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簡単?おいしく焼ける?「お手頃VS高級ホームベーカリー」をパン講師が焼き比べてみました!【お手頃代表シロカ編】

材料を入れてスイッチを押すだけで焼き立てほかほかのパンが作れるホームベーカリー(以下HB)。外出自粛の影響で手作りに目覚める人が増え、ここ最近人気が高まった調理家電のひとつです。ただ、いざHBを買おうと探してみるとかなり値段や機能に幅があり、どれを選んでいいのかわからないという人も多い模様。

そこで今回は、パン講師であるnagyiさんに高級機種とお手頃機種、2種類のHBで実際にパンを焼いてみて、できあがりにどれくらい差が出るのかをじっくりレポートしてもらいました!
まずはお手頃なシロカのHBからスタートです。

お手頃HBでもおいしいパンは作れるの?

初めまして、nagyiです。

私が普段パンを焼く際は、手捏ねやニーダー(パン捏ね機)で生地を作っています。ただ、パン作りが初めての人にはパン生地を捏ねたり成形したりする作業はちょっとハードルが高いことも。そんな人に、技術や時間がなくてもおいしいパンが作れるHBは強い味方ですよね。

ということで、まずは手軽に買えるHB代表、シロカの実力を「基本の食パン」と「白パン」で検証してみました。

お手頃とはいっても、パンだけでなく餅つきや発酵調理など、便利な機能もしっかり使えます。私自身HBを使うのは久しぶりなので、最近の進化したHBの機能がどんなものなのか、試してみるのが楽しみです。

それでは、レポートスタートです!

使用したのは「シロカ おうちベーカリー」

試したのは「シロカ おうちベーカリー SB-1D151」。(実勢価格:約10,000円 2021年2月現在 編集部調べ)。置き場所に困らないコンパクトなサイズで、構造もいたってシンプルです。軽量カップなどもセットになっているので、あとはスケールがあればすぐに作り出せます。

基本仕様は以下の通りです。

  • サイズ:幅約23cm×奥行約30cm×高さ約25cm
  • 付属品:計量カップ、計量スプーン、パンケース、パン羽根、羽根取り棒、ヨーグルト専用容器
  • 自動メニュー:20(食パン/アレンジ食パン/全粒粉パン/米粉パン/天然酵母パン/もちつき/ヨーグルト/甘酒など)
  • 自動投入機能:なし
  • お手入れ方法:食洗器不可。使い終わった後はやわらかいスポンジなどでパンケース内側、パン羽根を水洗い。

まず「基本の食パン」を焼いてみた!

それでは取扱説明書を参考にしながら「基本の食パン」を焼いてみます。

【材料】

  • 強力粉
  • 砂糖
  • スキムミルク
  • バター
  • インスタントドライイースト

パンケースにパン羽根を取り付け、水、強力粉、砂糖、塩、スキムミルク、バター(パンケースの四隅に)、インスタントドライイーストの順番で材料を投入する。

パンケースを本体にセットし、メニュー「1 食パン」を選択。焼き上がりまでの時間が表示されました。スタートを押してあとは4時間弱待つだけです。

焼き色は「うすい・ふつう・こい」から選択できるので、今回は「ふつう」で。その時行っている工程が三角印で表示されるので、進行状況が確認できます。

気になって、ちょっとだけ開けちゃいました(笑)。捏ねてる捏ねてる。

焼けたパンの香りがしてきてワクワクしていると、焼き上がりのブザーが鳴りました!

取消ボタンを押し、蓋を開けてみると、あれれ? 膨らみ過ぎたようで、庫内の上面に届いたために頭部分が凹んでしまいました。

たとえHBであってもそこはパン!やっぱり粉の種類や水温、気温によって毎回焼き上がりは変わるので、ある程度の調整は必要ということでしょうか。ともあれ、部屋が焼き立てパンの香りでいっぱいで、幸せ~。

パンケースから出し完全に冷めてからカットしてみました。焼き上がりの側面からは少し発酵し過ぎたかな?と思ったのですが、クラム(断面)は山型食パンらしい粗目の縦長の気泡で、側面からの印象より良い状態に思います。

操作も簡単で、焼き上がったパンもパンケースから抵抗なく取り出せました。

アレンジパン(白パン)を焼いてみた!

