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料理家・和田明日香さんも実践!魚と野菜の「フードシナジー」で栄養アップする3つのポイント

先日、『万城シーズニングパートナーズ』による「魚と野菜 フードシナジーシンポジウム2024」が開催され、今注目されている、食べ合わせにより栄養がパワーアップする「フードシナジー」として魚と野菜の組み合わせが紹介されました。

料理家、食育インストラクターの和田明日香さんに、子育て世代にぜひ参考にしてほしい、魚と野菜の「フードシナジー」についてお話を聞きました。

脱・魚メニューのマンネリ化にも役立つフードシナジーが紹介されました。

和田明日香さんに聞く「食卓にフードシナジーを取り入れるコツ」

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和田さんが実践している「フードシナジー」とは?

和田さんはこれまで「フードシナジー」という言葉をご存じだったのでしょうか?

「『フードシナジー』なんてかっこいい言葉は知らなかったですが、いろいろな食材を組み合わせた方が食感にバラエティが出ますし、淡泊な味のお魚にしっかりした味のものを合わせると、どっちもおいしく食べることができます。

お肉ばっかり、お魚ばっかりにならないように、野菜も摂れる献立を考えて作っているので、意識するまでもなく当たり前のこととしてやってきたことが『フードシナジー』だったということを改めて知りました」(以下「」内、和田明日香さん)

毎日の食卓に「フードシナジー」を取り入れるコツは?

カツオとトマトは旬も同じでコスパ的にも相性抜群!

「フードシナジー」とは、健康に繋がる食材の食べ合わせと言えます。和田さんは、日々どのように献立を考えているのでしょうか? わかりやすいポイントがあれば教えてください。

「今日何作ろうかなって考えるのってすごくストレスですよね。『フードシナジー』とか難しいことを考えずに、まずは料理家の考えたレシピを参考にしてみてはいかがでしょう。

料理家のみなさんはおいしさや栄養の組み合わせを考えレシピを提案されているので、レシピを参考にしてもらえることが一番簡単で、私たち料理家にとってもうれしいことです。

家にある食材で作るときに『フードシナジー』を考えるのは難しいですが、いくつかのポイントを押さえるとわかりやすいと思います。

1つめのポイントは色。食材の相性の良さを判断する目安のひとつが食材の色で、同じ色同士だと味が合い、栄養的にも相乗効果が高いと言われています。例えばトマトと赤身のカツオの組み合わせ。私もカツオのお刺身とトマトを合わせてサラダ感覚でよく食べます。

サラダに魚は使いにくいと思われがちですが、お寿司屋さんにあるような海鮮サラダをイメージしてください。レタスやキュウリ、トマトの上にお刺身の端っこみたいなものとか、ホタテとかトビコがのっていますよね。ベーコンやハムを入れるのと同じ感覚でお刺身とかマリネしたものを入れてもいいと思いますし、サラダに使いやすいツナだってお魚なので、もっと軽く考えて組み合わせてみるといいかもしれません」

和田さんおすすめの「鮭のちゃんちゃん焼き」。

「2つめのポイントは、淡泊な味のお魚を野菜の味で補うということ。火を通し過ぎるとパサパサになるけど、長く火を通さないと味がしみないというように、お魚は火の通し加減が難しいという声をよく聞きます。

魚は淡白な味のものだと考えて、キャベツとか香味野菜などを合わせることでお魚の味を補えば、火の通し方もそんなにストレスなくできるのかなと思います」

くさみのある青魚系は香味野菜と組み合わせたり、南蛮漬けにするのも◎。

「3つめのポイントはお魚のくさみ対策。私も先日ブリ大根の写真をアップしたんですが“ブリ大根は臭くて食べられないです”みたいな返事がいっぱい来ちゃって、どんな作り方しているの?と心配になりました(笑)。

確かにくさみが原因でお魚が敬遠されていることも多いので、だったらくさみを消してあげればいい。私は薬味が大好きなので、ニンニクとか生姜とか、とにかく薬味をたくさん合わせています。

また、酸味はお魚のくさみを消してくれるので、南蛮漬けのような酸っぱいお料理にしちゃうのも手です」

シンプルだけど、わかりやすいポイントですね!

「レパートリーがなくって……という方が本当に多いんですが、もっと簡単に考えてもらっていいんじゃないかなと思います。

例えば、ちゃんちゃん焼きも、鮭じゃなくてもタラやブリなど魚の種類を変えてもいいし、キャベツの代わりに冬は白菜やブロッコリーにしてみるとか、野菜の種類を変えるだけでも何通りもレパートリーを増やしていけます。

3つのポイントをとりあえず頭に入れて、これぞという味付けを持っていれば、使う食材を変えるだけで料理はまったく別の顔になっていきますよ」

「フードシナジー」は魚だけでなく肉でもOK?

