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脂質多めなサーモンがダイエットにいい理由は?知って得する「鮭/サーモン」の栄養を解説!

世界中で人気の鮭やサーモン。日本でも人気が高く、全体的に生鮮魚介類の購入量は減少しているものの、鮭/サーモンは常に上位に位置しています。
人気の理由は、おいしさや料理への汎用性だけでなく、豊富な栄養素を含んでいることがあげられます。その栄養情報について管理栄養士が解説します。

サーモン・鮭・マスの違いって?

サーモン・鮭・マスの違いって?

日本の魚売り場では、一般的に【鮭は加熱調理用】、【サーモンは生食が可能】というように使い分けられています。

天然の鮭は、アニサキスなどの寄生があるオキアミなどの甲殻類をエサとしているため、生食は危険だといわれています。一方、養殖されているサーモンは管理されて育っているため、寄生虫がおらず生食が可能なのです。

また、サケとマスは国によっても区分があいまいになっているところもあり、選ぶときにも迷うことが多いのではないでしょうか。

日本で主に食べられている、鮭やサーモンと名の付くものは、シロサケ、ベニザケ、ギンザケ、アトランティックサーモン、トラウトサーモン、キングサーモンなどがありますが、マスノスケ(キングサーモン)やニジマス(トラウトサーモン)などは、サーモンの名が付いていながらも和名ではマスとされています。逆にカラフトマスはマスとよばれている一方、生物学上サケ目サケ科サケ属に分類されています。

鮭の栄養情報

鮭の栄養情報

生のしろさけ100gあたりに含まれる栄養素

・エネルギー:124kcal
・たんぱく質:22.3g
・脂質:4.1g
・ビタミンB1:0.15mg
・ビタミンB2:0.21mg
・ビタミンB6:0.64mg
・ビタミンD:32.0μg
・カルシウム:14mg
・カリウム:350mg
・EPA:240mg
・DHA:460mg

さらにアスタキサンチンも豊富に蓄え、その含有量は魚類の中でもトップクラスといわれています。

ここからそれぞれの栄養素の解説をしていきましょう。

■ビタミンB群
ビタミンB群は、炭水化物・脂質・たんぱく質の代謝に関わるビタミンとして知られています。水溶性ビタミンであるため、余分なものは尿として排泄され、体内の量が多くなり過ぎることはあまりないと考えられていますが、不足すると疲労感や炎症をはじめとして様々な症状があらわれます。

■ビタミンD
体内で活性型ビタミンDとなりカルシウムとリンの吸収を促進する、骨の形成には欠かせないビタミンです。ビタミンDが不足していると、たとえカルシウムの摂取量が十分であったとしても、カルシウムの吸収が悪くなってしまいます。

■EPA(イコサペンタエン酸、またはエイコサペンタエン酸)
EPAは不飽和脂肪酸の中でもn-3系に分類される必須脂肪酸です。必須脂肪酸は人の体内で合成できないため、食物から摂取する必要があります。EPAは血液をサラサラにする作用や生活習慣病予防に効果があるとされ研究が続けられています。

■DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHAは不飽和脂肪酸の中でもn-3系に分類される必須脂肪酸です。必須脂肪酸は人の体内で合成できないため、食物から摂取する必要があります。DHAは人の脳や網膜の構成脂質であり、直接脳内に入って効果を発揮する成分として注目されています。

アスタキサンチンの抗酸化作用に注目!

鮭の身を赤くしている色素であるアスタキサンチンは、自然界に広く存在するカロテノイドの一種で、活性酸素を取り除き、酸化の働きを抑える物質として知られています。過剰な活性酸素を無毒化することで、様々な病気の予防やエイジングケアの効果が期待されています。

たんぱく質源としても優秀

たんぱく質は、筋肉や内臓などの体の構成や、ホルモン・酵素・抗体などの体調節機能の成分であり、多数のアミノ酸が結合された構造をしています。人間の体内で合成されない、もしくは合成されても必要量に達しないものを「必須アミノ酸」とよび、必ず食物から取り込まなければなりません。

皮も一緒に食べるといい?

