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「もずく」と「めかぶ」、「木綿」と「絹ごし」健康的にお得なのはどっち?食品選びの新基準「健康コスパ」を知ろう

その食材にどのような栄養素がどのくらい含まれているか、得られる価値やメリットがどのくらいあるのか、「健康を軸にしてコストパフォーマンスを見る」のが「健康コスパ」の考え方です。健康に特化した指標を目安にすることで、食品を購入するときにより健康貢献度が高いものを選ぶことができます。

健康コスパを提唱している管理栄養士の浅野まみこさんに、毎日の食卓によく上がるおなじみの食材を健康コスパで分析していただきました。

「経済的な“コスパ”、時短につながる“タイパ”も重要ですが、それだけで判断してしまうと、栄養の観点が抜けてしまいます。安いという基準だけで選ぶと栄養素的には足りないものが出てきますし、食卓が単調になってしまいます。

健康コスパという視点を加えることで、自身や家族の体にとってより良いものが選べて、食卓が豊かになりますし、なにより日々の食品を選ぶ視点が変えられるというところが最大のメリットだと思います」(以下「」内、浅野さん)

ヨーグルトはビフィズス菌入りかどうかがポイント

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ヨーグルトは健康を意識して購入する食品ですが、多くの種類が出回っているため、好みの味やいつも買っているものという基準で選ぶことが多いかもしれません。

ヨーグルトは乳酸菌発酵で作ることが主で、商品によって乳酸菌の種類が異なります。ヒト由来の乳酸菌、動物由来の乳酸菌、植物由来の乳酸菌と菌の種類でも違いがありますが、一番大きな比較ポイントとしては、乳酸菌だけのものか、乳酸菌にビフィズス菌を加えているかということです。ビフィズス菌のあり・なしはヨーグルトにおいては大きな差になり、味にも影響しています。

乳酸菌は酸に強いですがが、ビフィズス菌は乳酸菌より酸に弱いため、ビフィズス菌入りのヨーグルトは、酸味をマイルドにさせているものが多くなっています。

そのため、酸味が強いヨーグルトは乳酸菌発酵だけのものが多く、ビフィズス菌入りのヨーグルトはまったりとした味わいのものが多いのです。

 「乳酸菌は主に小腸で働きますが、昨今、注目されている『腸活』のメインは大腸を指します。ビフィズス菌は主に大腸で働き、乳酸のほか、『短鎖脂肪酸』のひとつである『酢酸』を生み出すことが大きな特徴です。

短鎖脂肪酸には3種類(酢酸、酪酸、プロビオン酸)あります。短鎖脂肪酸は、粘膜をより保護する働きがあり、免疫機能調整や強い殺菌力、血糖値上昇抑制、肥満予防などさまざまな働きがあり、腸活で今、注目されています。乳酸菌のみのヨーグルトよりビフィズス菌が入っている方が、健康コスパが高いと言えるでしょう」

ビフィズス菌入りヨーグルト。ビフィズス菌の有無で、体への働きや味わいが異なります。
乳酸菌のヨーグルト。

お肉類は目的によって選ぶことが「健康コスパ」に

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 「豚肉、鶏肉、牛肉はいずれもたんぱく質摂取として優秀な食べ物です。ビタミンB1、鉄分、高たんぱく等、肉に関してはそれぞれ特性や食べる部位によっても異なるため、目的によって健康コスパも異なります」

鉄分豊富な牛肉は貧血防止にも

鉄分が不足しがちな女性にとって心強い味方になる牛肉。

牛肉は鉄分の含有量が肉類の中で飛び抜けて多く、鉄分の不足がちな女性にとっては健康コスパが高いお肉といえます。輸入牛肉の肩ロースと豚肉の肩ロースの鉄分を比較すると、牛は1.2㎎、豚肉0.3㎎と、同じロース部位でも4倍ほどの差があります。鶏もも肉は0.6㎎で、鉄分に関しては牛の半分程度です。

