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【制作者に聞く】話題の「けやき坂イルミネーション2023」(@六本木ヒルズ)見どころはこれ!

冬の六本木ヒルズといえば、白と青、約80万灯もの光が彩る「けやき坂イルミネーション」! 2003年、六本木ヒルズがオープンした年に始まったもので、今年でちょうど20年。毎年改良を重ねながら、変わらぬ美しさを守り続けています。

さらに今年は、すぐ近くの「66プラザ」にもカラフルな新作イルミネーションが登場! 楽しみかたのポイントを、制作者に取材しました。

「けやき坂」「66プラザ」のイルミネーションは、六本木ヒルズで開催している「Roppongi Hills Christmas 2023」の一環。

今回お話をうかがった内原智史デザイン事務所のライティングデザイナー・柳田まりえさんは、2003年にけやき坂イルミネーションが始まった当時11歳。できたばかりのイルミネーションを親子で見に行ったんだそう。

それから20年、なんと今は担当デザイナーとして、そのイルミネーションをつくる側に! 今年から「66プラザ」に登場した花束のようなイルミネーションも、柳田さんが担当しています。

六本木ヒルズのイルミネーションに限らず、「よりじっくりイルミネーションを楽しむには、行く前にデザインのコンセプトを調べてみるのがおすすめです」という柳田さん。デザインに詰まった想いや、制作の舞台裏を教えていただきました。

【けやき坂】白×青は雪景色をイメージ!奥には東京タワー

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「けやき坂のイルミネーションは、2003年に事務所の代表である内原がデザインしたもの。今もデザインの大元は変わっておらず、より美しく見えるように細部のリニューアルを重ねながら、当初のデザインを守り続けています。

コンセプトは“SNOW&BLUE”で、一面の雪景色がモチーフです。白と青、2色のLED電球で構成されていて、白は“降り積もった雪”を、青はその“影”を表しています」(以下「」内、柳田さん)

白を引き立たせる工夫があちこちに…

けやき坂のイルミネーション。
よく見ると、下半分が青と白、上半分は白一色になっているんです。

「青い電球がついているのは、木の下半分のみ。青い影によって純白のきらめきが際立ち、立体感を生む狙いもあります。

また、このエリアはオープン当初から、街並みの照明があたたかみのある電球色に統一されているのが特徴。それが白いイルミネーションを一層引き立たせていて、いわば“街自体がイルミネーションの一部”なんです。

この20年間で木がだんだんと大きくなるにつれて、毎年使用するLEDの数も増えており、今年は約80万灯を使用しています」

使われている電球の種類にも注目!

先が丸いものが多い、“砲弾型”の電球。横から見ると弱い光ですが……
正面から見ると、とても明るいのが特徴! きらめきを生む効果があります。
どの角度でも華やかに見える“拡散型”。“砲弾型”の写真と比べ、周囲に広く光が反射しています。先は平らなことが多いそう。

「イルミネーションに使われる電球には、大きく分けて2つの種類があります。

1つめは“砲弾型”。正面から見た時に、強く輝いて見えるのが特徴で、イルミネーションのきらめきや奥行きを担っています。ただし、横から見ると光がほとんど目立たないという弱点もあります。

もう1つは“拡散型”。砲弾型のような強い輝きはありませんが、やわらかい光りかたで、どの角度からでも光が見えやすい電球です。

それぞれに特色があるので、目指す光のイメージにあわせて使い分け、組み合わせながら最適なバランスを探していきます。

けやき坂のイルミネーションでは、白はすべて“砲弾型”、青は“砲弾型”と“拡散型”を半数ずつ使用しています。“拡散型”を使用した青が深みのある影をつくり、白い“砲弾型”のきらめきを強調する……というような関係性になっています。

11歳の時に初めて見たとき、白×青の光がこの季節ならではの寒さと澄んだ空気にマッチして感じられて、個人的にもとても好きなイルミネーションです。約400mの並木道を歩きながら、光に包まれる体験を楽しんでいただけたら嬉しいです」

【66プラザ】キラキラと輝く!カラフルな「光の花束」

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「東京メトロ日比谷線の六本木駅1c出口から、長いエスカレーターを登った先にある66プラザ。こちらでは、今年から新しく登場したイルミネーション“LUMINOUS BOUQUET(ルミナスブーケ)”をご覧いただけます。

カラフルな光のブーケをテーマにしたイルミネーションで、開業20年をむかえる六本木ヒルズから皆様への感謝を伝える、華やかな花束をイメージしています」

多彩な輝きが美しいイルミネーション

青く輝くイルミネーションのなかに、ピンクやエメラルドグリーンの光が!
こちらは赤に加えて、ピンクやレモンイエローの電球を使用しています。
緑のイルミネーションには……何色が混ざっているかわかりますか?

