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都心から那須へ。「焼杉」の外壁に「サイザル麻」の床材…40代夫婦の家づくりをレポート!【那須の家#2】

那須の自然豊かな広大な土地に、自分たちの理想を詰め込んだ新築一軒家。そんな夢のような家づくりを実現した40代共働き夫婦の体験をお伝えします。

前回の「40代夫婦、都心から那須へ!ホテルライクな新築一軒家と田舎ぐらしの愉しみ 【那須の家#1】」に引き続き、Aさん(仮称)夫婦の「家づくり」をレポートします。

黒く輝く「焼杉(やきすぎ)」の外壁

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右側はリビング&ダイニングなどがあるメイン棟、左側は寝室やバスルームがあるプライベート棟。2つの棟をつなぐ中央部は玄関ホールとインナーバルコニー。

とりわけ目を引く黒い外壁は、「焼杉(やきすぎ)」を使用しているそう。

「外観は倉庫をイメージしているのですが、トタンなどの無機質な素材でなく温かみのある木材を使いたかったので、日本の伝統的な家に使われている“焼杉”を選びました。杉板の表面を焼き焦がすことで、耐久性を増しています。メンテナンスも容易です。触ると墨のように手が黒くなりますが、黒い無骨な感じが気に入っています。自然素材ならではの経年変化を見届けるのも楽しみです」(Aさん)

光の当たり具合によっては銀色に輝く「焼杉」の外壁。無骨さと温かみが共存した独特の雰囲気を醸し出している。
焼杉の色味に合わせてサッシも黒色にしたことで一体感が増している。家の中から見ると黒い窓枠はまるで絵画の額縁のよう。
予定にはなかったものの、地元の注文ハウスメーカーに提案されて作った車寄せは、荒れた天気の日に大活躍! 山の生活にはありがたい存在。
こちらもハウスメーカーに提案されて作った室外機を隠すための扉。馴染んでいて気がつかない!

床材は「石目調のタイル」と「サイザル麻」の2つを使い分け

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黒っぽい無骨な外装とは裏腹に、内装は国内外のホテルや別荘を参考に、“山のラグジュアリーホテル”をイメージしたそう。

石目調のタイルとサイザル麻の床材を使い分けることで、スペースをゆるやかに区切っている。

キッチン&ダイニングと薪ストーブまわりの床材は石目調のタイルを選択。

「水回りのキッチン&ダイニングと薪ストーブのまわりは、耐水性や耐火性に優れた石目調のタイルを敷いています。タイルは『LIXIL(リクシル)』で探しました。

薪ストーブまわりの壁は耐火性に優れた石壁を配した。『サンワカンパニー』でセレクト。

一方でダイニングとリビングを区切りたかったので、リビングはサイザル麻のカーペットタイルを敷いています。石目調のタイルとサイザル麻の境目には金色の真鍮を埋め込むことでラグジュアリー感を出しました。

サイザル麻は耐久性が高く、独特の足触りと断熱性、防音性があることが特徴的です。サイザル麻のカーペットタイルは50cm位の正方形なので、汚れた部分だけを入れ替えることもできます」(Aさん)

クールな質感の石目調のタイルと、リラックス感のあるサイザル麻のカーペット。
長い煙突部分も、天井まで全て石壁でカバー。圧巻の迫力!

一見生活感が無いように見えて、使い勝手のいいキッチン

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石目調のタイルがクールな印象のキッチン。

とてもすっきりした印象のキッチン。

「当初は木材を取り入れた温かみのあるキッチンを予定していたのですが、コロナ渦中に建てたのでウッドショックに当たり仕様を変更しました。大理石調の天板に、石目調の壁をセレクトしました。私は背が低いため、吊り戸棚はうまく使いこなせないので作りませんでした。その分すっきりして見えるのだと思います。

ガスコンロとガスオーブンは『ハーマン』、食洗機は『リンナイ』をビルトインしています。田舎でもスムーズに修理に来てもらえるように国内メーカーをセレクトしました。どれもとても快適に使えています」( Aさん)

吊り戸棚がないためすっきり見えるキッチン。

それにしてもキレイに片付いていますが……。

「この家は、別荘やホテルのような非日常的な空間を目指しているのですが、同時に私たちの日常の生活の場でもあります。

料理好きなので毎日キッチンを使い込んでいるのですが、なるべく日常感が出ないように、モノを出さないようにしています。炊飯器も使い終わったらしまい込み、水切りかごも使っていません。キッチン下とカウンター下の収納スペースに収まるだけのモノしか持たないようにしています」(Aさん)