「20代~30代の日本人女性の半分以上が隠れ貧血と言われているほど、女性にとって鉄分は不足しがちな栄養素ですので、意識的に牛肉を食生活に取り入れることもおすすめです」

豚肉は糖質代謝に働きかけるビタミンB1が豊富

食卓の助けになる豚肉は、ごはんをしっかり食べる人には健康コスパが良い食材。

肉類の中では比較的安価なため、食卓によく上がる豚肉。豚肉は糖質代謝に働きかけるビタミンのB1が肉類の中で最も多く含まれています。豚(もも肉/脂身付)100gあたりビタミンB10.9mgに対し、牛(もも/脂身付)は0.08㎎、鶏(もも/皮付き)は0.10㎎と、豚肉はビタミンB1が豊富です。

ビタミンB1は糖質を体内で燃やしエネルギーへ変えるために必要な栄養素であるため、ごはんやパンといった主食をよく食べる人、甘いもの好きの人には、豚肉は健康コスパが一番高いといえます。

高タンパク目的なら鶏肉はささみとむね肉を

筋力アップ、ダイエットを目的としているなら鶏肉はささみ、むね肉を。

鶏肉は低脂肪、高タンパクというイメージで知られており、筋肉作りやダイエットを目的にしている人、脂質を摂りたくない人向けには健康コスパが高いといえます。

「鶏肉はタンパク質が高いと思われていますが、実はタンパク質はどの肉もそんなに大差がありません。鶏肉ではささみ、むね肉でしたら100gあたりのタンパク質量は10gほど他の肉類より上がりますが、もも肉に関しては他の肉類とあまり変わらないため、高タンパクを目的とするなら、ささみとむね肉を選ぶようにしましょう」

レタス類でもこんなに違う!サラダに入れる葉物野菜の「健康コスパ」が高いのは?

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レタス類の中で、レタスは淡色野菜、サニーレタス、リーフレタス、サラダ菜は緑黄色野菜に分かれます。淡色野菜、緑黄色野菜はベータカロテンの含有量で分類され、100gあたりのレタスのベータカロテンの含有量は240㎍、サラダ菜は2200㎍、リーフレタスは2300㎍、サニーレタスは2000㎍と大きな差があります。

「ベータカロテンの含有量はおおよそ10倍ほど違いますが、レタス類はさほど値段に差がありませんので、サラダに入れるとしたらリーフレタス、サラダ菜、サニーレタスを選んだ方が、健康コスパが上がります。

むくみ改善に働きかけるカリウムに関しても、レタスは200mgに対し、サラダ菜410㎎、リーフレタス490㎎、サニーレタス410㎎と2倍ほど違ってきます。カルシウムの含有量もレタスと比べると大体4倍近く(レタス19mg サニーレタス66mg)多くなっています。鉄分もレタスが0.3mgですが、サラダ菜は2.4mgと、ここでも8倍違ってきます。

レタスはビタミンCの比較対象として取り上げられることが多いですが、レタス100gに対し、ビタミンCは実は5mgしか入っていないんです。サラダ菜は14mg、リーフレタス21mg、サニーレタス17mgなのでビタミンC含有量も3倍から4倍高いです。えぐみや苦みが感じにくいレタスを好む方も多いですが、サラダ用の葉物野菜の健康コスパに関して、レタスは若干弱い結果です」

サニーレタス、リーフレタスは健康コスパ良し!の野菜。
サラダ用葉物野菜の中で健康コスパ優等生のサラダ菜。

豆腐の違いは食感だけじゃなかった!?

