というわけで今回は、家族葬に参列する際の疑問を葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントの吉川美津子さんに解説して頂きました。
「家族葬」って何?家族以外も参列できるの?
null近年、葬儀業界では“家族葬”(かぞくそう)という言葉がよく聞かれるようになりました。
家族葬という言葉からは、家族や身内だけで執り行う小規模な葬儀を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、実際には家族葬に明確な定義はありません。“簡素”、“小規模”、“アットホーム”などのイメージが先行しており、その解釈のしかたは葬儀社によっても喪主によっても異なります。
そのため、想定する参列者については、“家族のみ”“親族のみ”“親しい友人も含む”など、個々のケースごとに異なります。中には家族葬を希望しながらも、参列客が100人以上に膨らむケースも珍しくありません。
家族葬の背景には「家族に負担をかけたくない」という故人の遺志や、「近親者で静かに故人を見送りたい」という遺族の思いがあったりと、その背景は様々です。
「密葬」と「家族葬」の違いは?
”密葬”という言葉にも定義はありません。
以前は、後日改めてセレモニーを行うことを前提とした場合、近親者で行う葬儀を”密葬”とし、2回目の葬儀を”本葬”として社葬や団体葬が執り行われていました。
15~20年ほど前から内々で行う葬儀に対して、”密葬”より”家族葬”や火葬のみの”直葬”といった言葉のほうが使われるようになりつつあります。また、後日行われるセレモニーに対しては”お別れの会”や”偲ぶ会”といった表現が多用されるようになっています。
他にも、火葬後に”骨葬”として通夜、葬儀・告別式を行う場合、それ以前に行う儀式を”密葬”ということもあります。
「家族葬」という案内が来たら参列してもいい?避けたほうがいい?
null葬儀の案内状に“家族葬”とのお知らせがあった場合、故人との関係性を鑑みて、参列するかどうかを迷われる方が多いようです。
先述したように、家族葬の規模や内容は個々のケースによって異なります。近親者で執り行われる場合もあるでしょうし、故人と縁の深かった友人や仕事仲間に案内状が届くケースもあるでしょう。
「家族葬に明確な定義はない」という点を踏まえたうえで、以下のような基準で判断するといいと思います。
参列を避けたほうがいいケース
仮に葬儀の案内状に「故人ならびに遺族の遺志により、近親者のみで執り行います。誠に勝手ながら、ご参列はご辞退いただけますよう、お願い申し上げます」などという文言があったら、参列は控えます。
状況に応じて参列が可能なケース
案内状に“家族葬”と記載されていても、案内状に通夜や葬儀の詳細な日時が記載されており、なおかつ参列の辞退をお願いする文言がなければ、故人を見送りたいという気持ちを持った家族以外の参列者が集うケースも数多くあります。
家族葬であっても、故人と縁の深かった人たちとのお別れの機会はきちんと持ちたいと考えている遺族は多く見受けられます。
中には香典や供花を辞退する場合もありますので、案内状をきちんとチェックする必要があります。
家族葬の流れと内容
null家族葬であっても、基本的に通常の葬儀の流れと変わりはありません。納棺、通夜、葬儀の後に火葬という流れで執り行われるのが一般的です。
とはいえ、個々の事例によって細かな内容は異なります。会場の規模が小さかったり、通夜や葬儀の後の会食を省略・簡素化する傾向も見られます。
服装やお香典は?家族葬への参列マナー
null家族葬だからといって、特別な参列マナーはありません。
一般的な葬儀と同じく、喪服を着用しましょう。
また、お香典については、事前に「香典辞退」という案内があったケースを除き、故人との関係性や地域の相場に応じた額を包むようにします。
今回は、吉川美津子さんに家族葬の参列マナーについてうかがいました。
家族葬は近年増加傾向にあるとのことですが、「個々のケースによって大きな違いがある」という点を踏まえて、参列するかどうかの判断の目安にしていただければと思います。
【取材協力・監修】
葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント
吉川 美津子(きっかわ みつこ)
大手葬儀社、大手仏壇・墓石販売店勤務を経て、専門学校にて葬祭マネジメントコース運営に参画。現在は葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントとしての活動に加え、医療・介護と葬送・供養の連携を視野に葬送・終活ソーシャルワーカー(社会福祉士)としても活動している。
共同監修『葬儀・相続 手続きとお金』(扶桑社)、共著『死後離婚』(洋泉社)、著書『お墓の大問題』(小学館)など。