「つくね」と「つみれ」の違いって…
null肉のすり身を使った練り物で、その呼び名もそっくりな「つくね」と「つみれ」。鶏肉を使ったのがつくねで、つみれは魚のすり身かな?と予想をたてつつ調べてみると……
手でこねて丸めたものが「つくね」
「つくね」という言葉は、いくつかのものを手でこねて丸めることを意味する、「つくねる」という動詞に由来しています。
鶏肉や魚などの肉類に、卵やかたくり粉といったつなぎを手でこねて丸めた練り物を指します。
魚肉、鳥獣肉などをすり身にして、卵、かたくり粉などを適宜加えて好みの大きさに丸め、油で揚げたものがつくね揚げ、調味して煮たものがつくね煮である。
「つくねる」は束ねる、またはこねるの意。こねる動作から転じて、その製品を「つくね」といったのである。
【出典】 日本大百科全書(ニッポニカ) 小学館
つまみ取って汁の中に入れるから「つみれ」
「つみれ」も、つくね同様に「つみいれ」という言葉が変化したもので、漢字では「摘入・抓入」と書きます。
肉と卵や小麦粉などのつなぎをあわせたタネを、少しずつつまみ取って丸め、汁物に落として煮たものを指します。
つくねはとくに原料を問いませんでしたが、つみれは魚のすり身を使う場合が多いようです。たしかに、イワシのつみれなどがすぐイメージされますよね。
「つみいれ(摘入)」の変化したもの
魚肉のすりみに卵や小麦粉などをつなぎとして入れ、少しずつつみとって汁に入れて煮たもの。また、つみいれはんぺんをさしていう。
【出典】日本国語大辞典 小学館
で、つまり「つくね」と「つみれ」の違いは…
ズバリ、調理法の違いでした!
肉とつなぎを手でこねて作るところまでは同じですが、「つくね」はそのタネを手で丸めて形を整えたもの、「つみれ」は少しずつつまみ取って煮たものだったんですね。
どんなものでも手でこねていたら「つくね」、つまみ取っているものは「つみれ」と言えるのかもしれませんね。
また、つくねは材料を問わず、つみれは魚のすり身を使う場合が多いようです。
ハンバーグもミートボールも“つくね”!?
null「つくねには、丸く団子にしたものだけでなく、手でこねながら棒状にしたものもありますよね」と料理研究家・時吉さん。
「ちょっと聞きなじみのない言葉ですが、つくねは“つくねる”、つまり手でこねて形作ることがポイントです。似たような肉ダネでは、ハンバーグやミートボール、中華料理の肉団子なんかがありますよね。つくねと言えば和食ですが、調理法で見ればこれらも“つくね”の仲間と言えるのかもしれません」(以下「」内、時吉さん)
たしかに、味付けや具材は違っても工程的にはどれもつくねていますよね!
「一方のつみれは、手でこねて形作ることはなく、つまみ取ったまま汁物に入れます。竹筒にタネが入っていて、スプーンやへらですくって入れる場面がイメージしやすいのではないでしょうか」
あ!お店でお鍋を頼むと出てきたりします! あれは「つみれ」になるんですね。
「つくねの材料は鶏肉と思われがちですが、とくに決まりはありませんし、ネギや野菜などが入っていることが多い印象です。つみれは一般的に魚のすり身が使われることが多くて、つなぎは卵やかたくり粉ぐらいです。
つくねは揚げる、焼く、蒸すと調理法はいろいろ。つみれは茹でて調理するので、牛肉など脂の多い肉類よりは、魚や鶏肉といった淡白な食材が選ばれやすいのかもしれません」
なるほど~! つくねは揚げてよし焼いてよし、蒸しても煮てもよしと味わい方はいろいろ。つみれは魚からの旨みが汁に染み出して十分味わい深いですよね。
同じ練り物でも作り方で呼び名が違うなんて、日本語ってなんて繊細なんでしょう。
【取材協力】
料理研究家 時吉真由美
(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表
土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍中。
楽天レシピに多数のレシピを掲載する他、YouTubeチャンネル「Clocca Cooking Channel」にて、語り継ぎたい伝統的な行事食を中心に、作り方やプチ知識を公開中!