子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

【ゴミ清掃芸人は見た!】個人情報が溢れている「可燃ゴミ」の賢い捨て方

不要なものを捨てる、所有物の取捨選択をしていくのは、気持ちに整理にもつながります。ただ、むやみやたらに捨てるのはストーップ! 気をつけるべきことがあるんです。中でもとくに身近な「可燃ゴミ」のあれこれを、お笑い芸人でありゴミ清掃員としても働くマシンガンズ・滝沢秀一さんに聞きました。

「ゴミ袋には8分目まで!【ゴミ清掃芸人に聞く】7つの「捨て」マナーとは?」はこちらをチェック

それ、見られてるかも?個人情報は可燃ゴミにそのまま出しちゃだめ!

null

滝沢さんはゴミ清掃員になってすぐ、シュレッダーを購入。以来、可燃ゴミを捨てるときはシュレッダーは必須アイテムだといいます。

芸人としての活動が忙しくなった今も、週に1度は清掃員として働くマシンガンズ・滝沢秀一さん。

「日々たくさんのゴミを清掃する中で、ゴミには個人情報が溢れているって気づいたんです。たとえば、マンションの集積場に出された可燃ゴミだけ見ても、毎週、同じような食品のパッケージやメーカーの衣類が入っているから、別の日に出しても同じ人(家)のゴミだとすぐにわかります

家が特定できるだけじゃなくて、ゴミは心境も透けちゃいます! あるとき色紙が出てきたのでふと見たら『やめても頑張れ』と、アルバイトの歓送迎会でもらったであろうメッセージの寄せ書き。日付は昨日……。ああ、余程やめたかったんだな〜って(笑)」(以下「」内、滝沢さん)

滝沢さんが実践する「個人情報の捨て方」

null

ご近所の目を考えても、個人情報になり得る部分はシュレッダーにかけたり、細かく破ったりしてから捨てるのが賢明です。中でも滝沢さんが実践している、3つの捨て方はこちら。

(1)住所や名前がわかるものは取り除く

個人情報といえば、郵便で届いた封書や宅配の伝票。住所に名前、電話番号に、中身が何かなど、情報が溢れています。ところが封書はとくに、そのまま捨てる人も多いそう。

住所や名前の書かれた部分はちぎり、シュレッダーへ。残りは粘着部分を取り除いて資源へ。(写真提供:滝沢さん) 
伝票も剥がし忘れにご用心。なお、伝票は資源にはなりません。

DMなど、開けないでポイッと捨てている人もいますね。僕は、封筒本体は雑紙で資源の日に出すので、住所や名前の部分だけ剥がしたり切り取ったりしてシュレッダーにかけています

宅配の伝票も、届いたら段ボールから剥がしてシュレッダーにかけます。コロナ禍で宅配サービスを受ける人が増えて、資源の日に段ボールを回収する量もグッと増えました。伝票を剥がすのも習慣にしちゃいましょう」

(2)レシートは一度に大量に捨てない

レシートってまとめて捨てがちです。(写真提供:滝沢さん)

日々の買いもので受け取るレシートも、持ち帰っているなら注意。そのまま捨てるのはやめたほうが賢明です。

「とくに、一度に大量に捨てるのはおすすめしません。行き慣れたお店で買いものする人が多いと思うんですが、レシートには利用時間、店舗名などが書かれています。それが大量にあったら……? 行動時間や、自宅、通勤通学先が近いなど、さまざまな個人情報が見えてきますよ」

(3)子どもアイテムの記名部分はカットする

上履きの記名部分など、うっかりそのままにしがちです。(写真提供:滝沢さん)
ノートや工作などは、学年も分かってしまいます。(写真提供:滝沢さん)

子どもの上履きや、持ち帰った工作など、子どもの名前や年齢が分かりそうなものも注意します。

「うちでは、上履きやノートの名前が書いてあるところだけカットして、切り刻んで可燃ゴミに出します。お絵かきや習字は、名前や学年の部分は切り取って、可燃ゴミへ」

そのほか「可燃ゴミ」を捨てるコツ

null

個人情報に気をつけたうえで、可燃ゴミを出す際に“これいい!”と滝沢さんが感じたり実践したりしている、ゴミ出しのコツも聞きました。お住まいの自治体の方針に従ったうえで、参考にしてみてくださいね。

