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【イギリス、ハワイ、デンマーク】日本と違う住宅事情!「暮らしてみて驚いたこと」を現地レポート・後編

イギリス、ハワイ、デンマークに暮らす3人のkufuraライターの方々に聞く住宅事情。後半の今回は、間取りやインテリア、そして暮らしてみて驚いたことについてうかがいました。

前編の記事はこちら

【イギリス】「新築住宅は似た間取りが多い一方、リフォームを重ねた古い家の方が個性豊か」

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(回答/kufuraライター土田奈々子さん。在住11年)

Q3:間取りやインテリアについて、日本と違う点は?

「まず、トイレはシャワールームやバスルームの中にいっしょに設置されている家が多く(日本でいうところのユニットバス)、トイレは家の中に2カ所以上あるのが一般的です。また、家族用のバスルームのほかに、主寝室や客間に別途バスルームがついている(オンスイートバスルームといいます)という家も多いです。

イギリスには古い家が多いので、リビングルームなどに暖炉のある家がたくさんあります。

我が家をはじめ、田舎では冬場に暖炉を使っている家も多いですが、ロンドンなどの都市部では暖炉の使用が禁止されているため、家に暖炉があっても使うことができません。

土田さんのお宅の暖炉は、お子さんがいるのでガードをつけて囲っているそう。
友人のお宅の暖炉。暖炉を使用していない場合は、このように写真や絵などのインテリアでカバーしている家も。

友人宅の飾り棚。このようにお皿やカップを飾るお宅が多いそう。

最近の新築物件の間取りはどれも似たような感じで、違いは寝室の数が異なるくらい。それとは反対に、古い家は今までに何度も増改築やリフォームが施されているため、間取りなどがその家ごとにいろいろと違っていて、バラエティ豊かです。

また、基本的にイギリスは地震がないので、壁には大きな鏡や絵画、飾り棚にフォトフレーム、食器などのこわれものをたくさん飾っている家が多いです」

Q4:そのほか、暮らしてみて驚いたことは?

戸建てといっても、両側が隣の家とくっついた連棟式のテラスドハウスも多いそう。

「とにかく古い家が多いこと。新築を好む人もいますが、新築物件は一般的に家がそれほど大きくなく、庭も狭め。古い家の中には、家が大きくて庭が広めな物件も多く、味があって資産価値も高いので、富裕層などには古い家のほうが人気ったりします。

あとは、戸建てというと完全に独立した家をイメージしますが、イギリスには戸建てでも、長屋のように数軒の家が横にすき間なくつながっている連棟式のテラスドハウス、パッと見は1軒家に見えるものの、実は左右対称の2軒の家が真ん中でくっついたセミデタッチドハウス(1棟2軒住宅)という形態の家が多くあり、日本の戸建てと様子がかなり違って驚きました。ちなみに、完全に独立した日本のような戸建てはデタッチドハウスと呼ばれています」

古い家の方が、味があり個性豊かというのは日本の家屋も同じかもしれませんが、人気や資産価値も高いというのは日本とは異なる点。そして、確かにイギリスのお部屋にはティーカップが飾られているイメージがあります! 地震の多い日本では、なかなかできないインテリアかもしれません。

【ハワイ】「実はクーラーがない家も多い!そして、古い物の“あるある”トラブルは…」

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(回答/ライターSさん。在住10年)

建築ラッシュが起きている再開発地域。どれも超高級物件とのこと。

Q3:間取りやインテリアについて、日本と違う点は?

「日本のような“玄関スペース”がない物件がほとんどで、玄関を開けてすぐリビングというつくりが多いです。ハワイでは、日本と同じように靴を脱いで生活している人が多いですが、玄関に靴箱がないので、自分で靴専用のラックを置いたりしなければなりません」

 Q4:そのほか、暮らしてみて驚いたことは?

