入園・入学祝いはいついくら、誰に贈る?
Q1 お祝いを贈るべき相手の範囲は?
A1 基本は親戚などの身内の子どもに贈ります
「お祝いに品物をつけるのは“おめでとう”と言葉で伝えても、その思いが有り余っていて足りないと感じるとき。“相手を祝福する心”が一番大切なんです。心がないのに、贈り物だけをするのは単なる“体裁”になってしまいます。
こちらをふまえて、友人や知人の子どもの場合は、言葉だけでは足りないと感じるくらいに親しい間柄であれば、贈っていいと思います。
例えば、上司の子どもが高校に入学したと聞いても、その子と直接の付き合いがなければ“おめでとうございます”の一言で充分だと思いますよ」(以下、「」内は岩下さん)
Q2 入学祝いはいつ渡すのがベストですか?
A2 入園・入学式の「1週間前」あたりがいいでしょう
「式の前であれば、2週間前でも3週間前でもOKですが、ワクワク感がピークに達する1週間前に手元に届くのがベストなタイミングといえます。
もし、身内などで集まって食事をしながらお祝いをする機会があるのならば、そのときに直接渡すのがいいですね」
Q3 「入学祝い」の相場は?
A3 兄弟やいとこの子どもでしたら、5,000円~1万円ぐらいが無難です
「金額は多ければ多いほどいいというものではありません。お互いの負担になるような金額のものは避けたいところです。以前、自分の子どもにお祝いをいただいたことがある人には同等の金額にしてください。
いただいたもの・贈ったものを忘れないよう、相手ごとに分けて記録する“贈り物ノート”をつけておくと便利です」
Q4 現金・ギフト、贈るにはどちらがベターですか?
A4 どちらもよいところ・悪いところがあります
「ギフトのよいところは、それを使うたびに送り主である自分のことを思い出してくれるだろうし、贈り物に込められた気持ちも伝わります。ただし、本当に喜ばれるものを贈るのは至難の業です。
一方で、お金は“これに使ってね”と言われない限りは、もらったことをつい忘れてしまいがち。現金・ギフト、どちらがいいのかも相手に聞くのが一番です。そういったやりとりもコミュニケーションのひとつですので、躊躇なさらずに」
参照:入園・入学祝いはいついくら、誰に贈る?「入学祝い」の基本マナー
入学祝いのおすすめギフトは?
「保育園・幼稚園児」「小学生」「中学生」「高校生」「大学生」それぞれの子をもつ男女総勢811名にアンケートを実施。実際にもらったお祝いの金額やギフトについて調査しました。また、岩下さんに年代別お祝いのおすすめギフトについて伺いました。
「入園祝いの相場」とおすすめの「ギフト」は?
祖父母からもらった入園祝いの金額は、1万円〜2万円未満が最多でした。また祖父母以外の親戚からもらった金額の最多は、5千円〜1万円未満でした。
岩下さんのおすすめのギフトは、「図書カードや文房具、こども商品券のほか、靴下などの消耗品もおすすめです。私自身も“幼稚園で使う手拭き用のタオルをちょうだい”とリクエストされたことがあります」とのこと。
また、保育園、幼稚園で使うものを贈る際のアドバイスとして、
・指定のメーカーなどがあるかどうか
・名入りをしたほうがいいか
を相手の親に確認するとさらに親切になるとのことでした。
「小学校入学祝いの相場」とおすすめの「ギフト」は?
祖父母からもらった入学祝いの金額は、1万円〜2万円未満が最多でした。また祖父母以外の親戚からもらった金額の最多も、同じく1万円〜2万円未満でした。
小学校入学祝いのおすすめギフトについて、岩下さんは「文房具はもちろん、商品券や図書カードは子どもにも使う楽しみがあっていいですよね。その他、幼稚園同様“名入り”の文房具や、図鑑、地球儀、家庭用プラネタリウムもおすすめです」とコメント。特にプラネタリウムは夢があるプレゼントですね。
「中学校入学祝いの相場」とおすすめの「ギフト」は?
祖父母からもらった入学祝いの金額は、1万円〜2万円未満が最多でした。また祖父母以外の親戚からもらった金額の最多は、5千円〜1万円未満でした。
中学校入学祝いのおすすめギフトについて、岩下さんは「腕時計などはいいですね。その他、図書カードや部活で使うものもいいと思います」とコメント。図書カードはすべての年代に喜ばれそうですね。
「高校入学祝いの相場」とおすすめの「ギフト」は?
祖父母からもらった入学祝いの金額は、1万円〜2万円未満が最多でした。また祖父母以外の親戚からもらった金額の最多は、5千円〜1万円未満でした。
高校入学祝いのおすすめギフトについて岩下さんは「この年頃だとそれぞれ好みがありますので、もしギフトを贈りたいと思ったら、食事がてら一緒に買いに行くのもよさそうです」とコメント。確かにいい思い出が作れそうですね!
「大学入学祝いの相場」とおすすめの「ギフト」は?
祖父母からもらった入学祝いの金額は、10万円以上が最多でした。また祖父母以外の親戚からもらった金額の最多は、5千円〜1万円未満でした。
大学入学祝いのおすすめギフトについて岩下さんは「万年筆もいいですし、ちょっと高級なマフラーなど、小物もいいですね」とコメント。いい品質のものに触れ始めるにはいい年ごろかもしれませんね。
参照:相場はいくら?年代別「入園・入学祝い」の実態とおすすめギフトをリサーチ
入園&入学祝い「のし」の選び方と書き方・渡し方は?
