リタイア前に「やっておいてよかったこと」はこれ!
null「やっておいてよかったこと」、「やらなくて後悔したこと」を、それぞれ分けてご紹介。まずは「やっておいてよかった」という声が多く寄せられたものから見ていきます。
あれば人生が豊かになる「趣味を持ってよかった!」の声
「リタイア前にやっておいてよかったこと」でもっとも多かったのが「趣味」に関するエピソード。園芸や釣り、カラオケといった趣味が人気な一方、アクティブにスポーツを楽しむ高齢者の方もかなりたくさんいました。そのバイタリティは私たちも見習いたいものですね。
「ゴルフを始めた。リタイア後も楽しくプレイしている」(81歳男性/60歳で引退)
「園芸。今では、暇なく動き回っている」(77歳男性/50~54歳で引退)
「20歳台から始めた趣味の釣りを通して友達が多くなり、情報も入りやすく釣果も良い。楽しいリタイア人生を楽しんでいる」(70歳男性/60歳で引退)
「50歳のころから始めたコーラスが77歳の今でも続けられて、仲間と楽しくやっている」(77歳男性/68歳で引退)
「会社勤めしてからテニスを始めた。会社をリタイアしてからクラブに入って、交友関係を広げることが出来た」(72歳男性/65歳で引退)
「地域のカラオケ同好会のメンバーになっていたので今でも楽しく続けている」(81歳男性/60歳で引退)
若い頃からの趣味だという人だけでなく、リタイア後や50代といった高齢になってから始めている人も多かったのが印象的。趣味を始めるのに遅すぎるということはなく、リタイアした後に始めるという選択肢もあります。
ただその一方で「リタイア後に新しい趣味を始めることは容易ではありません。退職5~10年前から、好きなことを少しずつ始めておいた方がいい」(71歳男性/69歳で引退)といった貴重な意見もありました。
老後の資金はやっぱり大事「貯蓄をしておいてよかった!」
近年「老後資金2,000万円問題」が話題になりましたが、実際にリタイアした高齢者も「やっておいてよかったこと」として多くの人が「資産運用」「貯蓄」「貯金」と答えていました。やはり蓄えはあるに越したことはないようですが、具体的にどんなことをすべきなのでしょうか?
「支出の見直しによる毎月の支出削減を大幅に行った。退職後の生活に余裕が生まれるから」(69歳男性/65歳で引退)
「少し貯蓄をしていてよかった。年金だけでは全然足りない」(71歳男性/61歳で引退)
「退職後に備えて、貸せるようにアパートを建てた」(68歳男性/62歳で引退)
「貯金をしておいてよかった。今はそれで生活している」(70歳女性/55~59歳で引退)
老後への蓄えが必要なことは分かっているけれど、具体的に何をしたらいいのかわからない。そんな人にぜひチェックしてほしいのが2024年からスタートする新NISAです。政府が「家計の安定的な資産形成」をさらに推し進めていくことを目的とするものなので、興味がある人はぜひ検討してみてください。
元気があってこそ老後が充実「健康管理」「体力づくり」
人生100年時代といわれていますが、平均寿命だけではなく“健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間”をさす「健康寿命」を延ばすことが課題となっています。若い頃からの習慣の積み重ねが、健康寿命を延ばすうえで重要となるようです。
「筋トレ。今でも続けられていて筋量が落ちていない」(61歳男性/50~54歳で引退)
「健康な体と気力があったからこそ、次の生活で新しいことにチャレンジする勇気が持てた」(75歳女性/55~59歳で引退)
「体力維持につとめていたので、健康な毎日を過ごせている」(72歳男性/61歳で引退)
「健康づくりのため、毎日ウォーキングをしていた」(67歳女性/55~59歳で引退)
リタイア後に趣味としてスポーツを始める人もいますが、その際に「ジョギングで心肺機能を高めておけばよかった」(67歳男性/62歳で引退)、「リタイア後に運動の習慣を身につけようと思っていたが、当初は体力的に大変厳しかった」(75歳男性/62歳で引退)といった声もありました。
体力づくりは早く始めるに越したことはないようです。
リタイア後も役に立つ「資格の取得」「スキルアップ」
若い頃の就職や転職などに役立つイメージが強い資格取得ですが、60代以上で「資格を取得して現在使っています」(66歳女性/50~54歳で引退)といった意見も少なくありませんでした。では、実際のエピソードをもとにリタイア後に役立った資格やスキルアップの内容をチェックしてみましょう。
「現役時代の仕事がシステム開発だった。リタイア後も個人でシステム開発の仕事を始めることができた」(77歳男性/55~59歳で引退)
「建設系の難易度が高い資格を40歳頃に取得しました。リタイア後もその資格のおかげでスポット的な仕事が入ってきます。自分の小遣い程度は十分に賄えています」(72歳男性/69歳で引退)
「パソコンを習っていたことで色々なことができるようになった」(67歳女性/50~54歳で引退)
「ファイナンシャルプランナーの資格を取得していたために、退職金の運用や保険の見直しに役立った」(75歳男性/62歳で引退)
若い頃に取得していた資格やスキルを老後にも生かすことができ、人によっては収入を得ることにもつながる……。そういった未来が分かれば、若い頃のスキルアップに対するモチベーションもアップしそうですよね。
また近年はスマホやパソコンといったツールを使いこなしたいと考える高齢者も増えていると思いますが、これまでまったくそういったツールに触れていなかった人は、操作に苦戦していることが多いかもしれません。やはりある程度のデジタルスキルはもちろん、何歳になっても学ぶ意欲や好奇心は重要です。
反対に「やらなくて後悔したこと」は?
null続いてはリタイア前に「やらなくて後悔したこと」に関するエピソードをピックアップ。こちらも学び多いエピソードがたくさん寄せられました。
年齢を重ねたらもう遅い?「もっと旅行しておけばよかった」
時間に余裕ができるリタイア後に夫婦で旅行を楽しみたい、そんな風に考えているkufura世代は多いかもしれません。しかし60代以上の人は意外にも「リタイア前にもっと旅行しておけばよかった!」という意見が多いのです。なぜリタイア後ではダメなのでしょうか?
