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夏休み「節約しつつ家族で楽しむワザ」を、日々を楽しむアイディアのプロに聞きました【連載・節約のくふう】

スーパーの買い物総額に驚き、光熱費の請求金額を見てため息をつく。そんな日々を送っていると「楽しく暮らす」と「節約」の両立が難しいと感じることもありますよね。家計管理の達人や専門家から、がんばりすぎない家計管理を学ぶ連載【私でもできる!節約のくふう】。第8回目のテーマは「“いま”を楽しむ」です。

お話をうかがったのは、育児中のほほえましい日常を描いたコミックエッセイが人気の漫画家・イラストレーターのむぴーさん。夏休みにも大活躍する「日常の“楽しい”を増やすアイディア」や、「支出を削るところと、削らないところの見極め方」を教えていただきました。

まずは、3人のお子さんを育てるむぴーさん一家の、これまでの家計管理の変遷から。

「身を削るような節約」を経験して、確立した「ここは削る」「ここは削らない」

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首都圏で働いていたむぴーさんが結婚したのは、10年前。

当時は恋人だった夫の就職が決まり、むぴーさんは仕事を辞めて大阪に引っ越しました。

むぴーさん一家は、8歳長男、6歳長女、3歳次男との5人家族。

「当時、2人とも若くてお金がありませんでした。ずっとこの人といたい、お金がなかったら一緒にがんばればいいと思って結婚しました。でも、結婚直後は本当にお金がなくて(笑)。

今、振り返れば、“身を削る”ような節約をしていたと思います」(以下「」内、むぴーさん)

光熱費を惜しみ、食費をとことん切りつめ、休日に出かけるときには昼ご飯を食べてから……という生活。メディアで紹介されているような節約方法を一通り試してみました。

「光熱費の節約のために多少の暑さ・寒さには耐えようとしていた時期もありました。必要に迫られた節約ではあったけど、今になって思えば、あそこまでする必要はあったのかな……と思う節約方法もありました」

(※編集部注:特に夏場は室内での熱中症なども多く、過度な節電は危険が伴います。冷暖房は適度に使用するようにしてください。)

節約生活はしばらく続きましたが、夫の収入が安定し、むぴーさんも再び仕事を始めたことで、以前と比べて経済的な余裕が出てきたというむぴーさん一家。現在は、家計簿アプリ『Money Forward』でお互いの支出入を把握し合い、夫婦で協力して家計管理をしています。

「いつかやりたいこと」を後回しにしないと決めた

むぴーさんは、徹底した節約生活を経験したことで「この支出は、削る」と「ここは削らない」の軸が確立していったといいます。

まず「削る」の筆頭は、固定費。光熱費や携帯のプランなど、毎月、一定金額払うお金については、夫婦で定期的にリサーチして最適なプランを選択しています。

むぴーさんの著書『いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト』(税込み1,540円・CCCメディアハウス)

一方、「削らない」と決めているのは、大切な人たちと過ごすお金と時間です。

その理由について、むぴーさんはこう語ります。

「コロナ禍になって、いろんなところに行けなくなって、いろんな人に会えなくなりました。その時期に、私の祖母や夫の祖父、親しかった人が、会えないまま亡くなってしまうという経験をしたんです。

それまでは、“今は子どもが小さいし、お金がかかるし、やったら楽しいことは将来にとっておこう”と考えていました。

でも、家族がいつまで健康で一緒に過ごせるかわからないし、会いたい人に会えなくなる日がいつくるかわからないと気付いてからは、“いつかやりたい”を後回しにしたくない、と思うようになりました」

大切な人と「今日」「いま」を楽しく過ごすお金と時間は「削らない」と決めたむぴーさん。

ですがそれは、なんにでもお金をかける、ということではありません。本当に必要な出費をしっかり見極めつつ、日常生活を楽しく過ごすために、家族での体験を2種類に分類しているそう。

  1. 大きな出費が不要で、気楽に取り入れられる「日常生活が楽しくなるアイディア」
  2. 日常にワクワクが波及するような「お金を使って楽しむ非日常体験」

家計の状況に応じて、この2つをバランスよく繰り出しながら、「家計管理」と「楽しい暮らし」を両立させているそうです。

お金を使わずに半径1キロ圏内で楽しむ工夫は?

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むぴーさんの著書『いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト』には、「お金がほとんどかからないもの」から、「お金はかかるけれど特別な体験ができるもの」まで、99ものアイディアが掲載されています。どれも真似したくなるものばかり!

まずは、大きな出費や遠出をしなくても、特別な「今日」を過ごせるアイディアを6つご紹介します。

1:【Googleマップ探検】

『いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト』(CCCメディアハウス)より ※以下同じ

Googleマップを見ながら、家の近所の気になるところへ。

「この広場ってなんだろう」

「この公園、まだ行ったことない」

「こんなお店、あったんだ」

なんて会話をしながら探検すると、思わぬ場所に意外な発見があることも。地域のことをよりよく知る機会にもなりそう。

2:【冷凍食品食べ比べ】

1日3食の用意に追われがちな、長期休暇や休日。「今日は料理をしたくない」という日におすすめなのが、冷凍食品の食べ比べです。

ギョーザ、コロッケ、グラタン、ラザニア、ピザ……などなど、スーパーで食べたい物を子どもと選ぶのもいいですね。

3:【リサイクルショップでお宝さがし】

リサイクルショップで購入した900円のトランポリン。

家族でリサイクルショップに足を運び、雑多なグッズの中から掘り出し物を発掘。子どもたちの予算を決めて、地域内の商店街やバラエティショップで楽しむことも。

「我が家では最近、リサイクルショップで見つけた900円のトランポリンが大活躍しています」(むぴーさん)

