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しらすとちりめんじゃこの違いは?カルシウムたっぷり「しらす」の栄養&豆知識

最も手軽に食べられる魚介類のひとつである「しらす」。そもそもしらすって何の魚でしょうか? また、しらすとちりめんじゃこの違いを説明できますか?
カルシウムやたんぱく質の補給源としても優秀な食材であるしらすの詳しい栄養情報と、その効果や効能についても、管理栄養士がじっくり解説します。

主にいわしの稚魚!しらすの基礎知識

主にいわしの稚魚!しらすの基礎知識

原料は主にいわしの稚魚

しらすとして流通しているものの原料は主にカタクチイワシやマイワシの稚魚です。また、「しらす」という言葉はイカナゴやウナギ、アユなどの白っぽい透明の稚魚に対しての総称として使われることもあります。

しらすは生きている状態では透き通った体をしていて、体長1~2cmほど。35mm以下を「しらす」、50mmまでを「かえり」、それ以上は「いりこ」と呼びます。

春から秋にかけて漁獲し、新鮮なものは生食できますが、鮮度が落ちるのが早いため、主に食塩水で釜ゆでしたあと干して加工品とします。

しらすとじゃこの違い 

左がちりめんじゃこ、右がしらす。

しらすとよく似た食品に「ちりめんじゃこ」がありますが、ふたつの違いは何でしょうか。基本的には水分量の違いでその呼び名が変わるようです。

・しらす:釜ゆでしたあと水分量が8〜9割程度残っているものを「釜揚げしらす」、釜揚げしらすを軽く乾燥させて水分量を5〜7割程度にしたものを「しらす干し」と呼びます。

・ちりめんじゃこ:釜揚げしらすを乾燥させ、水分量を5割以下にしたもののこと。地域によっては水分量に関係なくしらすの加工食品全体のことを「しらす」と呼ぶこともあります。

カルシウムとビタミン類の宝庫!しらすの栄養情報

カルシウムとビタミン類の宝庫!しらすの栄養情報

釜揚げしらす100gあたりに含まれる栄養素

・エネルギー:84kcal
・たんぱく質:17.6g
・脂質:1.7g
・ビタミンB1:0.07mg
・ビタミンB2:0.04mg
・ビタミンB6:0.05mg
・ビタミンD:4.2μg
・カルシウム:190mg

それぞれの栄養素について解説をしていきましょう。

■ビタミンB群
ビタミンB群は、炭水化物・脂質・たんぱく質の代謝に関わるビタミンとして知られています。水溶性ビタミンであるため、余分なものは尿として排泄され、体内の量が多くなり過ぎることはあまりないと考えられていますが、不足すると疲労感や炎症をはじめとして様々な症状があらわれます。

■ビタミンD
体内で活性型ビタミンDとなりカルシウムとリンの吸収を促進する、骨の形成には欠かせないビタミンです。ビタミンDが不足していると、たとえカルシウムの摂取量が十分であったとしても、カルシウムの吸収が悪くなってしまいます。

■カルシウム
神経の刺激の伝達や筋肉の収縮に必要不可欠なミネラルです。カルシウムは99%が骨や歯に貯蔵されており、ホルモンの作用により血液中のカルシウム濃度が一定に保たれています。不足すると骨が十分に成長できませんが、逆にサプリメントなどによる過剰摂取は、マグネシウムやリンなどの吸収が妨げられてしまうというリスクがあります。

■たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や内臓などの体の構成や、ホルモン・酵素・抗体などの体調節機能の成分であり、多数のアミノ酸が結合されています。人間の体内で合成されない、もしくは合成されても必要量に達しないものを「必須アミノ酸」とよび、必ず食物から取り込まなければなりません。

魚の栄養を活用しよう!しらすの効果効能

魚の栄養を活用しよう!しらすの効果効能

健康な骨作りに!

しらすは健康な骨づくりのためにすすめられることが多い食品の一つです。しらすは、稚魚ではあるものの魚を丸ごと食べられるため、栄養価が高いのが特長。

カルシウム含有量が多いことに加えて、カルシウムの吸収促進に働くビタミンDも豊富に含まれているため、成長期や骨量が気になる方にも、手軽に栄養補給ができる便利な食材として重宝します。

日本人の1日のカルシウム食事摂取基準の推奨量は、成人女性600mg~650mg、成人男性700mg~800mg。

釜揚げしらす100gでカルシウム190mgが摂れるため、乳製品が苦手な方や補足したい場合にもおすすめです。

ちなみに普通牛乳100gにはカルシウム110mgが含まれています。比較してみると、しらすに含まれているカルシウムがいかに豊富か分かりますね。

塩分に注意

栄養価が高いしらすですが、ゆでる際に食塩を使うため、塩分が高いところに注意が必要です。
釜揚げしらす100gあたり食塩相当量は2.1g。半乾燥のちりめんじゃこにいたっては6.6gと非常に高くなっています。

特に小さい子どもや塩分を控えている人は、食べ過ぎないように注意します。また、食べる際にしょう油などはかけないようにするといいでしょう。熱湯をかけてさっと湯通しすると塩分を落とすことができます。

・撮影/黒石 あみ(小学館)

 

【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「からだにおいしい魚の便利帳」藤原昌高著 高橋書店
・「からだにおいしい魚の便利帳 全国お魚マップ&万能レシピ」高橋書店
・「からだによく効く旬の食材 魚の本」講談社
・「旬の野菜と魚の栄養事典」吉田企世子/棚橋伸子 監修 X-Knowledge
・厚生労働省「e-ヘルスネット」ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カルシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」たんぱく質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
・海と魚がもっと好きになるウェブマガジンumito.®
https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article39/
・愛知県 シラス ~あいちの四季の魚・夏~
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/suisan/0000063071.html

(最終参照日2022/4/24)

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