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ベランダ菜園収穫のコツ!グリーンアドバイザーが教える「長く採れる野菜」と、「秋野菜」への賢いバトンタッチ術

旅エッセイストの国井律子です。今回の連載「無駄のない暮らし」は「ベランダ菜園」がテーマ。編集部から「収穫って一度きり?」「来年も育つの?」と聞かれ、ああ、わかる! と思いました。「栽培した枝豆の収穫があっけなく終わって寂しかった」という読者様の声にも共感です。今回は、グリーンアドバイザーとして、そんな疑問にお答えします。夏の猛暑を乗り越え、秋まで長く楽しめる、賢いベランダ菜園のコツをたっぷりお伝えしますね。

咲いて、実って、そして一瞬で消える野菜たち

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枝豆は買った方が安い?
旬の枝豆は買った方が安い? 採れたてが食べたかったのに……。
ゴーヤはプランター栽培では夢の"グリーンカーテン”は実現せず?
ミョウガ
ミョウガも一気に顔を土から出すけど一瞬の出来事……。

ベランダ菜園で野菜を育てる楽しみは、何と言っても「収穫の瞬間」。とりわけ、一株から一度きりしか採れない「一年草」の野菜は、花が咲き、実をつけ、その短い一生を精一杯輝かせてくれます。

それはまるで、夜空に打ち上がった花火のよう……。その瞬間は美しく、楽しく、そしてほんの一瞬で終わってしまう。枝豆やラディッシュ、ソラマメなどがまさにその代表です。地面に直接植える「地植え」の場合は、食べるのが追い付かないくらい実を付けてくれますが、株数がそんなに植えられないプランターでは「スーパーで買った方が安い」という一番悔しい結末に……。

同様に、グリーンカーテンに憧れて私は何度もベランダにゴーヤを植えてきましたが、ゴーヤって非常に生命力旺盛な一方で、夏の極端な暑さや水不足で生育が止まってしまうなど、環境の変化にデリケートな一面がある野菜。葉っぱがチリチリッとして、せっかくなった実も小さい。

ミョウガは地下茎で増える「多年草」ですが、花穂や茎が一斉に顔を出し、まさに“お祭り”のように一気に終わってしまうのが特徴です。

このように、野菜それぞれの性質や環境によって、育てやすさや収穫のタイミングは変わってきます。だからこそ、ベランダ菜園ではそれぞれの野菜の特性を理解し、その植物に合わせた手入れをすることが、長く楽しむための鍵になります。

しかしご安心ください! そうした経験を「失敗」で終わらせないのが、グリーンアドバイザーとしての私の役目です(笑)。ここからは、皆さんの貴重な経験を活かして、ベランダ菜園をより長く、もっと充実して楽しむための具体的な方法をお伝えしていきますね~。

ミニトマト・バジル…種類別!長く楽しむ収穫術

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ベランダ菜園トマト
植えるタイミングを1週間ずつずらすと、長く収穫できる。
ベランダ菜園トマトの手入れ
枯れた葉っぱはどんどん取り除き、通気性をよく。
家庭菜園トマト
猛烈な暑さで葉っぱはどんどん枯れますが、まだ元気な実がなります。

初心者でも簡単に育てられるミニトマト。直径30センチ×深さ30センチくらいの鉢に1株植えます。ベランダ菜園では限られたスペースを生かすためにも、「野菜ごとに適した鉢選び」が成功のカギになります。

で、わが家は長辺60センチの長方形プランターに2株、TOTAL5株ほど植えています。実が赤く色づいたものから順にこまめに収穫していくことで、株の負担を減らし、次の実に栄養を集中させることができます。5株もあると、夏の間トマトは一切買わなくてもいいくらいよく採れます。毎日の収穫がちょっと忙しいので、3株くらいでじゅうぶんだと思います(笑)。のちほどたくさん採れすぎたトマトの調理例をご紹介しますね。

ハーブ類は花が咲くと味が落ちるので、つぼみができた瞬間、大胆にバチっと「摘芯」します。
トマトもバジルもわりとモサモサ背が高くなるので、支柱にくくって風に倒されないよう対策をお忘れなく。
ハーブ類は繰り返し採れて「ちょっと使い」できる便利な野菜。

バジルをはじめハーブ類は、葉だけをちぎるのではなく、茎の先端ごと「摘芯」するのがポイント。脇芽が増えて収穫量もアップします。こうすることで、摘み取った場所から新しい芽が二つに分かれて伸び、収穫量がどんどん増えていきます。味が落ちるので絶対に花は咲かせない(笑)。こまめに摘んで一番おいしいやわらかな葉っぱ部分をいただきましょう。