4:【停電サバイバル生活】

もしも、電気が使えなかったら……という設定で、夜を過ごす1日。明かりをつけずに懐中電灯をつけて、非常食を囲みます。暑かったらクーラーを使いつつ、暗い部屋の中で、家族で防災訓練体験。

いつものリビングが違う景色になりそうですね。いざというときのための備えにもなるアイディアです。

5:【親をひとりじめできる日】

むぴーさんのお子さんは3人。末っ子がまだ小さく、上の子たちと2人きりの時間を持つのが難しいので、夫と協力しながら意識的に1対1の時間を持つことを心がけているそう。

「子どもにやりたいことを聞いて実行します。先日は、娘と温泉に行きました」(むぴーさん)

6:【自宅でハワイアン】

自宅ハワイアンのアイディアは、夫婦2人だけの、厳しい節約をしていた時期に編み出されたそう。

ハワイアンミュージックをかけて、柄物の服を着て、ロコモコ丼などを用意。涼しい部屋で、家にあるものを使いつつハワイの雰囲気を演出します。子どもも、ごっこ遊びのようにノリノリに!

このアイディアは、自宅で映画館、自宅でホテル……など、さまざまな応用ができるのも特徴の1つ。映画館ならチケットを手作りしたりポップコーンを用意したり、ホテルならカードキーや朝食券を作ったりなど、小物をしっかり準備することで臨場感が増します。

「映画館なら入り口を作ってチケットを渡したり、ホテルなら受付を設けたりして、日常空間から非日常空間に入るスイッチをつくるのもポイントです。最近は、子ども自身が“こんなことやりたい!”と提案して、主催者側にまわることも増えてきました」(むぴーさん)

むぴーさんのブログ『息子発案の「おうちをホテルみたいにする」プロジェクト』

日常に「ワクワク」が波及する体験にお金を使う

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日常生活を楽しく過ごす工夫をすると同時に、日常にワクワクが波及するような“非日常体験”も大切にしているむぴーさん。

旅行の日程には、子どもの意見も反映するそう。

「子どもでも、妻でも、夫でも。家族の誰かにとって“これをするとものすごくテンションがあがる”というお金の使い方があるなら、1年に何回かそこに使ってみるのもいいと思います。温泉、ミュージカル、コンサート……。なんでもいいんです。

生活するうえで絶対に必要とは言えなくても、ついウキウキしてしまうようなことがあるのなら、吟味しながらそこにお金を使うのが、じつはコスパのいいお金の使い方なんじゃないのかな、と思うようになりました」

むぴーさんの日常にウキウキをもたらすアクティビティは、家族旅行です。

「子どもを生んでからは、常に自宅で乳幼児と過ごす生活をしてきました。自宅にいながらインターネットで行きたい場所、泊まりたい宿を検索するのは、育児期の私にとってリフレッシュの時間でした。

そんな日々を経て、実際に旅行に行ってみたら、本当に楽しくて。昨年は、念願の沖縄旅行に初めて行きましたが、旅行に行こうと決めていろいろリサーチする段階から心が躍りました。楽しみな予定が待っていると、それまでの期間も楽しく過ごせるので、プラスの効果は大きいと思います」

こちらは家族で出かけた奈良県の曽爾高原(そにこうげん)。大自然に、子どもたちも元気いっぱい!

旅行予約の際にむぴーさんが活用しているのは、楽天トラベル。お得なクーポンが使える5と10の日に予約をして、日用品の買い物で貯めたポイントを旅行で活用します。

時々スペシャルなリフレッシュをして、再び慌ただしい日常に戻ったら、節約しつつも楽しく過ごすためのアイディアを活用する。このサイクルがうまく回ると、育児期の素敵な思い出がたくさん積み重なっていきそうですね。

むぴーさんの【家計管理のくふう】をおさらい!

 1:固定費のプランは定期的に見直し

2:夫婦の収入はお互いにオープンに

3:お金をかける体験と、かけずに楽しめる体験を見極める

4:節約しながら楽しく暮らすために、時間とアイディアは惜しまない

5:ワクワクするような特別なアクティビティには上手にお金を使う

「人生には、しんどいことも、ストレスもいっぱいあります。でも、自分にとって楽しいことがいっぱいある人ほど、強いんじゃないかと私は思います。子どもたちも、そんな風に楽しみを見つけるのが上手な人に育ってくれたら嬉しいですね」

と語るむぴーさん。「楽しい」を探して、「楽しい」を見つけて、「楽しい」を創り出しながら、笑顔の分量が多めの日常を過ごせるといいですね。

 

イラスト・写真/むぴー
構成・文/北川和子


【教えてくれた人】

むぴーさん

漫画家・イラストレーター。大阪府在住。

8歳長男と6歳長女、3歳次男の3人のお子さんを育てながら、絵日記やまんがを執筆。日々の子育てを題材にしたX(旧Twitter)の投稿や、WEBでの連載も好評。

著書に『子供ができて知ったこと』(扶桑社)、『母がはじまった』(PHP研究所)、『ほかの子と、ほかの親と、比べてしまう自分をやめたい』(KADOKAWA)、『子どもが起きない!』(主婦の友社)など。

X(旧Twitter)→@mupyyyyy

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