「のし袋はどれを選べばいい?」「表書きは?」“お祝い”を贈る際、意外と知らずにあたふたしてしまった経験はありませんか? 岩下さんに、“入園・入学祝い”を贈るときの“のし”や“のし袋”の選び方、表書きの書き方などの疑問に答えていただきました。
Q1 入学祝いののし袋・のし紙はどれを選べばいいですか?
A1 基本は「蝶結び」。ただし関西では「あわび結び」を使う地域もあります
「入学祝いは、何度あってもよいお祝い事なのでほどける“蝶結び”を選びます。ただし、関西では“あわび結び”を使うところもあるようです。
慶事の水引は赤白や紅白、金銀、金赤など華やかな色を使います」
Q2 表書き「上の段」の書き方は?
A2 「御入園御祝」「御入学御祝」など。メッセージでも構いません
「上記のほかに“祝御入園”“祝御入学”などでもいいですが、4文字を嫌う方もいらっしゃるので、できましたらその場合は祝の後に1文字分のスペースを入れて、5文字になるようにしてください。
お金を贈る際、“これに使ってほしい”という希望があれば“お洋服料”“バッグ料”などと書いてもいいでしょう。
また、“しあわせがたくさんあつまりますように”など子どもの幸せを願うメッセージを書くのもおすすめです。
実は、上の段は皆さんが思っていらっしゃるよりも割と自由なんです」
Q3 表書き「下の段」の書き方は?
A3 苗字のみでもフルネームでもどちらでも構いません
「贈り物や手紙などで自分の名前を書く際、基本的に目下には“苗字のみ”、目上には連名であっても“フルネーム”という決まりがあります。
入学祝いの場合、対象は親ではなく、その子どもですので、苗字のみ、もしくはフルネームどちらでも大丈夫です」
参照:意外と知らない!入園&入学祝い「のし」の選び方と書き方・渡し方は?
入学祝いのお返しは必要?
両親や親戚、親しい友人に“お祝い”をいただいて嬉しい反面、その“お返し”の方法や相場が分からず、あれこれ悩んでしまう人も多いのでは? 入学祝いのお返しのマナーについて、岩下さんにあらゆる疑問に答えていただきました。
Q1 入園・入学祝いをいただいたら必ずお返しは必要ですか?
A1 お返しは基本的には不要ですが、「内祝い」の本来の意味からお返しをする方も多いです
「基本的には、経済力のない“子どものお祝い”に対するお返しは不要です。
入園・入学祝いは、身内の人が祝ってくださることがほとんどですので、家に招いてご馳走することも多いと思います。それが本来の“内祝い”です。
そうはいっても、家にお呼びしなかった方には、内祝いとして品物でお返しをする方も多いようです。
“本来ならばお招きしてお礼をしなければならないところ……”という一言を添えることも忘れずに」
Q2 お返しを贈る正しい時期やタイミングはいつですか?
A2 いただいてから「1カ月後」ぐらいがベストです
「いただいたとたんにさっさとお返しをする人がいますが、早すぎると贈り主に“贈って悪かったかな”“気を遣わせてしまったかな”とばつの悪い思いをさせてしまいます。お礼のメッセージは届いてから3日以内に。手紙・電話のみにこだわらず、メールでも全然かまわないと思います」
Q3 「入学祝いのお返し」の相場感や定番品は?
A3 いただいた金額の1/2~1/3を目安に。食品など消え物が無難です
「相場はいただいた金額の1/2~1/3程度。例えば10万円など、高額のお祝いをいただいた時は1/3でいいでしょう。
品物は、基本“相手が喜ぶもの”ならなんでもいいとは思いますが、一番避けたいのは、相手が気に入らないのに、残ってしまうもの。ですので、お菓子やつくだになどの食品(消え物)が一番無難だと思います。
ただし、祖父母に関しては特別。孫の写真をプリントした記念品やフォトフレームが案外喜ばれるのではないでしょうか。あまり高価なものを贈ると“水臭い”と思われるので、注意してください」
参照:入園・入学祝いにお返しは必要?いつ何を贈る?「入学祝いのお返し」のマナー
Q4 入学祝いのお返しを贈る際の、のし紙の種類は?
A4 「蝶結び」の水引のものを選びましょう
「入学や進学など、何度あってもよいお祝い事はほどける“蝶結び”を選びます。
ただし関西では“あわび結び”を使うところもあるようです」
Q5 表書き「上の段」と「下の段」は?
A5 「上の段」は、右に小さく「入学」と書き、真ん中に大きく「内祝」と書いて。「下の段」は子どもの名前を書きましょう。フルネームである必要はありません
「上の段は、4文字を嫌う方もいらっしゃるので、“入学”と“内祝”は改行することをおすすめします。その際、右側には小さく“入学”、真ん中に大きく“内祝”としてください。
下の段は、子どもの名前を書きましょう。 贈る側(子ども)に対して、相手は目上にあたるので、下の名前だけで問題ありません」
いかがでしたか?
お祝い事は相手に喜んでもらうことが何より大切です。ご祝儀袋の選び方、書き方などを慎重にこなして、贈る人・もらう人みんながハッピーになれる“入学祝い”を心がけたいですね!
取材・文/濱登良子
【取材協力・監修】
岩下宣子(いわしたのりこ)
『現代礼法研究所』代表、NPOマナー教育サポート協会理事、マナーデザイナー。1985年の同研究所設立後、ビジネスマナーや生活に密着したマナーについて、企業や団体などを対象に研修、講演、イベントを開催。また、マナー教育の第一人者として、メディア出演や数多くの書籍出版等により、多くの人々にマナーの心や本質を伝えている。
【参考】