「高度成長時代に大企業に途中入社して夜を日に継いで頑張ったが、妻との旅行に数えるほどしか行かなかった。今でもそのことをなじられている」(82歳男性/68歳で引退)
「夫婦での旅行です。リタイア後は親の介護で忙しくて行くことが出来ないからです」(62歳女性/40代以下で引退)
「海外旅行。まだコロナが流行っているし、行くのが怖い」(71歳男性/61歳で引退)
「若いうちに海外旅行をたくさんしておきたかったです。今はその気力もなくなりました」(75歳男性/55~59歳で引退)
「体が健康で足腰が元気なうちにもっと飛び回りたかった」(74歳男性/70代で引退)
リタイアして旅行へ行くお金と時間はあるのに、体力と気力がついていかない。そんなケースが多いことが分かりました。また新型コロナウイルスや親の介護といった事情は、若い頃は想像もできなかったでしょう。やはり旅行はお金や時間に余裕がなくても、可能なら若いうちに行くほうがいいのかもしれません。
やっぱり後悔先に立たず…「貯蓄しておけばよかった」
一方「リタイア前にやっておいてよかったこと」とかなりの数リンクしていたのは、「資産運用」「貯蓄」「貯金」が十分でなかった、という後悔でした。やはり老後資金の問題は切実なのだという実情が垣間見えます。
「50歳でリタイアして後悔はないが、年金額が少なくなってしまったので、何らかの老後対策が必要だったと思う」(68歳男性/50~54歳で引退)
「思っていた以上に年金生活は金銭的にぎりぎりの感じです。少しでも余裕を感じることができる生活を維持するためには何といっても貯蓄だと痛感しています」(72歳男性/69歳で引退)
「利息が低いので、預金が目減り状態。投資で増やす方法を勉強していればと思います」(72歳男性/65歳で引退)
「資産形成。目標金額を決めていたが、全く届かなかった」(79歳男性/60歳で引退)
日本では20年以上超低金利政策が続いており、普通預金で貯蓄をしてもまったく資産は増えません。そのために国はNISAやiDeCoによって長期投資を促していますが、まだまだ日本は投資に苦手意識を抱く人が多いのが現状。若い世代こそ、その意識を変えていったほうがいいのかもしれません。
年齢を重ねるとやりたくてもやれないことも…「趣味を楽しんでおけば」と後悔
「やっておいてよかったこと」でもっとも多かったのは「趣味」でしたが、一方で若い頃に「もっと趣味を楽しんでおけばよかった」と後悔する声も多数あがりました。「もっと在職中に趣味を楽しんでおけばよかったと後悔している。病気で何も出来ない」(70歳男性/62歳で引退)といった、高齢者にならないと実感できない提言も参考になります。
「もっと山登りをしておけばよかった。今は登山がけっこうきつくて、若ければもっといろいろな山などに行けたと思うから」(66歳女性/66歳で引退)
「楽器が何一つできないので、生活に潤いがないように感じる。音楽の素養を身につけておけばよかったかなと思います」(73歳男性/60歳で引退)
「語学の勉強など自己研鑽をもっと積んでおけばよかった」(74歳男性/70代で引退)
何かやりたい趣味があれば、リタイア後でも遅くはないのかもしれませんが、問題となるのはやはり体力。高齢になれば病気のリスクも高くなり、思うように趣味が楽しめなくなることも……。そんななかでも、自分のできる範囲で趣味を楽しもうとする姿勢は見習いたいものです。
番外編「やらなくて後悔したことはない!」という意見も
これまで「やらなくて後悔したこと」を紹介しましたが、中には「後悔はない」と言い切る人も多数いました。なぜこういった気持ちになれるのでしょうか? その意見を紹介します。
「後悔はありません。やろうと思えば何でもできると思っています」(71歳男性/55~59歳で引退)
「とくにないです。これまで、お金を貯めることより好きなことにお金を使って生きてきました。お金は老後のためではなく、若いうちに使った方が何倍も人生を豊かにします」(71歳男性/69歳で引退)
「特に思いつくことはない。思い立ったことはやってきた」(77歳男性/50~54歳で引退)
リタイア後に「やろうと思えば何でもできる」「思い立ったことはやってきた」と言い切れるのは素晴らしいこと。こういった気持ちになれるような高齢者になるには、今どう生きればいいのでしょうか? こういった意見をみると考えさせられます。
自分がリタイアした後、どんな生活が待っているのか? それは誰にも分からず、専門家が今予測していることだって、本当にそうなるかは定かではありません。
それでもより良い将来のために今からコツコツと準備をするのか、それとも今を全力で生きるのか? それを決めるのは自分自身。その選択に少しでも今回の諸先輩たちの意見が参考になれば幸いです。
東京都出身、千葉県在住。短大の春休みより某編集部のライター見習いになり、気が付いたら2022年にフリーライター歴25年を迎えていた。現在は雑誌『DIME』(小学館)、『LDK』(晋遊舎)などで取材・執筆を行うほか、『kufura』などWEB媒体にも携わる。
執筆ジャンルは、アウトドアや子育てなどさまざま。フードコーディネーターの資格も持つ。