においの気になるゴミは“PP素材の袋”へ

水気の残った生ゴミやペットの糞など、においが気になる可燃ゴミがあります。おすすめは、パンや野菜が入っている“PP(ポリプロピレン)素材”と書かれたビニール袋に包んで捨てる方法です。

プラ素材のパンの袋を見ると“PP”と書いてあります。  
こんなふうに入れて可燃ゴミに出せばにおわない。

「市販品でもにおわないビニール袋がありますが、パンや野菜の入っているPP(ポリプロピレン)素材の袋も中身のにおいが漏れるのを防ぎます。捨てずに取っておけば、袋自体も“ただのゴミ”にならず、リユースできますね

ちなみに、ガラガラと引き出して使うスーパーの半透明な袋は、PE(ポリエチレン)素材。これは残念ながらにおうので、生ゴミなどを入れるのには向きません」

丈夫なゴミ袋を使う

ゴミ袋にもいろいろありますが、やはり収集したときに“破れない”こと。掴んだ瞬間に破れたり、収集車に投げ入れたときに破れて中身が弾け飛ぶと、道を汚し、清掃員の方が掃除をする手間と時間が発生します。

100円均一の袋はリーズナブルですが、丈夫さでいえば不安。とくに45Lとか60Lとか、容量が大きくなればなるほど、中身(ゴミ)に対して丈夫さが合わなくなってくるんですよね。

あと、透明といっても、クリーニング店で衣類を包んでいたビニール袋の再利用はやめてほしい(苦笑)。あの袋はあくまでカバーなので丈夫じゃないから、僕ら清掃員が掴んだ瞬間にやぶれてしまうんですよ〜。

お花や枝もの、ピザの箱など、尖っているものをビニール袋に入れるときにも注意。どうしても、尖った先や角があたるとビニール素材は破れやすくなります。なるべく袋に余裕をもたせて、ぎゅうぎゅう詰めないように

*指定ごみ袋の地域もありますので、お住いの地域のルールに従ってください。

ゴミ袋の中でさらに小分けに包んで捨てる

半透明や透明なビニール袋にそのままゴミを捨てると、個人情報が丸見え! さらに、万が一、袋が破れた場合に、被害が大きくなってしまいます。

生ゴミなどを新聞紙で包んで捨ててあるのを見ると、この家はおばあちゃんがいるのかな?と思いますね(笑)。昔ながらのこの知恵は、余計な水気が出ず、中身が見えすぎないよう気も使えて、カラスに突かれる被害も予防できます

使い捨てマスクや使用済みティッシュなどは、そのまま捨ててもかまいませんが、小さなビニール袋で包んであると僕ら清掃員も安心ですね。紙おむつなら、排泄物はトイレに流してから捨てましょう。におわないビニール袋で包んであると、なおいいですねえ」

鋭く光る滝沢さんの目!「ベテラン清掃員は、袋を持ったときの違和感や、見ただけで中に違うものが入ってるって気付くこともあるほど」と滝沢さん。

なお可燃ゴミの中に、危険なものや捨ててはいけないものを、外から見えにくくして捨てるのはマナー違反! 絶対にやめましょう。

「ゴミを捨てるなとはいいません。でも、出来心や“一つならいいだろう”という小さな油断が、清掃車火災や清掃員のケガにつながる場合もあると覚えておいてください

 

自宅や職場、学校など、とくに捨てる機会の多い可燃ゴミ。だからこそ、一人ひとりの心がけや思いやりがとても大切ですね。

撮影/五十嵐美弥(小学館)


 

【取材協力】

滝沢秀一(たきざわしゅういち)

1976年生まれ。1998年に西堀亮とお笑いコンビ『マシンガンズ』を結成。
『THE MANZAI 』 2012、2014年認定漫才師。
2012年より定収入を得るため、ゴミ収集会社に清掃員として勤務を始める。
現在、SNSや執筆、講演会等にて、ゴミ清掃中に気がついたことを発信している。
著書に『このゴミは収集できません』(白夜書房)、『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』(太田出版)などがある。
滝沢ごみクラブ」というゴミを減らすためのオンラインサロンを開催中。

ニイミユカ
ニイミユカ

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載