「紫蘇」と「大葉」の違いって…
nullスーパーなどで見かける香草野菜の「大葉」ですが、「紫蘇」という呼び名も耳にしませんか? このふたつ、違いは一体何なのでしょうか? 早速調べてみると……
「紫蘇」はシソ科の植物名で、おもに青じそと赤じそを指す
紫蘇はシソ科の植物の名前です。よく私たちが目にする青じそと、梅干しの色付けなどに使われる赤じそとがありますが、両方まとめて紫蘇と呼ばれます。
シソ科の一年草。茎は四角柱、葉は広卵形で暗紫色。夏から秋に、淡紫色の唇形の小花を総状につける。全草に強い香りがあり、アカジソ・アオジソ・カタメンジソなどの品種がある。梅干しの着色などに使い、実は塩漬けにして食する。
【出典】 デジタル大辞泉 小学館
紫蘇の一品種、青じその葉が「大葉」
刺身のつまなど、食用の香味野菜として使われる青じその葉のことです。スーパーではよく葉のみが売られていますが、あれを「大葉」というんですね。
1 大きな葉。 2 刺身の敷きづまなどに用いる青じその葉。
【出典】デジタル大辞泉 小学館
で、つまり「紫蘇」と「大葉」の違いは…
「紫蘇」は青じそと赤じその両方を含むシソ科の植物名。「大葉」はシソ科の一品種である青じその葉のことで、より限定的になるんですね。
なぜ葉の部分だけ「大葉」という名称で呼ばれているのでしょうか?
諸説ありますが、紫蘇はその葉以外にも芽や実も食用として使われます。香味野菜として青じその葉を売る時に「紫蘇」だとどの部位か分かりにくいため、「大葉」という名で売られるようになったと言われているようです。
紫蘇を和食の基本、“五味五彩五法”から見ると……
null「紫蘇」と「大葉」、結局は同じものということですよね?
料理研究家・時吉さんによると、
「一部では、大葉は青じその青葉で裏が青くなく、柔らかくてお刺身のつまなどに使われるもの。青じそは裏も青くてお料理に使われるなどと言われるようです。ともあれ、どちらも同じものですね(笑)。
紫蘇はその成長過程で、使える部位と名称が変化していくんですよ。
青じその若い芽で双葉になっているのが『青芽』、赤じそのものは『紫芽(むらめ)』と呼ばれ、お刺身のつまやお醤油に混ぜて食べられたりします。
これらが成長してくると、紫の小さな花をつけた『花穂じそ』となります。さらに成長して花が落ち、熟成手前の実をつけたものが『穂じそ』で、よく天ぷらなどにされます」(以下「」内、時吉さん)
紫蘇の使い道って葉っぱだけではなかったんですね!
「和食のお膳には、『五味五彩五法』という考え方があります。
- 五味(味わい)…甘・辛・酸・塩・苦
- 五彩(彩り)…赤・白・黄・緑・黒
- 五法(調理法)…生・煮る・焼く・揚げる・蒸す
五彩とは、例えばお刺身なら魚の赤身、イカの白、貝の黄色、大葉の緑、ワカメの黒……とひとつのお皿の中で彩りの調和がとれていることです。青じそは、この和食の考え方の一端を担う食材と言えるんです」
そうなんですね。和食の奥深さ、興味深いです!
「青じそは色合いだけでなく、香りや酸味にも活かせます。さらに、薬膳では身体を温める“熱性・温性”と身体を冷やす“寒性・涼性”という考え方があって、紫蘇は温性。そのため冷たいお刺身なんかと合わせることで、体内で調和がとれるんだそうです。
β-カロテンなどの栄養素も豊富で、メインとなる料理の栄養素を補ってくれることもあります。“薬味”とはよく言ったもので、本当に薬のような効果があるんですよね。これを自然と成り立たせた和食って本当にすごいなと思います」
味や香りのアクセントだけでなく、そんな効果もあったとは……。大変勉強になりました! これからお料理に紫蘇がついてきたら必ず一緒にいただこうと思います。
【取材協力】
料理研究家 時吉真由美
(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表
土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍中。
楽天レシピに多数のレシピを掲載する他、YouTubeチャンネル「Clocca Cooking Channel」にて、語り継ぎたい伝統的な行事食を中心に、作り方やプチ知識を公開中!