寒さが厳しいN.Y.発祥のホットドリンク
nullりんごとりんごジュースを、柑橘類やスパイスと煮込んで作る「アップルサイダー」。真冬は温度計がマイナスをさす日も珍しくないN.Y.発祥の、ホットドリンクなのだとか。
日本では、世界中のおいしいものを紹介する『DEAN & DELUCA』が、毎年ホリデーシーズン限定で販売。人気を集めています。ちょうどりんごがおいしいシーズンです。『DEAN & DELUCA』のメニュー開発を担当する酒井杏子シェフに、家庭で作りやすいレシピを教えてもらいました。
ジュースはリーズナブルでOK、傷のついたりんごも活用
nullおいしく作るためには、材料選びにポイントがあります。
「ジュースは、果汁100%ならどんなものでもOK。スパイスやフルーツと一緒に煮込むので、果肉の入っていない澄んだタイプがおすすめです。
煮込むりんごは、旬を過ぎたり傷のついてしまったもの、熟れたものでも大丈夫ですよ。そもそもアメリカでは、傷んだり形の悪いりんごをアップルサイダーに活用していました。香りと甘さを加えるため一緒に煮込むので、多少傷があってもおいしくいただけます」(以下、「」内酒井さん)
スパイスは、できる限り全て用意しましょう。
「アメリカのパンプキンパイやホットワイン専用スパイスなど、その料理のおいしさを引き出すために欠かせないスパイスの組み合わせがあります。『アップルサイダー』の場合は、シナモンとプラスαのスパイス。たとえば、ジンジャー、スターアニス、クローブ、キャトルエピス、オールスパイスなどを加えます。
中でもジンジャーは、体が温まるのでおすすめ。パウダーでも、生のものをすり下ろしたりしても構いません。
必ず用意していただきたいのは、シナモン。パウダーと、ゆっくり香りを出すためのシナモンスティックも使います」
りんご以外に加えるフルーツは、家庭にあるものでアレンジしてもよいそうです。このアレンジが、アップルサイダーの楽しいところ。
「アップルサイダーはそもそも、アメリカ人の“自由に楽しんでみよう!”というマインドが詰まった飲み物です。『DEAN & DELUCA』でも、今のレシピになるまで、いろいろ試して毎年アップデートしています。
今回は作りやすいレシピを紹介しますが、固定概念に囚われなくて大丈夫。冷蔵庫にあった柿や洋梨を具材として入れてみるとか、オレンジの皮はみかんや柚子、レモンで代用してみるとか、クランベリーの代わりにドライフルーツを煮込んでみるとか、ジンジャーパウダーの代わりに生姜をすり下ろしてみるとか、いろいろカスタマイズしてみてください。りんごジュースは懐が深くて、野菜で例えるなら玉ねぎのように、いろいろな食材と合います。
少しずつ、自分好みを探ってみる。作って、出来あがったものを食べてみるからこそ、わかる発見があるから自家製は楽しいんですよね」
「アップルサイダー」の自家製レシピ
null材料は、近所のスーパーでほぼ揃いました。クランベリーだけどうしても手に入らず、冷凍のミックスベリーに入っているラズベリーでアレンジしてみます。
【材料】(りんごジュース2L分)
・りんごジュース 2L
・りんご 1個
・オレンジの皮 1個分
・クランベリー 適量 ※今回は冷凍ミックスベリーで代用
・シナモン(スティック) 1本
・ジンジャーパウダー 2g
・シナモンパウダー 4g
・スターアニス(ホール) 2粒
【作り方】
(1)りんごは、ヘタとおしりを包丁で落とし、シナモンスティックを刺す。
(2)オレンジは、皮を果肉ギリギリまで剥く。
(3)鍋にアップルジュースを入れ、(1)、(2)、クランベリー、スパイス類を加える。
(4)沸騰したら火を弱め、30分ほど煮込んだら出来上がり。オレンジの皮、ホールスパイスは、出来上がったら取り除く。
30分ほど煮込むと、澄んでいたジュースが白濁してきました。おいしさが溶け込んだ証拠でしょうか? ひと口味見してみると、りんごの甘酸っぱさがギュッと詰まったおいしさ。酸っぱいのが苦手なお子さんは、蜂蜜や砂糖を少し加えてもよいかもしれません。
粗熱が取れたら保存瓶へ。蓋を閉めて冷蔵庫へ。2~3日は保存可能で、飲む分だけ電子レンジや鍋で温めれば、またあつあつが楽しめます。
おすすめのアレンジ
酒井シェフによると、バニラアイスにかけて、アフォガードのようにデザート感覚で楽しむのもおすすめ。
「『DEAN & DELUCA』でも今年は生クリームをトッピングしたアップルサイダーもご紹介しているのですが、乳成分が加わるとコクが増して、バニラアイスクリームをのせたアップルパイのようなおいしさが味わえます」
自家製は、自由で楽しい!
nullコトコト煮込むだけ、しかもシンプルなレシピだから、キャンプなどでも作って楽しめそうです。ただ、酒井シェフのおすすめは、家庭で作ったものを現地で温める方法。
「キャンプは、焚き火を活用していろいろ煮込んだり焼いたり料理したいから、どうしても火の奪い合いになります。作った後で生ゴミも出るので、前日などに家庭で作り、現地では温めるだけにしておくのが楽ですよ。ちょっと煮詰めてお好みのリキュールを垂らせば、体の芯から温まる一杯が出来あがり。子どもも大人も一緒に楽しめます」
そのまま飲んだり、材料を好みのものに変えたり、クリームやリキュールを加えたり。一度作るといろいろな楽しみ方が出来る「アップルサイダー」。朝の一杯や、おやつ、夜のリラックスタイムにと、一日中楽しめます。どうぞチャレンジしてみてください!
【取材協力】
DEAN & DELUCA
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote