一度はやってみない?「アジの三枚おろし」
nullアジフライには15cmほどの長さの「真アジ」が向いています。通年手に入るアジですが、旬は夏! この時季のアジは小ぶりなものの、脂が乗って絶品です。家族全員分揃えても、お値段も手頃でうれしい魚です。

おいしいアジの見分け方
・黒目がしっかりと黒く、目が全体に澄んでいる
・小顔で身は張って大きい
・身に金属的な光沢がある
スーパーでは、すでに三枚おろしにしたものが売られていることもあります。丸のまま売り場に並んでいても、お願いするとたいていのところでは三枚おろしにしてくれます。
お魚がさばけるようになってみたい!という人のために、今回は三枚おろしから解説します。初めての人でもアジは小ぶりで扱いやすいので、ぜひチャレンジしてみてください。
今回使ったフライパンはこちら

直径26cmのテフロン加工のフライパンを使用します。
【材料】(2人分)
- アジ 2〜3尾(1尾150〜200gくらいのもの)
- 塩 適量
- こしょう 適量
- パン粉 適量
- サラダ油 適量
- 千切りキャベツなどの野菜 適宜
<バッター液>
- 卵 1個
- 薄力粉 大さじ4
- 水 大さじ2
<タルタルソース>
- ゆで卵 1個
- 玉ねぎ 20g
- パセリ 4g
- ピクルス 20g(きゅうりのピクルス使用)
- マヨネーズ 大さじ5
- 塩・こしょう 各少々
【コツ1】ゼイゴ→ウロコの順で下処理する
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まずは、ボウルに立て塩(3%の塩水のこと。水500ml:塩大さじ1弱)を用意します。これにアジをさっとくぐらせて洗い、包丁も濡らしておきます。この一手間で、包丁に付いたウロコが後から洗い流しやすくなります。
水は真水よりも立て塩の方が、身崩れを防げ、汚れが落ちやすいのでおすすめです。立て塩はこの後も使うので、捨てずにおいておきましょう。

皮付きの魚を調理するときは「ウロコ取り」をしますが、アジの場合は先に「ゼイゴ取り」をします。「ゼイゴ」とは、尾から腹の中央にある5cm程度の長さの硬い部分のこと。付いたままだと、口当たりが悪く、食べづらいので、包丁を寝かせて尾のあたりから中央に向けて薄くすき取ります。
このとき、刃をほんの少し上向きにすると身をたくさん削ることが避けられます。ゼイゴは頭の方までカーブして続いていますが、特に硬く、まっすぐ付いている部分だけ取れば十分です。

その後、尾側から頭側に包丁の背をあてて動かし、背や腹の下も忘れずに、全体に付いたウロコを取ります。ゼイゴを残したままウロコを取ると、ゼイゴがとても硬いため包丁を傷めてしまうことがあります。下処理はゼイゴ→ウロコの順にするのがおすすめです。
また、アジのウロコはあまり多くありませんが、飛び散るのが気になる方は、まな板の下に新聞紙などを敷けば安心です。

ウロコ取りをしたら、胸びれを立て、ややハの字に包丁を入れて頭を落としましょう。胸びれは頭と一緒に落とします。
次はワタを取っていきましょう。

頭を右側にして置き、中骨の上に包丁があたるようにし、腹に切り込みを尾に向かって半分くらい入れます。

入れた切り込みからワタを包丁の先で取り出します。

中骨部分の血合いを刃先である程度かき出したら、立て塩で洗った後、真水で洗います。水気は臭みの原因になるので、しっかりとペーパーで拭き取ってください。
これで「魚の水洗い」と呼ぶ、下処理の完了です。
数尾下処理するときは同時進行で!
ここまで解説した下処理は、数尾扱うときはそれぞれの工程で、全ての魚の分をまとめて行うのがおすすめ。
一尾ずつ行うと、包丁やまな板の汚れが気になって洗う手間が増えたり、魚の置き場に困ったりします。ゼイゴを取るときは全ての魚の分を取る、その後全ての魚のウロコ取りをする、といったように進めると、効率よく処理できます。
【コツ2】三枚おろしは「腹→背→背→腹」の順で!
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三枚おろしは「上身(うわみ)」「中骨(なかぼね)」「下身(したみ)」に分けること。基本となるのは「腹背背腹」。三枚おろしで包丁を入れる順番のことをいいます。
これだけ覚えれば、他の魚もうまくさばけるようになります。
上身の「腹」に切り込みを入れる

まずは、「上身」から取っていきます。
頭を右側にして置き、腹びれの上を、ワタを取るときに入れた切り込みから、さらに尾に向かい、中骨の上を引くようにして切り込みを入れます。中骨と繋がっている腹びれの上に包丁が当たるようにしてください。
骨に身が多く残らないよう、包丁が中骨にカリカリとあたっているのを感じながら、切り込みを入れます。
尾に近い部分は残しおきます。
上身の「背」に切り込みを入れる