皮の部分にはコラーゲンが豊富。残さずに食べるのがおすすめです。うろこが目立つ場合は、うろこを取り除いてから調理するか、パリッと焼けば気にならないでしょう。

意外な効果も!鮭に期待できる効能とは?

意外な効果も!鮭に期待できる効能とは?

脂質が多めだけどダイエットには…?

魚類の中では脂質が多めの鮭/サーモン。でも実はダイエットにぴったりな食材なんです。その理由は、どんなヘルシー料理にも対応できる調理の汎用性と、その栄養素にヒミツがあります。

脂質は細胞やホルモンなどの構成成分。摂りすぎはよくありませんが、不足すると身体機能の低下を招いてしまいます。

脂質が足りないと肌もカサカサに、髪もツヤがなくなり、ダイエットでキレイに痩せるというわけにはいかなくなるでしょう。

そのため、脂質はより良質なものを効率よく摂ることが重要になります。体内で合成できないn-3系とn-6系の不飽和脂肪酸の積極的な摂取が推奨されていますが、鮭/サーモンにはn-3系不飽和脂肪酸であるDHA・EPAが豊富に含まれています。

また、鮭/サーモンに多く含まれているビタミンB群の働きで、糖代謝や脂質代謝、たんぱく質などの代謝のサポートも万全。

強い抗酸化作用をもつアスタキサンチンも豊富なので、きれいにダイエットしたい人に人気が高いのもうなずけますよね。

幅広い料理で楽しめる点も鮭/サーモンの魅力。

サラダや鍋料理、和定食などに鮭/サーモンは重宝します。ダイエット中でマンネリになりがちな食事にも役立ってくれるでしょう。

鮭のうれしい健康効果

健康作りのためにも、肉ばかりの主菜ではなく、DHA・EPAが豊富な鮭/サーモンを献立に取り入れてみてはいかがでしょうか。

鮭/サーモンにはn-3不飽和脂肪酸であるDHA・EPAが豊富に含まれていますが、肉などに多く含まれている飽和脂肪酸を、このn-3系・n-6系多価不飽和脂肪酸に置き換えることで、生活習慣病の重症化予防に効果があるといわれているのです。

効率よくたんぱく質を摂るためのテクニック

特に高齢の方などは、加齢とともに食事量が減ってしまうことに伴ってたんぱく質が不足しがち。それにより筋力が低下し、体力も落ちがちになります。また、若い人でも偏った食生活により体にとって大切なたんぱく質が不足する事態は避けたいですね。

たんぱく質を上手にとるためには、食生活で

  • 肉、魚、卵、乳製品、大豆製品など幅広く良質なたんぱく質食材を取り入れる
  • 飽きがこないよういろいろな料理法で調理する
  • バランスを考えた献立を意識し、食事を楽しむ

といったことに気を付けるようにしましょう。

鮭/サーモンには豊富なたんぱく質と良質な脂質が含まれており、多種な調理法でおいしく食べることができるため、健康づくりにおすすめの食材といえるのです。

・撮影/黒石 あみ(小学館)

 

【参照】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「からだにおいしい魚の便利帳」藤原昌高著 高橋書店
・「からだにおいしい魚の便利帳 全国お魚マップ&万能レシピ」高橋書店
・「からだによく効く旬の食材 魚の本 」講談社
・「旬の野菜と魚の栄養事典」吉田企世子/棚橋伸子 監修 X-Knowledge
・厚生労働省「e-ヘルスネット」不飽和脂肪酸
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-031.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」抗酸化物質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」たんぱく質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
・海と魚がもっと好きになるウェブマガジン umito.(R)
https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article38/
・eJIME 厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/02.html
・水産庁 水産物消費の状況
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h29_h/trend/1/t1_2_4_2.html

(最終参照日2022/4/25)

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