「迷ったら旬のものを」と語る和田さん。

これまでご紹介いただいたメニューはすべてお魚でしたが、お肉は「フードシナジー」には含まれないのですか?

「食材の相乗効果を得る食べ合わせが『フードシナジー』ですから、肉でもいいと思います。要は栄養のバランスということですよね。味の相性がいいものを組み合わせれば自然に栄養の相性も良くなるとのことなので、魚や肉に合わせて野菜を一緒に食べればそれだけで栄養価も上がると思います。

一食で完璧にできなかったとしても、週に何度か『フードシナジー』を意識して取り入れれば栄養バランスがよくなるので、長い目で見て、1週間~10日ぐらいの間で魚も野菜も肉も全部食べたよね、みたいな気持ちで構えればいいと思います。

一食一食に完璧な組み合わせにしないと!というような感じだと長続きしませんし、ストレスがたまるばかり。スーパーの野菜売り場、魚売り場で一番棚を取っている食材が旬のものなので、迷ったらそれらを選んで、取り入れやすい食材や味付けを加えるっていう感覚でいいと思います。旬のものならお値段的にも安く上がりますね」

骨があるからイヤ…魚嫌いの子どもにはどうしたらいい?

お魚を使った「フードシナジー」のある料理も作りたいのですが、子どもが骨のある魚が嫌いというケースもあります。そういう時は、どうしたらいいのでしょう?

「子どもには“あなたと同じように、魚にも骨はあるんだよ。同じものだよね。魚を食べることは命をいただいているんだよ”と、食育の観点からも面倒がらずに食べさせることが大切。子どもが骨を嫌がるからと避けるのは、お母さん・お父さんが子どもに食べさせるのを面倒くさいと思っていて、子どもを言い訳にしているだけだと思います。

魚料理は作るのも面倒という方も多いですよね。お義母さん(平野レミさん)はお魚大好きで、私が魚の捌き方を教わったのはレミさんです。“魚捌くよ~!”って言われて横で見ていたんですけど、バーッとものすごい速さでアジを捌いちゃったので全然わからず、もう一尾をゆっくりやってもらってじーっと見て覚えました。

レミさんが出張で地方に行ったとき、朝捕ったカツオを夜の10時ぐらいに持ち帰ってきたことがありました。大きいカツオが玄関の前にどんと置かれて、今日食べられないし、どうしたらいいのかと。レミさんから“新鮮なうちに捌いて食べないと!”と言われて、当時は出刃包丁も持ってなかったので、一生懸命YouTube見て、キッチンを血だらけにしながら捌きました。でもやっぱりおいしかったです。確かにお義母さんの言ってることは正しかったけど、若干迷惑だったかも(笑)」

体調が悪い時に、意識的に取り入れている食べ物は?

「フードシナジー」のバランスを考えた食事をしても、体調を崩してしまうこともあります。ちょっとやばいな……体調を崩しそうだなという時、和田さんは何か食べ物で調整したりするのでしょうか?

「体調が悪い時ってあまりないんですが(笑)、レミさんのレシピで『にんにくまるごと粥』っていうのがあって、まるごとにんにく2株を皮をむいて全部入れて、豚バラでもいいし、鶏手羽先でもいいんですけど、ちょっと油の多い出汁が出るようなお肉と一緒にお粥にします。炊いている間に香菜を切って醤油で和えたタレを作っておきます。

すっごく臭いけど、めっちゃ体温まるんですよ。柔らかく煮込むので、トロトロになったにんにくもしっかりといただきます。体が温まって悪いもの全部汗で一緒に出る感じです」

「にんにくまるごと粥」も、ある意味「フードシナジー」のとれているレシピなのかもしれませんね。

 

取材・文/阿部純子 撮影/田中麻以(小学館)

【取材協力】

万城シーズニングパートナーズ(BSP)

キユーピー


和田明日香さん。3児の母としても知られ、ベストマザー賞を受賞したことも。

和田明日香さん

料理家、食育インストラクター。料理愛好家・平野レミさんの次男と結婚後、食育インストラクターの資格を取得。まったく料理が出来なかった自身の経験を活かし、生活に寄り添った手軽でおいしい料理が人気を集める。テレビや雑誌などメディアでのレシピ紹介、料理企画を通した企業とのコラボレーションなど、料理家としての活動を中心に、食育や家族のコミュニケーションをテーマにした全国各地での講演会やイベント出演、コラム執筆、ラジオパーソナリティーなど幅広く活動中。

 

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