同じ面の背を手前に置き、背びれの上に包丁を入れ、腹側と同じように切り込みを入れます。ここでも、背びれの上に包丁を入れるように気をつけましょう。
上身を取る

背の切り込みから腹の切り込みに向かって包丁を貫通させたら、尾を左手で押さえながら、中骨に沿って頭側に包丁を動かして身を外します。

包丁を裏返して刃を右向きにし、今度は頭側を左手で押さえながら、尾に向かって包丁を動かして上身を外してください。
下身の「背」に切り込みを入れる

次に、残った下身を取っていきましょう。頭を右側にして置き、背びれの上を中骨の上を引くようにして切り込みを入れます。
下身の「腹」に切り込みを入れる

同じ面の腹を手前に置き、腹びれの上に包丁を入れ、同様に切り込みを入れます。
下身を取る

腹の切り込みから背の切り込みに向かって包丁を貫通させたら、上身のときと同様に、下身を外してください。
【コツ3】太い腹骨はしっかり取る
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せっかく三枚おろしをしても、骨が残ると残念ですよね。特に身に残った腹骨は太く、食べづらさの原因になるので、包丁を寝かしてきちんと削ぎ落としましょう。これで三枚おろしの完成です!
縦の真ん中にある小骨は、加熱すると食べられる程度のもの。気になる方は、手や骨取りで抜いてください。

塩・黒こしょうをふって10分ほど置き、ペーパーで水分をやさしく拭き取ります。今回は、塩は下味として薄くふればOKです。
【コツ4】バッター液で衣付けは簡単に!サクッと仕上げる
null「バッター液」とは卵と薄力粉、水をあらかじめ混ぜて作る、フライの衣の下地のようなもの。これだと、薄力粉、卵、パン粉と順につけるよりも簡単で、しっかりとパン粉もつき、揚げ上がりもサクサクになります。

作り方は簡単! ボウルにバッター液の材料(卵 1個、薄力粉 大さじ4、水 大さじ2)を上から順に入れ、その都度よく混ぜるだけ。肉や野菜にも使えるので、覚えておくと便利です。

このバッター液に三枚おろしにしたアジをくぐらせ、パン粉をしっかり付けます。
【コツ5】一度に大量に揚げない!油の温度をキープしてベタつきを防ぐ
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フライパンに深さ1cmほどサラダ油を入れて170〜180℃に熱します。揚げ油を使うときは、フライパンの柄を奥側にしておくと安心です。
衣付けしたアジを入れ、途中一度裏返し、両面色づくまで2〜3分揚げます。
全部一気にフライパンに入れてしまいたいところですが、できれば油の温度が下がらないよう、2回くらいに分けて揚げるのがおすすめ。一度に揚げる具材は、油の表面積の1/2くらいまでを目安にすると、ベタつかずおいしくできます。
全体がこんがりキツネ色になり、フライの周りから出てくる泡が小さくなり、パチパチする音からチリチリと高い音になってきたら揚げ上がりの目安。菜箸で油から持ち上げて、菜箸越しに軽い振動が感じられれば、なお安心です。
2回目を揚げるときは、鍋に残った衣のカスを揚げ網などで取り除いてから。
せっかくのアジがパサついてしまわないよう、揚げすぎに注意してふっくらジューシーに仕上げましょう。
余裕があれば手作りタルタルソースを
nullサクッとジューシーに揚がったアジフライは、ソースやしょうゆ、レモンなど、好みのもので食べても絶品!
ですが、せっかくなので、今回はアジフライにぴったりのタルタルソースの作り方もご紹介します。余裕のあるときや、事前に作っておくといいですね。

ゆで卵を半分に切って、黄身と白身に分けます。黄身はボウルに入れてフォークで潰し、白身はみじん切りにします。玉ねぎ、パセリ、ピクルスをみじん切りにして加え、マヨネーズ、塩、黒こしょうを加えて混ぜます。時間があれば、早めに作って冷蔵庫で1時間〜置くと、味が馴染みます。
玉ねぎの辛味が気になる場合は、水にさっとさらして水気を絞って加えるといいでしょう。ピクルスの代わりに、らっきょう漬けやたくあんなど他の漬物を入れてもおいしいですよ。

皿に盛り付けたアジフライに、タルタルソースを添えて完成です! お好みでキャベツなどの野菜を添えても。
アジは下処理さえわかれば、実は扱いやすい魚。さらに、フライパンで揚げれば、油も少なめで済むので、フライも意外と簡単です。スーパーで旬のアジを見かけたら、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

料理家・フードエッセイスト。
大学卒業後、広告代理店で営業として勤務。大手料理教室講師を経て、兵庫県宝塚市にて料理教室主宰。その後拠点を東京に移し、料理家活動を開始。旬の野菜を使ったおばんざいを得意とする。
レシピ開発、フード関連のエッセイやコラムの執筆のほか、イベントやテレビショッピング、企業Instagramへの出演、司会進行など幅広く活動。
著書「カラダよろこぶ オイルおにぎり」(辰巳出版)
Instagram:@erikocookingsalon
ブログ:https://eriko-kanda.com/