「もりそば」と「ざるそば」の違いって…
nullおそば屋さんに行くとメニューに必ず「もりそば」や「ざるそば」がありますよね。冷たいおそばってこと以外、どんな違いがあるのか調べてみると……。
せいろに盛ってあるのが「もりそば」
そばは、四角または丸型の木枠の底にすのこが敷かれたせいろに盛られ、別添えのつけ汁につけながらいただきます。
ゆでたそばを水にさらし、蒸籠(せいろう)に盛ったもの。つけ汁で食べる。
【出典】デジタル大辞泉 小学館
刻みのりトッピングが目印なのが「ざるそば」。つけ汁はもりそばよりも濃かった、という歴史も…
そばはざるや、すのこに盛られます。文献によると、そばの上に刻みのりをのせてあるのがもりそばと区別するための目印、と。えーっ!刻みのりってそのためだったの?軽く驚きでした……。
さらに昔は、ざるそばよりも濃いつけ汁でいただいたという歴史も。
ざる、すのこなどに盛って出すそば。古く、つけ汁にはもりそばより濃くし、みりんなどをまぜあわせたものを用い、もりそばと区別するためにきざみのりをのせた。
【出典】日本国語大辞典 小学館
で、つまり「もりそば」と「ざるそば」の違いは…
まず見た目の違いは「器」と「刻みのりの有り無し」でした。もりそばはせいろに盛ってのり無し、ざるそばは、ざるかすのこに盛った上にのりがトッピング、だったんですね。
さらに昔はつけ汁にも違いがあって、ざるそばの方がみりんなどを加えてより風味のある濃いつけ汁でいただくことが多かったようです(現在はどうなんでしょう?)。
めんつゆの味付け黄金比も!
nullもりそばとざるそばとで、つけ汁の濃さに差があったとは……。なかなかふたつを同時に頼むことってないので気づきませんよね。
料理研究家・時吉さんによると
「そばつゆは、“かえし”という調味料を出汁で割って作ります。“かえし”とは、醤油にみりんと砂糖を加えて煮詰めたものを寝かせた調味料のこと。出汁と合わせることで、より味に深みが出るんです。
つけ汁の濃さは、この割合で決まります。今でも、おそば屋さんはその店ならではの”かえし”で、味を守っていると思いますよ」(以下「」内、時吉さん)
“かえし”という調味料がそばつゆの味の決め手になるんですね!
「ご家庭では市販のめんつゆを使っている方も多いと思いますが、出汁、醤油、みりんの配合比を覚えると、おうちでもカンタンにつゆが作れます。知っておくと便利なので、いくつかご紹介します。
・そうめんのつけ汁や天つゆ
4:1:1(出汁:醤油:みりん)
・冷やしうどんのつけ汁 3.5:1:1
・温かいうどん 10:1:1
・温かいそば 11:1:1
・煮物 8:1:1
煮物にお肉などを入れるときは、さらにお酒を「1」入れることで、臭みを消してやわらかく仕上げてくれます。お砂糖を加えて甘みを加えたり、後はお好みで。
ちなみに、市販のだしの素は塩分がかなり含まれていて、そのまま使うとかなり塩辛くなってしまうので、醤油の量を減らして調整してください。昆布や削り節から出汁をとるときは、“気持ち濃いめ”くらいがちょうどいいですよ」
おおっ! この黄金比、知っておくととても便利。
この割合を覚えておけば、めんつゆを切らしてしまったときにも、味付けで失敗することがなくなりそうですね。
【取材協力】
料理研究家 時吉真由美
(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表
土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍中。
楽天レシピに多数のレシピを掲載する他、YouTubeチャンネル「Clocca Cooking Channel」にて、語り継ぎたい伝統的な行事食を中心に、作り方やプチ知識を公開中!