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ゴミが捨てられない未来がくるって、どういうこと?
null再利用や再資源化が難しいゴミを処分するために、ゴミが集められる施設を“ゴミ埋立地”“最終処分場”と呼びます。このままでは、これら施設の限界がきて、ゴミが捨てられない未来がそう遠くないのだとか。
「ゴミ埋立地の寿命は、全国平均であと20年くらいなんだそうです。すべての埋立地が使えなくなると、発生したゴミの行方はどうするべきか、以前から問題になっています。
ただ、食べる、働く、恋愛をする。そういう人生の循環の中に“ゴミを捨てる”も入っていると思うんです。待ったなしの状態だけど、切っても切り離せないからこそ、捨てるならどう捨てるかが大事だと思います」(以下「」内、滝沢さん)。
それには「一人ひとりが3R(さんあーる)を実践すること」と、滝沢さんは続けます。
“3R”とは、無駄にゴミを出さない“リデュース(Reduce)”、繰り返し使う“リユース(Reuse)”、資源を蘇らせる“リサイクル(Recycle)”のことです。
滝沢さんが実践している3Rを教えてもらいました。
今日から実践できる“3R”
null無駄にゴミを出さない“リデュース”(Reduce)
以前は、買いものも普通にしていた滝沢さん。もらいものも大好きだったとのこと。ところが、そもそも買ったりもらったりする機会が減り、ものをより大切に使うようになったそうです。
「前は、もらえるもんなら全部もらっとけ(笑)! 先輩からのお下がりの衣装とか、楽屋のペットボトル飲料とか、なんでもかんでももらったり持って帰ったりしていました。でも結局、使わなかったり大切にしなかったりして、ゴミが増えていると気がついて。
まずは、本当に自分に必要かを考える。そして、買う以外に手段があるか調べて、買ったなら大切にします。
たとえば、衣装でもある洋服はレンタルサービスを使っています。先輩からのいただきものも、着ないならもらわない。ただ、コートだけはレンタルできないので、長く着られる上質なものを一着買いました」
また、食品ロスを防ぐ意味でも、基本的には“手前取り”。非常時は、内容とストック方法を見直したそうです。
「震災やコロナもあって、日持ちのする食品をストックするようになったけど、うちは“ローリングストック”を実践しています。これは、パスタとか子どものお菓子とか、普段から食べ慣れているものを、使いながら買い足していく方法です。
ふだん食べ慣れていない非常食って、結局、手付かずのまま賞味期限が切れがちです。福祉施設等へ品質には問題の無い食品・食材を無償提供する“フードバンク”に寄付するとか、間をつなぐ人やサービスもあるけど、まずは自分が必要なぶんだけ買うっていう意識が大事だと思います」
ただし、ストイックになりすぎず、子どもの「ファストフード食べたい!」には、程よく付き合うといいます。
「子どもたちはまだまだ、消費するのも楽しいから。もったいないことはしないのが基本だけど、少しずつゴミを減らす生活の楽しさもわかっていったらいいんじゃないかな」
繰り返し使う“リユース”(Reuse)
「ゴミのカサを減らすのも大事」という滝沢さん。ペットボトル飲料も自分からは買わないそうです。
「基本的には、ゴミ清掃員を始めたときに買った保温効果のある水筒を持ち歩きます。そもそもゴミが出ないし、(ペットボトルが)1本150円と考えると、結構な節約になっていますよ」
また、必要としている人に引き継ぎ、使ってもらうのも手。滝沢さんは、引越し前に、マンションの1階へ“ご自由にどうぞ”と書いたボックスを置いたそうです。
「よく『ご自由にどうぞ』と書かれたボックスがあると思うんですが、理由をちゃんと書いておくと持っていってもらいやすいですよ。僕も『引っ越すので〜』と詳しく書きました。正体がわかって安心するのかもしれませんね」
集合住宅の場合は、管理会社に確認したうえで、実践してみるのもいいですね。
資源を蘇らせる“リサイクル”(Recycle)
瓶、缶、ペットボトル、紙などの資源は、リサイクル可能か確認。出来るものは、分別してリサイクルが基本です。
「分別は面倒で、素材ごと、地域ごとのルールもあってややこしいかもしれないけれど、何に生まれ変わるんだろうって調べてみるのがおすすめです。自分のしたことが何につながるのか知っておくと、ワクワクしますよ」
ゴミの少ない暮らしは快適です!
null「別にミニマリストになる必要はない」と滝沢さんはいいます。
「ゴミも減らしているミニマリストは素晴らしいけど、ものを持たないことが美学とバンバン捨てるミニマリストは本末転倒でしょ(笑)。ゴミが少ないと快適ですよ。今は、少ない時には、週に2回の可燃ゴミも、45Lの袋を一つ持って行くだけです。
ゴミが少ないと、集積場も街もきれいになります。不思議なんですけど、富裕層の人たちが多く住むエリアはゴミが少なくて街もきれい。さらに、ゴミの出し方もきちんとしているんです。これってつまり、ゴミに生き方が現れているんじゃないかな。
毎日外食なのかもしれないし、お手伝いさんがいるのかもしれません。でもきっと、買うなら上質なもので、お手入れしながら大切に使うから、すぐに捨てないんでしょうね。僕は、その生き方を見習っていればお金持ちになれるって、本気で思っているんですけど。芸人仲間にも『ゴミを減らして仕事を増やそう!』って言ってます(笑)」
最初は捨てることや捨て方に注目していましたが、滝沢さんの目指すところを聞いて開眼! そもそも物を大切にすればゴミは減り、ゴミが少なければ生活も快適になる。そのサイクルは納得できます。
気持ちよく生活する中で、これからも当たり前が続く未来になりますように。滝沢さんから教わったあれこれを、楽しみながら実践してみてくださいね。ゴミが少なくなればお金持ちになれるかも!?
撮影/五十嵐美弥(小学館)
【取材協力】
滝沢秀一(たきざわしゅういち)
1976年生まれ。1998年に西堀亮とお笑いコンビ『マシンガンズ』を結成。
『THE MANZAI 』 2012、2014年認定漫才師。
2012年より定収入を得るため、ゴミ収集会社に清掃員として勤務を始める。
現在、SNSや執筆、講演会等にて、ゴミ清掃中に気がついたことを発信している。
著書に『このゴミは収集できません』(白夜書房)、『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』(太田出版)などがある。
「滝沢ごみクラブ」というゴミを減らすためのオンラインサロンを開催中。
2023年5月3日(ごみの日)から5月30日(ごみゼロの日)まで、「ごみフェス2023」を開催予定。詳しくはhttp://cycrew.jp/をチェック!
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote