たいの栄養情報
nullまだい(天然・生)100gあたりに含まれる栄養素
・エネルギー:129kcal
・たんぱく質:20.6g
・脂質:5.8g
・ビタミンD:5.0μg
■ビタミンB群
・ビタミンB1:0.09mg
・ビタミンB6:0.31mg
・ビタミンB12:1.2μg
■非必須アミノ酸
・グルタミン酸:3000mg
・アスパラギン酸:2200mg
■必須アミノ酸BCAA
・バリン:1100mg
・ロイシン:1700mg
・イソロイシン:1000mg
白身魚の中ではエネルギー・脂質は高め
たいは白身魚なので「エネルギー量が少なく低カロリーなのでは?」と期待しますが、下記の通り同じ白身魚のひらめ、たらに比べると意外に脂質が多く、高カロリーです。
また、そのほかの魚と比べてみると、脂がのったさんまやさばよりは低カロリー、まぐろの赤身よりは高カロリーであることが分かりました。
ただ、これは魚と比べた場合です。脂質の多い肉類(豚もも肉や鶏もも肉など)に比べればたいは低カロリーかつ低脂質な食品です。これについては後述します。
白身魚100gあたりのエネルギー/脂質量の比較
・まだい(天然):129kcal/5.8g
・ひらめ(天然):94kcal/2.0g
・たら(まだら):72kcal/0.2g
その他魚100gあたりのエネルギー/脂質量の比較
・さんま(皮付き):287kcal/25.6g
・さば(まさば):211kcal/16.8g
・かつお(初かつお):108kcal/0.5g
・まぐろ(キハダマグロ):102kcal/1.0g
カルシウムと一緒に摂りたいビタミンD
歯や骨の健康に欠かせないカルシウムの吸収を助けるビタミンです。日光を浴びると皮膚でもつくられますが、食べ物では魚、きのこなどに含まれます。脂溶性ビタミンなので、たいに含まれる脂質が吸収を高めてくれますよ。
ビタミンB群が効率よく摂れる
たいにはビタミンB群が含まれています。ビタミンB群の働きで大切なのがチームワーク。複数を組み合わせて摂ることで作用が高まる特徴があります。
・ビタミンB1
糖質をエネルギーに変える代謝に関わっています。たいのお寿司や海鮮丼ではご飯に含まれる糖質の代謝を助けてくれます。
・ビタミンB6
エネルギー代謝やたんぱく質の分解を助けるため、たんぱく質と一緒に摂るのがおすすめです。たいはビタミンB6とたんぱく質どちらも含むため、たんぱく質の利用効率がよい食品です。
・ビタミンB12
葉酸と力を合わせて働きます。赤血球を作るために必要で貧血が気になるときにおすすめ。葉酸は焼きのりに含まれているので、ビタミンB12を含むたいのお刺身で手巻き寿司をすると食べ合わせがいいですよ。
たんぱく質源としても優秀!
たんぱく質は筋肉だけでなく皮膚や髪の毛、骨、臓器など全身の細胞、さらには免疫細胞の材料にもなる重要な栄養素です。たいは100gあたり約20gのたんぱく質を含んでいます。これだけで成人女性が1日に摂りたいたんぱく質の約1/3を摂取できる計算になります。
さらに、たいはたんぱく質の利用をスムーズにしてくれるビタミンB6も含むことから、たんぱく質を効率よく摂りたい人に最適です。
たいに含まれるアミノ酸
アミノ酸はたんぱく質を構成する成分です。非必須アミノ酸と必須アミノ酸に分けられ、体内で合成できないものを必須アミノ酸といいます。
・非必須アミノ酸
たいにはグルタミン酸やアスパラギン酸が含まれています。たんぱく質の合成にも欠かせないですが、そのほかに食品に含まれるうま味成分としての役割も担っています。おいしさが自慢のたいはやはり、うま味成分が含まれていたんですね。
・必須アミノ酸(BCAA)
たいにはバリン、ロイシン、イソロイシンが含まれています。これらは必須アミノ酸のなかでも特に筋力のパワーアップに重要なアミノ酸として注目されています。
たいに期待できる効果・効能は?
nullたんぱく質・脂質の割合が鶏むね肉と近い
前述した通り、たいは高たんぱくな食品ですが、白身魚のなかでは割と脂質が多めで高カロリー。しかし肉類と比べれば低カロリーかつ低脂質で、高たんぱく低脂質で知られる鶏むね肉と近い値。
たいの場合、お刺身として食べられますから、調理が不要で手軽な点や、油を使わずに低脂質を保って食べやすい点も魅力です。また、たんぱく質の代謝を助けるビタミンB6や筋肉のパワーアップに関わる必須アミノ酸BCAAを含むことから、筋トレやトレーニング中の人にもおすすめの食材なんです。
たいと肉類100gあたりのエネルギー/脂質量の比較
・まだい(天然):129kcal/5.8g
・鶏むね肉(皮付き):133kcal/5.9g
・鶏もも肉(皮付き):190kcal/14.2g
・豚もも肉(脂身付き):171kcal/10.2g
・牛もも肉(脂身付き):196kcal/13.3g
たいはたんぱく質が豊富なだけでなく、代謝に関わるビタミンや必須アミノ酸、うま味成分なども含まれ栄養面や健康面から見ても魅力的な魚です。ぜひ積極的に食生活に取り入れたいですね。
もちろん、だからといってたいだけに偏ることなく、いろいろな食品と上手に組み合わせてバランスよく食べることを意識しましょう。
撮影:黒石 あみ(小学館)
【参照】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「からだにおいしい魚の便利帳」藤原昌高監修 高橋書店
・「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい監修 西東社
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書店
・厚生労働省 令和元年(2019年)「国民健康・栄養調査」の結果 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
(最終参照日:2022/08/10)
フードライター×管理栄養士。好きな食べものは野菜とフルーツ。食べものと栄養について分かりやすく丁寧に伝えることを大切に、コラム執筆を行う。
「食材をシンプルにおいしく」誰にでも作れる簡単レシピを提案している。