実は栄養たっぷり!小豆の基礎知識
nullこんにちは。栄養士の道添明子です。料理家「あーぴん」として、時短簡単・美味しい・おしゃれな“みんなが笑顔になれる幸せごはん”の料理教室を主宰、簡単レシピを毎日SNSで発信しています。
赤い色が邪気を払うとして古くから日本で親しまれてきた食材である「小豆」、の栄養や健康効果などおすすめレシピとともにご紹介します。
ささげ、大納言…小豆の種類
小豆の中でも特に粒が大きいものに「大納言(だいなごん)小豆」があります。ふっくらとして色ツヤもよく、煮ても皮がくずれにくいです。
また、よく似たものに「ささげ」があり、これは黒っぽい小さな豆です。ささげは煮ても皮が破れにくくきれいなまま。関東地方では煮崩れた小豆が切腹を連想させるので、お祝い事のお赤飯にはささげが使われることが多いと言われます。
小豆(乾燥)100gあたりに含まれる栄養素
- エネルギー:304kcal
- たんぱく質:20.8g
- カリウム:1300mg
- 食物繊維:24.8g
- 糖質:34.8g
たんぱく質が多く含まれ、腸内環境を整える食物繊維もしっかり。豊富なカリウムは体内のナトリウムの排出を助ける働きがあるので、塩分のとりすぎが気になる人にも適しています。カリウムはむくみの解消にも役立ちますよ。
また、小豆の紫色の色素で分かるように、ポリフェノールが豊富です。活性酸素を除去して酸化を抑える抗酸化物質です。
このように、実は小豆はたんぱく質・むくみ防止・食物繊維でお腹すっきり・抗酸化作用と、美容面からも女性には嬉しい成分がたくさん含まれる美容食材なんです!
小豆とあんこの比較
茹でた小豆からあんこを作るとどれだけエネルギー(カロリー)と糖質が増えるのでしょう。100gあたりの数値で比較してみましょう。
- こし生あん(砂糖なし):147kcal/20.3g
- さらしあん:335kcal/40g
- つぶし練りあん:239kcal/48.3g
- こし練りあん:255kcal/54.9g
あんこ100gあたり230〜260kcal、糖質は48〜55gとやや多く感じますが、脂質が少ないのでケーキなどと比べるとずいぶん低カロリーです。
参考文献:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
意外と簡単!小豆を茹でてみよう
null小豆を茹でる・あんこを作る手順(作りやすい分量)
(1)小豆200gは軽く水洗いして、割れたものなどがあれば取り除く豆がかぶるくらいの水を入れて水から煮る。
(2)鍋が沸騰したら弱火にして、5分ほど茹でる。煮汁に少し色がついたら火を止め、小豆をザルにあげて煮汁は捨てる(渋切り・渋抜き)。
(3)再び小豆を鍋に入れ、水1Lを加えて再度火にかけて、中火から弱火で煮る。途中アクが出たらすくいながら、ごく弱火で30〜50分煮る。
(4)指で簡単につぶれるまでやわらかくなったら砂糖をまずは半量入れて味をみて、足りないようなら追加する(トータル120g~200g程度、お好みで)。好みの甘さになったら塩ひとつまみを加えて完成。煮汁の煮詰め具合は使い道により調整してください。
以下、小豆を調理する際のポイントです。
小豆は浸水しなくてOK
豆類はまず一晩水に浸して……とすることが多いですが、小豆は浸水させずにすぐに茹でることができます。茹で時間の目安は30分から1時間と短めなので、気軽にトライできますね。
渋切り・渋抜き
浸水は不要ですが、最初の煮汁には渋み・苦味が強く出ます。このまま煮てしまうと苦味のあるあんこになってしまうので、最初のゆで汁は必ず一度捨てます(渋切り・渋抜きと呼びます)。
圧力鍋、炊飯器、鍋…何で茹でる?
