)はじめ著書多数。