「糸こんにゃく」と「しらたき」の違いって…
null見た目は同じようなこのふたつ、えっ、違いはどこに?と思い調べてみると……。
板状のこんにゃくを、ひも状に切っていたのが「糸こんにゃく」。現在は穴から突き出して作られます
本来は「糸ごんにゃく」と称される「糸こんにゃく」は、固めたこんにゃく板を細くひものように切っていたことからこう呼ばれました。現在は、こんにゃく粉を水で溶いた糊状のものを、穴から突き出し固めて作られているそうです。
細くひものように切ったこんにゃく。また、しらたき同様、こんにゃく粉をこねて湯の中に細く突き出して固めたものもいう。
【出典】デジタル大辞泉 小学館
小さい穴から突き出して作られるのが「しらたき」。糸こんにゃくより細いのも特徴でした
「しらたき」は、固まる前の糊状の水溶きこんにゃく粉を、ところてんのように細い穴から突き出して作られます。その太さは、ひも状に切っていく糸こんにゃくよりも細いものでした。
こんにゃくを小さい穴から押し出して作ったもの。千切りにした糸ごんにゃくよりさらに細くしたもので、すき焼きなどに用いる。
【出典】日本国語大辞典 小学館
で、つまり「糸こんにゃく」と「しらたき」の違いは…
糸こんにゃくはひも状に切って作る、しらたきは細く突き出して作る、という製法による違いでした!
このような製法の特徴もあって、しらたきの方が糸こんにゃくよりも細かったようです。
調べてみると、糸こんにゃくは主に関西で、しらたきは関東で作られていたんだとか。
現在では、糸こんにゃくも突き出して作られるようになり、製法や太さによる違いはなくなりましたが、それぞれ馴染みのある名称が今に残っているんですね。
下処理から使い分け方まで、知っていればもっとおいしく!
null昔は製法が異なっていたんですね。
料理研究家・時吉さんによると、
「今でこそ糸こんにゃくも突き出して作られるようですが、私が習った時は、糸こんにゃくは切って作られると教わりました。しらたきは、突き出した時に穴からこんにゃくが出る様が白滝のように見えることから名付けられたそうです」(以下「」内、時吉さん)
前に教えてもらった「竜田揚げ」と言う名前も、景色に見立てて名づけられていましたよね(似ているけれど…「から揚げ」と「竜田揚げ」なにが違う?【食べ物の違い豆知識】)。
なんとも風流!
「色の違いで、黒いものが糸こんにゃく、白いものがしらたきと思われる方もいるかもしれませんが、黒いしらたきや白い糸こんにゃくも存在します。あの黒くまだらになっているのは、海藻などを練りこんで色付けされているからなんですよ」
あれって海藻だったんですね。
「しっかり味を染み込ませたい、短時間で味を含ませたいというときは、しらたきを使うのがオススメです。糸こんにゃくは、煮込んだり歯ごたえを楽しみたいお料理に向いていると思います。
こんにゃくのほとんどは水分ですが、カルシウムや不溶性の食物繊維も含まれていたりと、とても体に優しい食品なんですよ」
ダイエット中お世話になった食材です(笑)。お料理や好みによって使い分けるといいんですね!
「昔は、こんにゃく独特の石灰臭(こんにゃくを固める凝固剤として石灰が使われているため)を消すために、塩をたっぷりかけてから揉み、アクを抜いてから使うか、1回茹でてから使っていました。ですが今は、“下処理済・アク抜き不要”などと書いてあるものも出ていますね」
こんにゃくは下茹でしてから……って、今でもお料理本などで見かけますよね。
「茹でて表面の余分な水分を抜くことで、こんにゃくがプリッとして味の含みがよくなるんです。最近は、こうした下処理不要のものが多くなっているようです。こんにゃくはなかなか主役にしづらい食材ですから、お料理の手間がかからないよう開発されたのかもしれませんね」
手間がかからず、おいしくいただけるならありがたい!
さて今夜の肉じゃが、糸こんにゃくとしらたき、どちらを使おうかな。
【取材協力】
料理研究家 時吉真由美
(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表
土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍中。
楽天レシピに多数のレシピを掲載する他、YouTubeチャンネル「Clocca Cooking Channel」にて、語り継ぎたい伝統的な行事食を中心に、作り方やプチ知識を公開中!