「畑の肉」と呼ばれる大豆の栄養情報
「畑の肉」と呼ばれる大豆の栄養情報大豆に含まれる主な栄養素(ゆでた大豆100gあたり)
- エネルギー:163kcal
- たんぱく質:14.8g
- 食物繊維:8.5g
- 炭水化物:8.4g
筋肉・肌・髪はたんぱく質からできている!
大豆が「畑の肉」と呼ばれるのは、たんぱく質を多く含むからです。たんぱく質は筋肉や肌、髪や爪などの体を作る材料となります。またホルモンや血液、酵素など体の機能を調整する物質を作る材料にもなり、私たちが生きていくのに欠かせない栄養素です。
気になる大豆のエネルギー量(カロリー)は?
たんぱく質を多く含む大豆はエネルギー(カロリー)が高いというイメージがありませんか? 同様にたんぱく質が多い食品、鶏もも肉やサーモンと比較してみましょう。
※食品名/100gあたりのエネルギー/たんぱく質量
- ゆで大豆/163kcal/14.8g
- 皮つき鶏もも肉/190kcal/16.6g
- サーモン/218kcal/20.1g
大豆は鶏もも肉やサーモンと比較しても、たんぱく質の量と比べてエネルギーは低めなことが分かります。
糖質や食物繊維の量は?
大豆に含まれる糖質はどのくらいなのか、同じ豆類で小豆やひよこ豆100gあたりの数値と比べてみましょう。
- ゆで大豆:1.8g
- ゆで小豆:13.5g
- ゆでひよこ豆:15.8g
大豆に含まれる糖質は、小豆やひよこ豆に比べると少なめです。
また、ゆで大豆100g中に含まれる食物繊維の量は8.5g。特に不溶性食物繊維が多いので、お腹にたまりやすく、腸の動きをよくする働きが期待できます。
たんぱく質が豊富な肉や魚類には食物繊維がほとんど含まれないことを考えると、ひとつの食品から様々な栄養素が摂取できる点でも、大豆は栄養的にも優等生な食品であるといえますね!
女性の味方イソフラボン
大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンのような働きをするため、骨粗鬆症予防や更年期障害の改善が期待できます。ただ、多く摂り過ぎると体を害する心配があるため、1日の摂取目安量は70〜75mgに設定されています。
煮た大豆100gに含まれるイソフラボンは72.1mg。普段の食事をしていてイソフラボンを摂りすぎる心配は少ないでしょう。
意外と簡単!大豆を自分でゆでてみよう
意外と簡単!大豆を自分でゆでてみようゆで/蒸しで大豆の栄養に違いはある?
スーパーなどへ行くと蒸し大豆のパックが市販されていますが、水煮との栄養価の違いはあるのでしょうか。
大豆をゆでると、ゆで汁に栄養の一部が流れ出します。そのため大豆だけを食べるのであれば、ゆで大豆より蒸した大豆の方が、栄養価が高いといえるでしょう。
ただ、大豆をゆで汁ごと食べるスープや、ゆで汁をみそ汁の汁に流用するなどしてゆで汁を活用すれば、大豆の栄養を丸ごと摂ることができますよ。
大豆のおいしいゆで方
まず大豆をたっぷりの水に6時間程度(一晩でも可)浸けて戻します。
ざっと洗って、大豆の4〜5倍の水と一緒に鍋に入れ、落としぶたをして60分程度ゆでます。
圧力鍋を使う場合は、同様に水に浸けて戻した大豆を2〜3倍の水と一緒に鍋に入れ、落としぶたをして加熱、蒸気が上がってから5分ほど加圧します(時間は圧力鍋により異なります)。
手間なしでできるのは炊飯器。洗った大豆を3倍の水と一緒に内釜に入れ、通常の炊飯モードで加熱します。炊飯器を使うときは、大豆をあらかじめ戻さなくてもやわらかくなります。
炊飯器や圧力鍋は茹でるときに出る泡などで排気口をふさがないよう、豆の量が多すぎないよう注意しましょう。取扱説明書に記載がある時は指示に従います。
どの方法でゆでる場合でも、大豆は時期によって水分量が変わるため、やわらかくなるまでの時間も異なります。様子を見ながらゆでてください。
ゆで上がりの目安は親指と人差し指で簡単につぶれる程度です。
また、ゆでた大豆は冷凍保存もできます。多めにゆでて小分けにして保存袋などに入れ、冷凍庫に入れておけばすぐに使えて便利です。
乾燥大豆→ゆで大豆はどれくらい増える?
乾燥大豆をゆでると約2.5倍の重さになりますから、乾燥した豆を戻すときは料理に必要な量÷2.5で計算できます。
例:100gのゆで大豆が必要なら40gの乾燥大豆をゆでる
食卓に大豆加工品を上手に取り入れよう!
食卓に大豆加工品を上手に取り入れよう!注目される大豆ミート
近年、欧米では主義や信仰、社会問題を背景に代替肉がブームとなっています。大豆ミートとは油を絞った大豆を加圧加熱・高温乾燥させて作られる代替肉の一種。高たんぱく質、低脂質の食材として日本でもヘルシー志向の人たちを中心に活用されています。
大豆ミートには水やお湯でもどして使う乾燥タイプや、味付きのそぼろや唐揚げなどの調理済みタイプ、ハムやソーセージタイプなどがあります。商品により栄養価も異なりますので、見比べて選んでみてください。
大豆粉はきなことは違うの?
大豆粉とは大豆を粉状に砕いたものです。あらかじめ蒸したり、軽く焙煎をしたりしてから加工するなど、メーカーによって違いがあります。小麦粉の代わりに使われることが多く、パンやケーキ、揚げ物の衣などいろいろな料理に使えるのが特徴です。小麦粉に比べてグルテンを含まない、糖質が少ない、たんぱく質が多いということで、栄養面でも注目されています。
一方きなこは炒った大豆を粉状に砕いたもので、加熱しなくてもそのまま食べることができます。香ばしい香りが特徴です。
大豆は栄養が豊富で保存性が高い食材。乾燥大豆をゆでるのには少し時間がかかりますが、難しくはありません。ぜひ一度チャレンジしてみてくださいね。
撮影:黒石 あみ(小学館)
【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「eーヘルスネット」たんぱく質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
・厚生労働省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」大豆イソフラボンは、どのような食品にどのくらい含まれていますか
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0202-1a.html#q05
・食品安全委員会「FSC Views」大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
https://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html#10
・「からだにおいしい あたらしい 栄養学」吉田企世子監修 高橋書店 2016年
(最終参照日:すべて2021/3/29)