次はHBの「捏ね機能」「発酵機能」とオーブンを併用して、初心者さんでも比較的簡単に焼ける「白パン」を作りました。

HBには「パン生地」という、捏ねから発酵までを機械におまかせにできるメニューもあるのですが、「捏ね」「発酵」機能の様子を見たかったこともあり、それぞれのメニューボタンを使ってみます。

【材料】

  • 強力粉
  • 砂糖
  • スキムミルク
  • バター
  • インスタントドライイースト

食パンの時と同様に、パンケースにパン羽根を取り付けて材料を投入します。左のメニューボタンを押し、「10 こねる」を選択しスタート! 捏ね具合を確認しながら時間を少しずつ延長していきました。このときはトータルで15分程度で完了としましたが、粉の種類や状態などによっても異なりますので、生地の様子を見ながら調整するといいと思います。

捏ね終わったら「11 発酵」で50分間。ブザーが鳴ったら発酵完了です。このとき、少し生地表面が乾燥しているように感じました。

パンケースから生地を出し、分割してまるめたら、10~15分ほど生地が乾燥しないように休ませます。パンケースに深さがあるので、取り出す際、生地を傷めてしまいやすく感じたので注意が必要です。

再度表面がなめらかになるようにまるめて成形したあと、麺棒を真ん中にぎゅっと押し込んで線を入れます。天板の上で二次発酵させ、オーブンで焼いたらできあがり!

やはり、パンを作る中で「捏ね」がもっともハードルの高い作業だと感じる方が多いと思います。そういった、手捏ねに不慣れな方や、一次発酵がきちんとできているかの判断が難しいと感じる方には、機械におまかせできるととってもらくちんですね!

発酵機能を使って米麹から甘酒作り

そして最後に、発酵メニューの中から「19 つぶつぶ甘酒」を使って甘酒を作ってみました。

 

コロナ禍で健康について考える機会が増えたという方も多いと思います。発酵食品が健康に良いことは言わずもがな。日本人にとっては昔から味噌や醤油でもお馴染みの、麹菌を使った食品は発酵食品の代表格ですね。

私は米麹から酒種を起こして、パンを焼く事もあります。しかし、パンはオーブンで焼き上げますし、市販の甘酒も最後に加熱殺菌されているものが多いため、麹の旨味や栄養は摂れても、残念ながら熱に弱い酵素は摂れません。その点、米麹で60℃前後の低温で作る甘酒なら生きた酵素も一緒に摂取できるため、一石二鳥。

麹菌は高熱に弱いので、材料を投入する時の温度に気をつけます。温度計があると安心。

ここではパンケースに穴をあけたアルミ箔をフタとして使用します。あとは温度調整をする必要もなく6~10時間で完成!

自分で作ると適切な温度をキープするのが難しい甘酒ですが、機械で手軽に作れるというのはとっても助かる機能です。

使ってみて分かったお手頃HBの実力は?

私自身、HBでパンを焼いたのは久しぶり。シロカのHBを使ってみて感じたことは以下の点です。

ここはよかった!

  • 材料を投入するだけでOK。面倒な手間や難しいパン作りの知識がいらない。
  • タイマーを利用すればいつでも焼き立ての食パンが食べられる。
  • 食パンだけでなく「捏ねる・発酵」機能を利用すればパン作りのバリエーションが広がる。
  • パン以外のメニューも作れる。
  • 何よりこれだけの機能がついて約1万円という安さ!

ここはイマイチ…

  • 生地の捏ね具合、発酵具合、温度調整をすることは難しい。
  • 食パンの底面にパン羽根の穴ができる、見た目が好みに焼けない。
  • キメが粗めの仕上がりになるので、キメ細かい生地の角食パンなどは焼けない。
  • 本体に持ち手がないので移動の際不便に感じた。
  • 自動投入機能がないので、後からレーズンなどの副材料を入れたいときはいったん止めてから入れる必要があり不便。

本格的なパンを焼きたい場合には、どうしても機械まかせな分、HBでは細かな調整はできにくい面はあります。でももちろん「朝食に焼き立て食パンを食べたい」という方や、パン作りが全くはじめての初心者さんがここからおうちパンを始めるのにはぴったりの機械だと思います。

このお手軽操作で焼き立てのパンが食卓に並ぶ、自宅でパンが焼けるあの香りが楽しめるというのは得がたい魅力ですよね。また、この充実した機能を考えれば決して1万円のお買い物に損は無いように感じました。

次回は第2弾として高額機種HBとの比較検証をしてみます!  お楽しみに!


nagyi

「なぎの木パン教室」主宰。​趣味から始め、本格的にパン作りを学び、オンラインでのパン教室をスタート。ブログやInstagramで、作ったパンの写真を中心に“小さな彩りのある暮らし”を発信している。その他、パン関連のコラム執筆などでも活躍中。

●「なぎの木パン教室」オンラインレッスン
https://nagyinoki001.wixsite.com/lesson

●ブログ「パンが主役の”ものづくり”」
https://nagyinoki.blog.fc2.com

●Instagram:@nagyinoki
https://www.instagram.com/nagyinoki

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