ハーブ寄せ植え
ハーブは1つの鉢に寄せ植えして小さく育てるのがおすすめ。
ハーブ寄せ植え
収穫をさぼっていたらモリモリと大きくなり過ぎたパセリ……。
オクラ、万願寺唐辛子、青唐辛子もプランター栽培におすすめ。1~2苗植えたら、ほったらかしで実がボコボコなります。

夏野菜を長く楽しむには…

  • 肥料を切らさない、けど「足りないくらいがちょうどいい」

野菜は実をつけるために多くのエネルギーを消費します。とくに繰り返し収穫するタイプは、そのたびに栄養分をどんどん使うので、肥料切れを起こさないことが大切です。ただ、過保護すぎてもかえって株を弱らせることもあるので、見た目で元気がないなーと思ったときが、肥料のあげどき。私は固形肥料を月2回ほど、パラっと軽く与えています。肥料は「足りないくらいでもちょうどいい」と覚えておいてください。

  •  風通しを良くする

葉や茎が茂りすぎると、風通しが悪くなります。病気や害虫が発生しやすくなったり、株全体が弱ってしまう原因に。 混み合った部分の葉や、黄色く変色した葉などは、こまめに剪定して風通しを良くしてあげましょう。株の内側まで光が当たるようになり、実もたくさん育ちますよ。

  • 日差しと水やりのバランスを保つ

夏の強い日差しは、野菜の生育に欠かせませんが、強すぎると葉焼けを起こしたり、土が乾燥しすぎたりします。とくに猛暑が続く日は、水やりを早朝か日暮れどきか涼しい時間帯に行うことに加えて、遮光ネットなどを使い日差しを和らげてあげましょう。

これらのコツを実践することで、ミニトマトやバジル、青唐辛子といった野菜を、夏の終わりまで長く、おいしく楽しむことができます!

そしてすべての季節に共通することですが……。

  • 適切な大きさの鉢を選ぶ

ミニトマト、ピーマン、茄子など、根が深く張るため、深さ・幅ともに30センチ以上の大きめの鉢がおすすめです。
葉物野菜(レタス、小松菜など)の深さは20センチ程度でもじゅうぶんですが、幅が広いプランターで育てると、一度にたくさんの量を収穫できますよ。
ハーブ類は根が浅くても育つ丈夫なものが多いため、……ていうか鉢が大きすぎると木質化してしまうので15~20センチ程度の小さな鉢がおすすめ!

ベランダからキッチンへ!採れたて野菜で「一品」レシピ

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バジルをもいで、ちょっと刻んで、トマトをカット、オリーブオイルと塩胡椒で和えただけの「カプレーゼ」。
たくさん採れすぎたとき必ず作るのが、「湯剥きトマトの白だしマリネ」。
このベビーリーフもわが家産。サラミとトマトをのせただけのシンプルサラダ。

収穫の嬉しい悲鳴! ミニトマトが「ドライトマト」に変わる日

一夜干しネットを使って「ドライトマト」を作ります。2等分にカットしたトマトを天気のいい時間帯、3日ほど外に吊るすだけ。
唐辛子、ベビーリーフ、ニンニク、塩胡椒で味付けたドライトマトのオイル漬けは万能調味料に。
ドライトマトと豆腐とアボカドのサラダ。味付けは塩昆布とオリーブオイルだけ。

育てる喜びをくれる「ベランダ菜園」

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派手な夏野菜が終わったら、今度はコスパよしな葉物野菜のシーズンです!

一年草の「一回きり」の収穫も、多年草の「繰り返し」の収穫も、どちらもベランダ菜園の大きな楽しみです。

猛暑を乗り越える工夫、収穫後の賢い手入れ、そして秋に次の野菜を植えること。こうした小さな工夫を積み重ねることで、ベランダ菜園は夏の賑わいだけでなく、一年を通して私たちに「育てる」喜びを届けてくれます。

見た目にも派手な夏野菜が終わったら、お次は秋野菜の季節ですね。涼しくなるこれからの時期は、病害虫が少なく、初心者の方でも扱いやすい野菜がたくさんあります。小松菜やラディッシュ、カブなどを育てて、秋のベランダを彩ってみませんか?

国井律子
国井律子

二輪雑誌でのエッセイストデビュー後、オートバイ、旅、自転車、アウトドアなど多趣味をいかしたエッセイを執筆しています。私生活では二人の男児の母として、日々「いかに時短で、効率よく暮らすか」を追求中。グリーンアドバイザー、整理収納アドバイザー1級の資格も持ち、家事がラクになるアイデアや、家族が喜ぶ手抜きレシピを模索しています。

https://ameblo.jp/kuniritsu/
https://www.instagram.com/ritsuko_kunii/

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