「一見すると青、赤、緑の3種類に見えますが、単色ではなく、それぞれが異なる6色の組み合わせでできています。この配色には検討に検討を重ねました。

根元には白を巻くことで、カラフルな光を引き立てながら、全体の調和をつくっています。花束で言うなら、メインのカラフルな花に、相性のよい“かすみ草”を足すのと同じですね」

これだけの数の電球を巻きつける職人さんの苦労を想像すると……!ありがとうございます、と言いたくなりますね。

「さまざまな色の光が集まって生み出される多彩な輝きは、このイルミネーションならでは。

風に枝が揺れたり、歩きながら眺めたりすると、葉の後ろに見え隠れする光がまるで点滅しているように、より一層きらめいて見えると思います」

細部まで、きめこまかいこだわりが!

行灯(あんどん)の色にも、1つひとつこだわっているのがわかります。

「細かい点として、周囲に配置された行灯(あんどん)の光も、イルミネーションにあわせて特別仕様のカラフルなものになっています。

光の美しさはもちろん、空間としての居心地のよさにもこだわってデザインしているので、ぜひゆっくり楽しんでいただきたいです」

デザインしたイルミネーションを眺める柳田さん。他にも、商業施設やオフィスビルなどの空間デザインを手がけているんだそう。

取材時、イルミネーションに囲まれた小道を歩きながら上を見ると、重なり合って輝く多彩な光がとても幻想的でした。

けやき坂に行くなら、66プラザに立ち寄るのもマスト!と言いたくなるような、特別感のあるイルミネーションです。

柳田さんには、こちらの記事でも「イルミネーションができるまで」を詳しく教えていただきました。けやき坂・66プラザのイルミネーションを例に、制作過程を写真つきで紹介! ぜひ、あわせてお楽しみください。

撮影/黒石あみ(小学館)、内原智史デザイン事務所


 

【開催概要】

「Roppongi Hills Christmas 2023」

日程:開催中~12月25日(月)
時間:17:00~23:00(けやき坂イルミネーション)、17:00~24:00(66プラザイルミネーション)
場所:六本木ヒルズ施設内(六本木けやき坂通り、66プラザなど)
問い合わせ:03-6406-6000(六本木ヒルズ総合インフォメーション)

“SNOW&BLUE”のLED約80万灯が彩る「けやき坂イルミネーション」や、きらめく花束をイメージした「66プラザイルミネーション」が見られるほか、「クリスマスマーケット」ではドイツオリジナルのクリスマス雑貨も販売。

※クリスマスマーケットの開催は11月25日(土)からで、開催時間は11:00~21:00です。

※記事でご紹介した「66プラザイルミネーション」は12月25日(月)まで、「けやき坂イルミネーション」は2024年2月14日(水)まで見られます。

詳細は公式サイトから

【教えてくれた人】

柳田 まりえ(やなぎだ まりえ)

ライティングデザイナー。内原智史デザイン事務所のチーフデザイナーとして、2023年六本木ヒルズけやき坂イルミネーション他、さまざまなプロジェクトを担当している。出身は神奈川県。

11歳の時(2003年)に六本木ヒルズがオープンし、けやき坂の最初のイルミネーションを家族で見に行ったのをよく覚えているそう。

その後、進学した多摩美術大学の環境デザイン学科で、偶然けやき坂イルミネーションのデザイナーである内原智史さんに師事。内原さんの授業で制作課題に刺激を受けたことをきっかけに、卒業後、内原智史デザイン事務所に入社。

「初めてけやき坂のイルミネーションを見た当時は、まだライティングデザイナーという仕事があることも知りませんでした。まさか、デザインを自分が担当することになるなんて……!と驚いています」(柳田さん)

編集部・関口
編集部・関口

音楽&絵本&甘いものが大好きな、一児の父。文具や猫もとても好き。子育てをするなかで、新しいコトやモノに出会えるのが最近の楽しみ。少女まんがや幼児雑誌の編集を経て、2022年秋から『kufura』に。3歳の息子は、シルバニアファミリーとプラレールを溺愛中。

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