「ハワイでは、クーラー無しの家が結構あります。我が家も、北と南に窓があって風通しが良いため、クーラー無しでも過ごしやすいです。(西陽が強くあたる家、周囲が建物で囲まれて風通しが悪い家などは、クーラー無しだと夏は暑いと思います。)クーラーと比べて電気代がかからないシーリングファンをつけている家も多く、うちもファンを自分でつけました。

また、ハワイの古い物件は水漏れが多いと言われています。

私の住んでいるマンションでも、階下の複数のフロアで水漏れが起こったことがありました。その水漏れの箇所を探すために、我が家に水道屋さんが訪れてきたことがあります。蛇口などに異常が見つからなかったため、おそらく建物内部(壁の内側)の配管に問題があるだろうということになり、バスルームに50㎝四方くらいの穴を開けられました(もちろん断りのもとですが)。

そして、その穴に首を突っ込んで、中の配管の様子を確認していました。周囲の人に聞いたところ、“ハワイは水漏れが本当に多い!”とのことでした。

穴が開けられたバスルーム(復旧済み)。

結局、共用部分の配管で水漏れの箇所があったそうで、その後うちのバスルームはマンションの経費で修復して穴を閉じてもらいましたが、数カ月近く穴が開いたまま……。今では笑い話ですが、ハワイらしいエピソードですね」

日本人にはなじみの深いハワイですが、旅行で行くのと暮らすのではやはり違いがたくさんあるんですね。

【デンマーク】「日々の心地よさを大切にする暮らし方。家のリノベーションまでDIYでやることも!」

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(回答/ライター針貝有佳さん。在住13年)

Q3:間取りやインテリアについて、日本と違う点は?

「太陽の光をとても大事にしていて、大きな窓で、日光を室内に取り入れやすいつくりになっています。緯度が高いため日が短く、冬の時期は8時過ぎから16時ごろまでの8時間以外は、ずっと夜! そのため普段から、日光のありがたさを実感しているのかもしれません。

照明は間接照明が中心で、全体的に暗め。部屋の中でろうそくをともすことも多いです。

火を見ていると、なんだか心が安らぐ感じがしませんか? デンマークには、日々の心地よさを大事にする価値観(デンマーク語で“ヒュッゲ”といいます)があって、それがこういった暮らしかたにあらわれているんです。

また、浴室の優先順位が低いようで、浴槽がない家も多数。とくに古いアパートの場合、トイレのすぐ横にシャワーがついているだけで、シャワーをあびるとトイレ周辺が水浸しになるつくりになっていることもあります。こういったバスルーム事情には慣れるのに時間がかかると言う現地在住の日本人も多いです。

それ以外は、キッチンやダイニングからリビングまで、どの家も本当に素敵です。ごちゃごちゃとモノが並んでおらず、とてもスッキリしていて、ひとつひとつのモノを大切にしているのだなと感じます。ベランダや庭の家庭菜園で作った旬の野菜や果物、ハーブを料理に使うなど、暮らしを楽しんでいる人がたくさんいて、素敵だなと思います」

ご自宅の“アウトドアリビング”。菜園ではトマトやキュウリなどの野菜を育てているそう。

Q4:そのほか、暮らしてみて驚いたことは?

リノベーションしたキッチン。DIYとは思えない仕上がりです!

DIYが当たり前なことです。

古くからの家をリノベーションして住むことが多いデンマークですが、DIYカルチャーがあり、本格的なリノベーションも自分たちでやるのが当たり前。週末や休暇中に、楽しんでDIYに取り組んでいます。

 腕前がプロ並みの人も多く、業者の費用も高いため、水回りと屋根以外は何でもDIYですませてしまう姿には驚きます。しっかり手間をかけてリノベーションすると、売るときも、それを評価してくれて売り値があがるんですよ。

 わが家も例にもれず、2014年に買った家を、夫と義父の2人でリノベーション。キッチンとリビングの間の壁を取り払ったり、キッチンの設備を入れ替えたり、バスルームを刷新したり……。本格的な工事が1年以上続きました。

工事中のキッチンもない家で、まだ小さかった息子を育てながら暮らした1年間は、デンマーク暮らしの最大のカルチャーショックでした。でも、時間をかけて出来上がったハンドメイドキッチンはやっぱり素敵な仕上がりで、今ではお気に入りの空間です」

リノベーションまで自ら行うのが当たり前という文化にも、日々の心地よさ=“ヒュッゲ”を追求する価値観が表れていますね。

 

前後編にわたってお届けした、海外在住ライター3名の住宅事情。単純に「素敵だな」というだけではなく、家というものが、それぞれの国の文化や価値観と密接に関係していることが分かった気がします。これからの“家づくり”や“家の育て方”の参考になりそうです!

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