まずは「小麦粉」と「薄力粉」について調べてみると…
null小麦粉
小麦をひいて粉にしたもの。パン・うどん・菓子などの原料。うどん粉。メリケン粉。
【出典】デジタル大辞泉 小学館
薄力粉
軟質の粉の得られる小麦を原料とした小麦粉。たんぱく質が少なく、水を加えてこねたときに粘りけが少ない。ケーキやてんぷらの衣に用いる。
【出典】デジタル大辞泉 小学館
つまり「小麦粉」と「薄力粉」の違いって?
薄力粉とは小麦粉の一種。つまり小麦粉とは、小麦をひいて粉状になったものの総称なんですね。
辞書によると、どうやらたんぱく質の含有量が粘り具合とかかわりがありそうです。薄力粉のほかに、中力粉・強力粉もありますが、これらは粘り気の違いというのが名前から想像できますね。
では、粘り具合によってどのように使い分けたらいいのでしょうか?
特徴を知れば、使い分けもバッチリ!
null小麦粉ってじつは種類がたくさん!キーは“グルテン”の量
料理研究家・時吉さんによると……
「小麦粉は、薄力粉や強力粉のほか、全粒粉やグラハム粉、パスタの原料となるセモリナ粉などの総称で、いずれも小麦を挽いた粉状のものを指します」(以下「」内、時吉さん)
小麦粉って、グループ名だったんですね!
「なかでも身近なのが、薄力粉、中力粉、強力粉の3つではないでしょうか。
薄力粉の原料は軟質小麦と呼ばれるもので、たんぱく質が少なく、適度に柔らかく仕上がるのが特徴です。一方の強力粉は、たんぱく質が多くて粘り気や弾力性の高くなりやすい硬質小麦が原料。中力粉のたんぱく質含有量は両者の間くらい、と分けられています。
いちばんの違いはずばり、“弾力の強さ”です。これは、小麦粉に水を加えてこねることで生成される“グルテン”というたんぱく質の量に比例します。
グルテンは小麦粉に含まれる2種類のたんぱく質が絡み合ってできるもので、網目状になっているんですよ。パン生地は、酵母の発酵によって二酸化炭素や炭酸ガスが発生します。これらがグルテンの網目をふくらませるのがふっくらとした食感を生み出しているんです」
なるほど! たんぱく質の含有量によって区別されていたんですね。
薄力粉・中力粉・強力粉のベストな使い分けは?
薄力粉、中力粉、強力粉は粘り具合が違うとのことですが、どう使い分けたらいいのでしょう?
「粘り気が少ない薄力粉は、天ぷらやケーキ生地、クッキーなどさっくりとした食感のお料理に適しています。以前、天ぷらとフリッターの違いでもお話ししたように、てんぷら衣を作る時はまぜすぎ厳禁。太い菜箸を使って細かく混ぜないようにすると、グルテンの生成が抑えられて、サクッとした食感に仕上がりますよ。
中力粉は、主にうどんやそうめんといった麺類のほか、ぎょうざの皮などにも使われています。いずれも適度な強さがなければ伸ばせない生地ですよね。もし、おうちで生地作りをする時に中力粉がなかった場合は、薄力粉と強力粉を半々ずつ混ぜて、お互いのいいとこどりをしちゃえばOK! わざわざ買わなくても大丈夫ですよ。
しっかりとした弾力が生まれる強力粉は、もちもち食感のパン作りなどには欠かせません。仕事柄、米粉でパンを作ることもありますけど、強力粉を使った方が、もちもち感に加えてふんわり感が出ます。お好みで使い分けてみてくださいね」
レシピに“小麦粉”とあったらどれを使えばいいの?
nullよくレシピに、単に“小麦粉”と書かれていることがあります。この場合、どれを使ったらいいのか迷ってしまうのですが……。
「薄力粉を使っても強力粉を使ってもさほど大差はないはずです。例えば、シチューのルーや、クレープ生地を作る時に薄力粉がないから強力粉で代用するくらい(大さじ1、2杯くらい)なら問題ありません。
ただし、レシピに薄力粉、強力粉などとわざわざ明記されているのでしたら、代用しない方がいいでしょう。もし、パン作りに強力粉と書かれていたのに薄力粉を使ってしまうと、残念ながら期待通りのもちもち&ふんわり感にはならないはずです。そこはやはり、レシピ通りに作った方がおいしくできると思いますよ」
曖昧だった「小麦粉」と「薄力粉」の違いがクリアになりました! それぞれの違いを踏まえた上で、ばっちりと使いこなしていきたいですね。
構成/kufura編集部
【参考】
・「小麦粉の魅力-豊かで健康な食生活を演出-」製粉振興会 編 製粉振興会
・「くらべてわかる食品図鑑3 米とこく類」家庭科教育研究者連盟 編著 大月書店
・日清製粉グループ 小麦粉百科 小麦・小麦粉の基礎知識
https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_01.html
料理研究家。(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表
土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「有吉ゼミ」などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍。
Instagram(@cooking_clocca)では、日々のお料理や季節の和菓子といったレシピを中心に、オススメの調理器具やロケ先で出合った食材などを発信中。