自然と人を繋げてくれるアウトドアリビング空間

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2つの棟をつなぐスペースを利用したインナーバルコニー。

玄関ホールの先にはインナーテラスが。

「メイン棟とプライベート棟の、2つの棟の間に屋根をつけてインナーテラスを作りました。当初は屋根がない予定でしたが、地元のハウスメーカーの提案を受けて屋根を作ったのですが正解でした。雨風や日差しから守ってくれるのでより自然を身近に楽しむことができるようになりました。

ファイヤーピットを新たに作ったので、暖かくなったらここでバーベキューを楽しみたいです」(Aさん)

表情があってチャーミングな炭モルタルのテラス。

テラスは味わいのあるグレーの濃淡のモルタル製。

「炭を混ぜた“炭モルタル”で作りました。ウッドデッキを検討していたのですが、結果的によりメンテナンスがしやすいテラスに仕上がりました」(Aさん)

真鍮をアクセントにしたシンクとドアノブ

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調和がとれていて居心地のよいサニタリールーム。ひとつひとつのパーツを吟味してセレクトした。

お洒落な一本足のペデスタルシンクが印象的なサニタリールーム。真鍮の蛇口がアクセントに。

「ネイビーの壁紙にあわせた緑のタイルは『サンワカンパニー』で見つけました。鏡はイケアで購入し、自分たちで縁を黒く塗りました。クロムメッキのタオル掛けは下の方にとりつけ、生活感を薄くしました。ホテルのサニタリールームをイメージしました」(Aさん)

真鍮のドアノブに、ゴールドのタッセルを組み合わせてお洒落に。

ゴールドのドアノブも可愛い!

「寝室とリビングに繋がるドアはブラック、それ以外のドアはホワイトです。ドアノブは真鍮を使ってアクセントにしています」(Aさん)

一軒目にして「ほぼ理想通り」の家を作り上げるまで

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著名な建築家にお願いしたわけではなく、潤沢な予算があったわけでもないのに、初めての家づくりでなぜ「ほぼ理想通り」の完成度に至ったのでしょうか?

最も参考にした一冊は『150 BEST NEW COTTAGE AND CABIN IDEAS』(Harper Design)

「実際に家づくりに取り組んでから初めて知ったのですが、ローンを組んで物件を完成させるまでには時間の制約があります。限られた時間と予算の中でやりくりしました。

今までに出会ってきた別荘やホテルを参考に“山のラグジュアリーホテル”というコンセプトをたて、イメージを集めてイメージボードを作りました。

最も参考にしたのは『150 BEST NEW COTTAGE AND CABIN IDEAS』Harper Design)という洋書です。『リビング・モティーフ』というインテリアショップで出会いました。世界の素敵な山の別荘が収録されています。

その他にも多くの雑誌やピンタレストなどからイメージを集めました。

何枚も何枚も作り上げたイメージボード。これをもとにハウスメーカーとイメージを共有。

外装、リビング、ダイニング、キッチン、ベッドルームetc.それぞれにイメージボードを作り、栃木の注文ハウスメーカー『栃木ハウス』さんに相談しました。こちらから提案したことを、これはできる、これはできない……とひとつひとつ詰めていきました。地元のハウスメーカーにお願いしたのは、土地とその生活のことを深く知っているからです。

生活のためには車が欠かせないので、数十年ぶりに運転するように。冬に備えて薪を用意する「薪活」も重要!

凍結する恐れのある水道管や、浄化槽の設置など、土地の気候や環境を熟知した上でたくさんの提案をいただきました。

毎週末のように東京から宇都宮まで打ち合わせに行き、東京に戻って壁やタイルなどのサンプルをショールームに見に行く作業を繰り返しました。時間もエネルギーもたくさん使いましたが、とても楽しい時間でした。

夏は虫がたくさん居るし、草刈りが重労働だし、自然の中での暮らしは大変なことも多いですが、とても満足しています。家と一緒に成長していけたらと思います」(Aさん)

様々な制約の中で行われる家づくり。それでも住みたい家のイメージを明確に持ち共有することで、理想の家づくりを実現した過程を追いました。今後の家づくりの参考にしてみてくださいね。

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