時短ならば圧力鍋、お手軽な炊飯器など様々な調理器具で煮ることができます。しかし、小豆は収穫年度や乾燥の具合により、加熱時間が意外とバラバラです。
圧力鍋で加熱しすぎると粒が全くなくなるほど崩れてしまうこともあるので、お鍋で様子を見ながら茹でるのをおすすめします。
砂糖を入れるタイミング
茹でた小豆を指でつぶしてみて、芯まで柔らかくなっていれば茹で上がり。そこに砂糖を加えてあんこにします。砂糖を入れてしまうとそれ以上やわらかくはならないので、必ず茹でたあとに砂糖を入れるようにします。
砂糖は上白糖だけでなくきび砂糖、三温糖、てんさい糖などお好みで。甘さや味わいを調整できるのが手作りのいいところですね。
ここでは、200gの小豆から約600gのあんこができました。
できあがったあんこは冷蔵庫で4〜5日保存可能です。また冷凍では3〜4週間を目安とします。小分けにして冷凍しておくとすぐに使えて便利です。
冬至には欠かせない「いとこ煮」をレンジ調理
nullなぜ「いとこ」なのでしょう? 諸説ありますが、材料を煮えにくいものから、「おいおい」入れていく「追々」が「甥甥」となり従兄弟になったという話も。かぼちゃで作るものが有名ですが、里芋やさつまいもでもおいしいですよ。
上記で作ったあんを使用しています。缶詰の茹で小豆でも大丈夫ですが、その場合は手作りのものより甘みが強い場合が多いので、砂糖の量を調整してください。
最初にかぼちゃに砂糖をまぶしておき、かぼちゃから水分を出してから水を加えずにレンジ加熱するとべちゃっとならず、ほっくり仕上がります。
【材料】(3人分)
・かぼちゃ 1/4個 (300g)
・あんこ 150g
<調味料>
・砂糖 大さじ1
・しょうゆ 小さじ1
・塩 ひとつまみ
・水 50ml
【作り方】
(1)かぼちゃは種を取り、ラップに包んで600Wの電子レンジで2分加熱する。かぼちゃは皮をところどころ削ぎ落とし、2〜3cm角の一口大に切る。
(2)耐熱容器にかぼちゃと<調味料>を入れて2〜3分おく。
(3)あんこを加えて、ラップをして電子レンジ(600w)でさらに1分加熱する。この段階でかぼちゃが柔らかくなっていない場合には30秒ずつ追加する。器にかぼちゃを盛り、小豆をかけて盛り付ける。
10分で食べられる!白玉団子入りぜんざい
null「ぜんざい」と「お汁粉」の違いを知っていますか?
関東では小豆あんの汁もの全体を「お汁粉」と呼び、こしあんで作ったものは「御膳汁粉」や「お汁粉」、粒あんで作ったものは「田舎汁粉」、汁気なしのあんに餅や白玉を入れたものを「ぜんざい」と呼びます。
関西ではこしあんで作ったものを「お汁粉」、粒あんのものを「ぜんざい」、汁気なしのものを「亀山」と呼ぶなど、地域によって呼び名が異なるようです。
ここでは上記の手作りあんこと冷凍の白玉団子があればすぐに食べられるぜんざいをご紹介します。あんこがない場合はもちろん市販の茹で小豆を使用しても作れます。その場合は砂糖や水の量を調整してください。
【材料】(2人分)
・あんこ 200g
・冷凍白玉 10個(80g)
・水 50〜100ml
・砂糖 大さじ2〜3(きび砂糖・三温糖・上白糖など)
・塩 ひとつまみ
【作り方】
(1)鍋にあんこと水を加えて火にかけ、砂糖を加えてお好みの甘さ、濃度にする。仕上げに塩を加える。
(2)冷凍白玉は耐熱容器に入れ、ラップをして電子レンジ(600W)で1分加熱する。器にあんこを入れ、白玉をのせる。
意外と手軽に作れちゃう!レンジお赤飯
nullもち米を使った本格的なお赤飯が電子レンジで作れます。事前に小豆を煮ておけば、あとは簡単。
小豆を茹でる際、1度目の茹で汁は渋切りとして捨てますが、2度目の茹で汁は必ず捨てずに取っておいてください。この茹で汁でお赤飯の色を付けます。
【材料】(米2合分)
・もち米 2合
・小豆 50g(ささげでも)
・水 300ml(小豆のゆで汁と合わせて300ml用意する)
・ごま塩 適量
【作り方】
(1)もち米は研いで水に30分以上浸けておき、ざるにあげる。
(2)小豆は軽く洗い、かぶるくらいの水を鍋に入れて中火にかけて沸騰させる。一度お湯を捨てたら、新しく水を加えて再び中火にかける。
(3)小豆が柔らかくなるまで10〜15分煮て、茹で汁と小豆を分けておく。
(4)大きめの耐熱ボウルに、もち米、茹で汁と合わせた水を入れ、茹でた小豆をのせ、ふんわりラップをして600Wの電子レンジで7分加熱する。
(5)一度取り出し、底からしゃもじで混ぜて、再びふんわりラップをしてさらに6分加熱して、そのまま冷ます。
この時少しつまんで食べてみて、お米に芯があるようならばさらに30秒ずつ様子を見ながら追加で加熱する。できあがったら器に盛り、ごま塩を添える。
小豆は水に浸す手間もなく、作りたい時にすぐに作れて、他の豆類よりも短時間で煮ることができます。手作りあんこは甘さが自分好みにできるのもいいところです。
あんこがあれば、お正月のお餅でお汁粉にしたり、アイスクリームに添えたり、トーストに塗ったりと大活躍すること間違いなしです。豆の産地や砂糖の種類で味わいや風味も変わりますから、自分好みのあんこ作りを楽しんでみてくださいね。
栄養士、料理家。
日本女子大学食物学科卒業。大手食品会社にて新製品の企画開発などに携わる。その後企業向けの料理レシピ開発、シルバー大学や料理教室講師、企業の健康栄養セミナーなどで幅広く活躍。
「健康な体は毎日の食生活から」をモットーに、初心者でも作りやすいよう調理法を工夫し、素材を生かしたメニューを得意とする。各種SNSで日々レシピ情報を更新中。
https://lit.link/apinakikomichizoe
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