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絹ごし豆腐と木綿豆腐は食感の違いもあり、それぞれ好みや使う料理によって選ぶという場合も多いですが、豆腐については製造工程の違いが健康コスパの差につながります。

木綿豆腐は豆乳をにがり(凝固剤)で固めたものを一度崩し、型に入れて圧力をかけて押し固めて作りますが、絹ごし豆腐は豆乳ににがりを加えてそのまま固めるだけ。

 水分を抜いて凝縮して作る木綿豆腐は、たんぱく質やカルシウムなど大豆本来の栄養素が多く含まれており、絹ごし豆腐に比べて、全体的に少しずつ栄養価が高くなっています。

反対に水分量が多い絹ごし豆腐は、栄養価はやや下がりますが、カロリーが低く、カリウムが多いのが特徴です。

絹ごし豆腐。
木綿豆腐。木綿豆腐の方が栄養価全体としては少し高いですが、絹ごし豆腐も低カロリーでカリウムが豊富と健康食品であることは変わりません。

常備品としても重宝する魚の缶詰で栄養価が高いのはツナ缶?サバ缶?

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そのままでも、調理に使ってもおいしいツナ缶と、ダイエットに良いとテレビ番組で紹介されブームが巻き起こったサバ缶。使い勝手がよくて常備品としても重宝する缶詰ですが、栄養価が高い健康コスパの視点で見るとサバ缶が「圧勝」という結果に。

 「比較ポイントは『オメガ3脂肪酸』の含有量です。サバ缶はツナ缶に比べ、血液凝固低下作用や認知症の予防効果が期待されるオメガ3脂肪酸を多く含んでいます。その他、カルシウムやビタミンD、鉄、亜鉛ビタミンEなどもサバ缶の方が豊富に含まれているため、あっさりして脂質が少ないツナ缶に比べて、サバ缶の方が全体的に栄養価は高くなっています」

サバ缶。「オメガ3脂肪酸」をはじめ、カルシウムやビタミンD、鉄、亜鉛ビタミンEなどもサバ缶の方が豊富!
ツナ缶。

食物繊維やミネラルが手軽に摂れて低カロリーの海藻はどちらに軍配が?

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食物繊維やミネラルが手軽に摂れて低カロリーの「もずく」と「めかぶ」。食物繊維の含有量を比較すると、めかぶはわかめの根元部分を使っていることもあり、もずくに比べて食物繊維が100gあたり3.4g、もずくは1.4gとなっており、2倍以上という大きな差があります。

造血ビタミンと呼ばれる「葉酸」「カリウム」など多くの栄養素でめかぶが上回るため、健康コスパはめかぶが高いといえます。

めかぶ。健康コスパ的にはめかぶに軍配が上がりますが、歯ごたえを楽しむならめかぶ、つるりとした喉ごしを楽しむならもずくと、両方選んでもいいですね。
もずく。

食用油は「酸化のしにくさ」によって健康コスパが決まる

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オリーブの実をしぼって作るエクストラバージンオリーブオイルには、ポリフェノール類やビタミンEなどの抗酸化ビタミンが多いのが特徴です。

ごま油は、コレステロールを低下する作用が期待できるほか、ゴマリグナンやビタミンEなどの抗酸化成分が豊富に含まれており、脂肪酸の代謝促進などに効果的。

それぞれに健康効果はありますが、“酸化のしにくさ”という点で、エクストラバージンオリーブオイルの方が健康コスパは高いといえます。

エクストラバージンオリーブオイルは価格差が大きく、こだわればこだわるほど高額になってしまいますが、ごま油は安定的な価格帯で売られていることもあり、コスパ(費用対効果)ではごま油の方が高くなるので、双方を使い分けるのがお財布にも優しいかもしれません。

節約志向が高まる中では価格の安いものを選びがちですが、同じ価格帯の食材なら、「健康コスパ」を判断の基準に入れると、より健康を意識した選択ができます。日々の食材選びの指標のひとつとして参考にしてみてはいかがでしょうか。

取材・文/阿部純子

オリーブオイルとごま油。

浅野まみこさん

【取材協力】

浅野まみこさん

管理栄養士・健康戦略コンサルタント。総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて糖尿病の行動変容理論をベースに18千人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、健康経営サポート、レシピ開発、食のコンサルティング、講演、イベント等で活動。具体的な食品を使った実践型栄養アドバイスをモットーとしている。

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