知ってますか?洗濯洗剤の種類と使い分け
null毎日のように使う洗濯用洗剤ですが、今の洗剤に決めた理由はなんでしょう。値段、形状、CMでみたブランドだから、それとも……?
今回お話を聞いたのは、洗濯家として活動する中村祐一さん。長野県のクリーニング店の3代目で、“洗濯アドバイス”という分野を切り開いたパイオニア。“つくられた服を、より長く愛用していく”ための洗濯術を、広く紹介されています。
洗濯洗剤は「3つの種類」に分けられる
null中村さんによると、洗濯用の洗剤は大きく3つのタイプに分けられるそう。なんとなく……で、選んだものを使い続けてる人も多いと思います。でも、洗剤はその形状によって、効果や特徴がかなり違うものなんです。では、それぞれの特徴は……。
「まず1つ目は“粉末洗剤”。これは洗浄力が強く“白いものを白く仕上げる”のに最適。例えばワイシャツやTシャツ、子どもの体操服、タオルや肌着も白さを保ちながら洗うことができます。
次に“液体洗剤”。現在はコレを使ってる人が多いかもしれませんね。液体洗剤は、粉末洗剤に比べて一般的に“色落ちがしにくい”ので、色物を洗濯するのにも向いています。
3つ目は“おしゃれ着用洗剤”。ウールのセーターを手洗いするなどデリケートなアイテムを洗濯するのに適しています。素材の風合いとか色合いに影響が出にくく“素材を守る”のが特徴」(中村さん。以下「」内同)
粉末洗剤と液体洗剤。“粉と液体”というカタチの違いだけではなく、実はその成分にも違いがあるんだそう。
「液体」と「粉末」では成分も違う
null粉末洗剤と液体洗剤。なんとなく、粉を液体状に使いやすくしたものが“液体洗剤”と思っていたのですが、それは間違いでした! 実は、その“成分”にも、明確な違いが。
「一般に、粉末洗剤は“弱アルカリ性”のものが多く、液体洗剤は“中性”のものが多いんです。この違いが、“汚れ落ち”に直結してきます」
暮らしの中での汚れ、たとえば、汗・皮脂・食べこぼしなどは“酸性の汚れ”と言われてます。
ですので、粉末洗剤で洗うと“酸性の汚れを弱アルカリ性の洗剤で洗う=中和して落とす”という仕組みになり、中性の洗剤より“汚れが落ちやすい”ということに。
まずは「服を壊さない」ことを前提に考えて!
nullこのそれぞれの特徴を知った上で、洗剤はできれば3種類を使い分けたいところ。子供の体操着は汚れが落ちやすい粉末で、自分の柄ワンピースは色あせのことも考えて液体洗剤で……といった具合でしょうか。
ただ、そんなに何種類も揃えられない、という場合、どれを選べば?という質問に、中村さんはこんな風に教えてくれました。
「洗剤の使い分けが難しく、洗剤を1種類に絞るなら“おしゃれ着用洗剤”を使うのがいいと思います。あくまでも基準を“一番弱い衣類”に合わせて考えてください。
洗濯になると、汚れを落とすことにフォーカスしてしまうけれど、まずは“服を壊さない”を前提に考えなければいけません。汚れは落ちても、色が落ちてしまった、縮んでしまった、気に入った風合いがなくなってしまったなど、着られなくなってしまっては、意味がないですから」
もちろん、これは家族構成や“どんな汚れが多いか”にもよります。ただ、子どもの泥汚れや食べこぼしが多い場合などをのぞけば、おしゃれ着用洗剤でも大抵の汚れは問題なく落ちるし、衣類の傷みは少なくなるので、洋服は長持ちします。
さらに、すぐにできるこんな工夫も教えてくれました。
「ただ、どんな洗剤を使うかより、汚れ落ちに一番効果があるのは“40度のお湯で洗うこと”です」
やはりお湯の力はすごいんですね! 汚れ落ちが気になるなら、今の洗剤で、40度のお湯洗い、一度試してみてください。
汚れが落ちないときは「3つの量」が合ってない!
null汚れがイマイチ落ちてない! そんな人が一度見直してほしいのが“3つの量”だそうです。
「それは、“衣類の量”“水の量”“洗剤の量”です。
今は、洗濯機の大きさに対して、服を入れすぎている人がほとんど。節水モードのある洗濯機も多く、衣類に対して水の量が少ないことも。
洗剤の量は、衣類と水の量に対して決まってくるので、そこがずれると洗剤の量も変える必要が。一度、意識的に入れる衣類の量を減らして、逆に水の量を増やしてみてください。洗剤は水に合わせた規定量を入れる。こうすることで、汚れが落ちる前提が整います」
洗濯機に入れる衣類の目安として、ドラム式洗濯機は衣類が乾いた状態で、洗濯槽の半分くらい。縦型の場合は、洗濯槽の7〜8割くらいを上限に、とのこと。どちらもしっかり衣類が隠れるくらいの水で洗うのがポイントなんだそう。
漂白剤と柔軟剤、効果的な使い方は?
null柔軟剤や漂白剤。こちらも色々な種類があって、使い方に迷ってしまいますが……。
「漂白剤や柔軟剤は、基本的に使わなくても良いものなんです。
漂白剤は色落ちや変色の原因にもなります。まずは通常の洗濯をして、それでも残ってしまった場合に使う、というような使い方を。
また最近は、柔軟剤を香りづけや嫌な匂いを隠すために使用する人も多いよう。ただ、 しっかり汚れが落ちていれば嫌な匂いも残りません。本来、柔軟剤は、衣類を柔らかくするのがメインの働き。衣類のごわつきが気になるときに、また静電気防止にもなるので冬場に使うというように、毎回ではなく必要な時にだけ使ってあげてください」
今は漂白剤入り洗剤や柔軟剤入り洗剤など、複数の効果がある商品も多い。ただ、できればシンプルな働きのものを選び、それぞれの特徴を知った上で、“今回の洗濯に必要なのはコレ”と、使い分けられるといいようです。
いかがでしたか。
“必要な効果のものを、必要な分だけ使う”。汚れはきちんと落としながら、大切な衣類も傷めず長持ちさせるための洗濯の方法、考えていきたいですね。
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文/古橋 祐也
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その日の放送内容を、山中タイキさんが自身の言葉で綴っている番組のインスタグラム( @kuraseeds813)も読み応えたっぷり。
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