注意すべきは「お疲れ感」
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龍淵絵美さんの著書『ファッションエディターだって風呂に入りたくない夜もある』(集英社インターナショナル)。タイトルに思わず共感。
「おばさんになるのがいやだって日本人の多くは言いますが、年齢を重ねたら年相応に見えていいんですよ。ただ、お疲れ感が漂っていると若くても老け込んで見えますよね。身なりを清潔にして、最低限なヘアメイクをきちんとして、顔色や姿勢がよければ、だいぶ印象が違うんじゃないかな。
私も、上の子が3歳のときに下の子が生まれて、それから3年間がいちばん大変でした。当時はメイクやネイルにかける時間も減ったので、ネイルはジェルネイルに。前髪を作って、BBクリームを塗ったあと、赤リップを引いてなんとかしていましたよ(笑)」(以下「」、すべて龍淵絵美さん)
おしゃれに見える5つのコツ
null仕事も子育ても、どれだけ忙しくても、いつでも前向きにおしゃれを楽しんできたエイミーさん。
「まず、自分を知ること。次にトレンドを把握して、その後に見せたい自分の像を把握する。この流れが大事です」
1:自分を知る

パンツにハイヒールがエイミーさんの定番スタイル。シャツをパンツにインすることで、すらっと脚長に。
「肌や瞳、髪の毛の色や長さ、体型など、外見をよく観察してみましょう。たとえば、ピンク系で色の白いお友達と、黄味が強い肌の私では、似合う色が違います。
また、コンプレックスだけでなく、どこがチャームポイントかも知っておくこと。肌がキレイ、なんとなく華やか、スポーティーで格好いいなど、自分のウリを把握することはおしゃれの第一歩です」
エイミーさんの場合、膝下が短いというコンプレックスを、ハイヒールとパンツスタイルでカバー。ただネガティブに捉えるのではなく、いかに魅せるか。自分を知ることで解決策も見出せるというものですよね。
2:トレンドを知る
エイミーさんは、自分より年下・年上の両方のファッションをチェック。近頃は15歳と12歳の娘さんからインスピレーションを受けることもあるそうです。
「今ってこういう感じなのねと、“気分をもらう”というか。お洋服を全てトレンドで固める必要はありませんし、似合わない形を無理に着る必要もない。ただ、必ずトレンドは出てくるので、試着して理解しておくといいですよ。
私の場合、今年はライムグリーンのTシャツが気分で、先日『ヘインズ』のメンズSサイズを買ったばかり。定番の『バーバリー』のトレンチコート、『リーバイス』501と合わせて赤リップをひいたら、それだけで可愛いと思う!」
3:なりたいイメージを持つ
ファッション誌やショップをチェックする暇がなくても大丈夫。身近な存在でもいいので、おしゃれのお手本を見つけるのも一つの方法なのだとか。
「インスタグラムでフォローしている読者モデルやインフルエンサーなど、身近な存在でもOK。お手本を見つけて、真似から始めてみては? お手本が見つけられない人は、格好よくありたいか、可愛くありたいか、だけでもいい。自分が目指すファッションがあるといいですよ」
4:オンオフを作る

黒パンツにハイヒールもエイミーさんの定番。ジャケットも羽織り、仕事モードON。「体型に合わないお洋服は残念ですがとっとと手放しましょう。たとえばジャケットも、サイズが合わないよりジャストフィットしたものを着ているほうが魅力的です」。「セリーヌ」のジャケット、「ヴィクトリア ベッカム」のパンツ、「ボッテガ ヴェネタ」のパンプス、「イヴ・サンローラン」のバッグ。
「決めるときは決める。オンオフを作って、いつも同じじゃないほうがいいんじゃないかな。オフばかりだとお疲れ感が滲み出るので、いかに自分でオンを作るかだと思いますよ」
エイミーさんの場合は「靴とジャケット」がオンのスイッチ。
「子どもが生まれてスニーカーも履くようになりましたが、仕事ではやっぱりハイヒール。若い頃からコツコツと集めているハイブランドのジャケットも大事な存在で、私に自信をくれたアイテムですね。
たとえば赤リップを引くだけでもいい。何でもいいので、自分のオンスイッチを入れるものを作ってみて」
5:小物使いで垢抜ける

「Lampia」のサングラス、ノーブランドのネックレス、「シャルロットシェネ」のバングルなど小物を取り入れたスタイル。
「おしゃれな人ほど小物を上手く使っている」とエイミーさん。白Tシャツにデニムといったシンプルなスタイルも、ベルト、サングラス、めがねなど、小物使いでぐっと雰囲気は変わるそうです。
「お洋服をたくさん持っていればいいわけではなく、アイディアとディテールにこだわりましょう。バッグやソックスなどで、差し色を上手に使うのもおすすめですよ」
子育てには終わりがある
nullエイミーさんは、下のお子さんが小学校に上がるくらいまでは、仕事の量をすごく減らしたそうです。ただ、100%やめなかったことで今がある、とも。
「仕事って、筋トレみたいなところもあるでしょう。長い休み明けの仕事始めに、いつもと同じようにうまく走れないって感じるように、100%やめたら続けられなかったと思います。何回も、もう無理!って思ったけど、しつこく働き続けたことがよかったのかな(笑)。
ファッションを楽しむ気持ちも、どうか大切にしてください。今年のあなたの1年は絶対にかえってこないのに、子育てに追われて忘れていたらもったいないですよ。今を楽しみましょう」

龍淵絵美さん。
龍淵絵美(たつぶちえみ)さん
ファッション・ディレクター。モード誌のエディターとして出版社勤務を経てフリーランスに。2025年3月現在はブランド・ディレクション業でも活躍。15歳、12歳の女の子のママ。『VERY NaVY』にて「1970年代以降生まれの新・Beautiful Aging 50代のロールモデルがいない!?」を連載中。
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朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote