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【イギリス、ハワイ、デンマーク】住んで分かった「日本とこんなに違う住宅事情」現地レポート・前編

海外で暮らしながら原稿を執筆しているkufuraライターの方々と話していると、やはり、住む場所が違えば“家”にまつわるあれこれも違うんだなと驚くことがあります。そこで今回は改めて、イギリス、ハワイ、デンマークで暮らす3人に、住宅事情について聞いてみました。

前編は、いま暮らしている自宅と、「住宅に対する考え方の違い」について。“いい家”の視点がこんなに違うんだ!という新鮮な驚きがありました。

【イギリス】「中古住宅のリフォームがほとんど!“注文住宅”はほぼありません」

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(回答/kufuraライター土田奈々子さん。在住11年)

Q1:今の住まいは?

「家はフラット(集合住宅)。1階部分が我が家、2階部分にほかの2世帯が入っている3世帯のみのフラットです。持ち家で、築年数は50年ちょっと(これでも新しいほうなんです!)。ちなみに、以前住んでいた家は戸建て(持ち家)で、築500年というとても古い家でした」

以前暮らしていた築500年以上の家を裏庭から撮影。屋根のトップのゆがみが、古さを醸し出しています。
こちらはイギリスでよく見る、両側が隣の家とくっついた連棟式のテラスドハウス。

Q2:住宅の考え方で日本と違うところは?

近年、イギリスは建築ラッシュ! ほぼ、土地付きの建売住宅とのこと。

「イギリスでは、“賃貸と持ち家どちらが得か?”という観点はなく、基本的に持ち家一択です。日本と大きく違うのは、家を買ったらそこに一生住み続けるとは考えていないところ。

買った家に住みながらリフォームをしてより住みやすい家にし、購入時よりも高値で売ってまた違う家を購入するなど、家は投資のひとつと考えている人が多いです。

日本では土地を買い、そこに家を建てるケースも多いですが、イギリスではそのような方法で家を手に入れることは基本ありません。近年は住宅ラッシュで、イギリス各地に新しい家が続々と建築されていますが、戸建ての場合はすべて土地付きの建売住宅となっています。

一般的には、中古住宅を購入して、それをリフォームして住むというのが、イギリスでの主な住宅取得方法になります。日本と違って古い住宅はとても人気が高く、価値があり、築〇百年という家もたくさんあります。ちなみに、中古住宅を購入し、そこを更地にして家を建て直すということもほぼなく、あくまでもそのままリフォームして住む形になります」

日本で賃貸物件や中古物件を探す場合、築年数が浅い方が人気の傾向がありますよね。イギリスでは、その家の歴史も街並みとの調和も、その家の価値になっているのが分かります。

【ハワイ】「築年数が古くても、メンテナンスの状態や眺望がいい物件に価値が置かれています」

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(回答/ライターSさん。在住10年)

ハワイのマンション群。

Q1:今の住まいは?

「持ち家のマンションで、築40年以上の部屋です」

Q2:住宅の考え方で日本と違うところは?

「築浅の物件がかなり少なく、築40年、50年のものが数多くあります。なので家探しをしたときに、“えー!こんなに古いの?”と思うものばかりでした。ただ、オーナー次第で家の中をきれいにリノベーションしている物件もあるので、そういったメンテナンスをこまめにしてきた物件は、築年数からは想像できないような美室もあったりします。

日本のように“築年数が経った古い物件=悪い物件”というネガティブな発想もありません。それに、築年数が古くても、ハワイの不動産価格は長期的に見て上がる傾向にあり、特にメンテナンスされている物件や眺望がいい(オーシャンビュー、ダイヤモンドヘッドが見える等)物件は、価格が上がりやすいので、頑張って購入するとお得になる可能性が高いです。

ただ、住宅ローンの金利が日本よりもはるかに高いため、(現在は30年固定ローンで6%程度)、毎月の支払額は恐ろしい金額になります」

眺望の良い物件の価値が高いというのは、日本でも同様かもしれませんが、ハワイであればその価値はひときわ大きいのかもしれません。その眺望の価値は築年数の浅さをしのぐものがありそうですね。

【デンマーク】「駅近で便利な場所より、閑静で自然が豊かな場所の物件が人気」

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(回答/ライター針貝有佳さん。在住13年)

Q1:今の住まいは?

「レンガ造りの戸建ての持ち家です。築60年の建物を2014年に購入、デンマーク人の夫と義父の2人で1年間かけてリノベーションしました」

こちらがそのリノベーションの様子。本格的で驚きます!

元レンガ職人の義父が内壁を担当。
なかでも、キッチンの改装は大がかりだったそう。
完成したキッチンがこちら!

Q2:住宅の考え方で日本と違うところは?

針貝さんが暮らす、コペンハーゲン郊外・ロスキレの家々。

「デンマークの住宅は、多くがレンガづくり。

日本と大きく違うのが、“駅近で便利な場所”よりも、“閑静で自然が豊かな場所”にある物件の方が人気で、値段も高い傾向があることです。落ち着いて暮らせる家が好まれるので、大きな庭つきの戸建てや、湖が見える立地も人気ですね。

家の外壁の色は、黄色・橙色などの暖色系や、淡い水色、紺色などカラフルです。路上に面した窓は“家の顔”で、カーテンが開いていることも多いです。窓からは、ザ・北欧デザインのインテリアが見えて、皆さん本当に素敵な暮らしをしているのがわかります。

針貝さんが以前住んでいたコペンハーゲンのアパート。

アパートは“ロの字型”になっていることが多く、内側に住民共同の中庭があります。共同の洗濯機や乾燥機も多いです。

戸建てもアパートも、解体・新築ではなく、古くからある建物をリノベーションしてアップデートしていくのが普通です。同じ建てものを直しながら使っていくのは、SDGsの面でもいいですよね」

現在のお宅の庭では、夏にはテントを張ることも多いそう。

駅近より、自然豊かな場所が人気というのは、北欧のイメージそのままですね!

 

今回3名のお話を伺いながら、好まれる家が国によって異なるように、理想の家のかたちも人によってさまざまでもいいのではないか、と感じました。その方が、家選びがもっと楽しくなりそうな気がします。

次回の後編では、家の内装やインテリアについて、実際に暮らす中で驚いたエピソードなどを聞いていきます。

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