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60歳でたどりついた「片付けルール」。完璧を目指さず「まっいいか」で快適さを保つコツは?

60歳を迎えても「イキイキしていて、なんだか楽しそう!」といつも周囲を明るくしている、人気ヘア&メークアップアーティストの山本浩未さんに、歳を重ねても、無理なく楽しく暮らしていくコツを教えていただきました。
山本さんの「今」をまとめた一冊『60歳ひとりぐらし 毎日楽しい理由』(小学館)よりご紹介します。

ルールはあくまでも「ゆるーく」つくる!

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ひとりぐらし歴 40年以上の私が、自分を整えるためにひとりの時間をどう楽しんでいるか、ちょっとお話ししましょう。それは「いちおうルールをつくる」というか「つくってみる」です。いちおうがミソ。

ざっと言うと、部屋の片づけはきちんと整えてるところとゴチャッとしても大丈夫なところを分けている。昔はきちんと整とんされた部屋が好きで頑張っていたけど、これが面倒になってきた。今は、きちんとしたいところだけしてればいいってゆるくなっています。

水まわりは「きちんと整とん」エリア。

基本、人目にふれるところはきちんとする。ふれないところは気にしない。玄関、水まわり、室礼(しつれい) をするところ、インスタライブをするところ。ここはきれいにするようにしています。

家事のルールも“いちおう”決めています。「土曜日はシーツ類を洗濯する」「新月の日には歯ブラシと洗顔のタオルを替える」「20日はシャワーのカートリッジを交換する」みたいな感じです。

快適な状態をキープできるのはもちろん、ひとりぐらしの中にリズムをつくれるのもいいんです。こちらもいちおう。ちゃんとできなくても自分をせめたりしない。「まっいいか」と思ってね。

「おままごとセッティング」で自分を楽しませる

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そして、家でごはんを食べるときはひとりであっても、お気に入りの器をコーディネートしていただきます。残り物や買ってきたお惣菜でも、器にいったん盛る。ちょっとおままごとみたいな感覚で楽しんでいます。

ひとりでお茶を飲むときも茶器にこだわったりして、自分を楽しませてます。

素敵な人のインタビューやエッセイを読んで感じるのですが、きちんとした作法や姿勢でひとりの時間を楽しむことが、その人の雰囲気をつくっている気がします。ひとり時間の質感みたいなものが、その人のふだんの佇まいに滲み出ることって確実にある。だから、私も“おままごとセッティング”を楽しんでます。

ひとりの時間を、ただなんとなく過ごすのではなく、“ごっこ遊び”のように、テーマや筋書き、設えや道具などにこだわってみる。“なんとなく”だった時間にストーリーが生まれて、ひとりの時間をもっと楽しむことができますよ。

人に頼る、甘える!お互い得意なことをシェアしあえる関係を

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自分を整えていく作業として、次にやりたいのは、“あきらめること”や“誰かに頼ること”を見極めていく。50代を経て実感しているのは、無理しちゃいけない、過信しちゃいけないっていうことです。

私、けっこう無理がきいたりするんですが、やっぱりその後必ずダメージがくる。年齢って正直ですね。「もう今までとは違うんだ」って痛感すること……ほんと多いです。そんなイタい経験をもとにして、ちょっとずつ、「私はここまで」「これ以上やると後でたいへんなことになる」っていう予測がつくようになってきました。

例えば、仕事や予定、食事、運動、人との付き合い。今までだったらできたんだから、と少しキツイかなと思っても、「できる!」ってやっていたんです。が、やっぱり無理。

自分にできる範囲でがんばる。それが結局、自分のためってだけでなく、周囲のためでもあるんですよね。

で、できないところは、私はもうとにかく甘えられるところは周りに甘えています。無理してやらずに、それができる人がいればお願いする。人に頼ったり甘えたりっていうことをどんどんやっていく。そのかわり、自分にできることや得意なことは快くする。そんなふうに、好きや得意をシェアし合う。

シェアし合うことは、感謝する気持ちをベースにしたコミュニケーションなのだと。これって“今ドキ”ですよね。あともうひとつ、プロに頼るっていうのも賢い手段だと思います。

キレイをつくる美容やファッションについてはとくにオススメです。もちろんコスパが合うのが条件ですけどね。

「どうしても眉がうまく描けません」という人は、眉サロンに行ったりアートメイクを入れたり、プロの手を借りて日々の眉メイクのわずらわしさから解放されればいい。おしゃれが苦手なら、自分に合ったコーディネートを提案してくれるパーソナルスタイリストにお願いしてみるという手もある。

だって何十年やっても苦手だったのだから、そこに時間をさくのももったいない。無理して全部ひとりでがんばらなくていい。自分の力量を見極めて、できないことはそれが得意な人やできる人に甘えたり頼ったり。60歳からは自分にやさしく生きてよいと思うのです。

(写真/『60歳ひとりぐらし 毎日楽しい理由』より)

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山本浩未さんのお宅に伺うと、なによりそのホスピタリティに嬉しくなってしまいます! 満面の笑顔で来客のコートを預かり「何か飲む~?」と声をかけるやいなや、冷蔵庫に向かう。

玄関に飾られているお花、食卓や飾り棚のしつらい……どれも、浩未さんの審美眼にかなったものばかりでワクワク。そんな、一見完璧に整えられているように思える暮らしぶりですが、「きちんと整えるところ」と「ま、いいか、と目をつむるところ」を分けているからこそ、キープできている、と山本さん。

かつての完璧主義を少しずつ卒業、60歳を迎える今は、周りの方たちに甘えたり頼ったりも増えたという山本さん。「好きや得意をシェアし合う」という周囲の仲間たちとの関係、私たちもお手本にしたいものだなあ、と思いました。


 

『60歳ひとりぐらし 毎日楽しい理由
家族がいてもいなくても、自分=ひとりで楽しめるヒント』
(山本浩未/著 1,650円・税込 小学館)

「自分を心地よくできるのは自分だけ!」という山本浩未さん。ホルモンに翻弄されたという50代を経てたどりついた、自身の心地よい暮らし方の工夫を、わかりやすく教えてくれる一冊。

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