世界から見た日本のゴミ事情
null実際のところ日本のゴミ事情は、現在どうなっているのでしょうか?
「アメリカなどは広大な土地があるから、ゴミを埋めることができるのですが、日本は狭くて土地がないので燃やす文化です。その灰を埋めるところが最終処分場なのですが、ここがもうあまりない……、という状態です。
ですが日本人の“分別”は、世界的に見てもすごいです。ペットボトルの回収率もすごい。日本のゴミの分別を書いた冊子はとても分厚く、この前フランスの方から取材を受けた際に驚かれたほどです。規則を守ることにかけては優秀と言えます。
でも、その先に何があるのか知ろうとする方は少ないように見えますね。つい最近までレジ袋は無料でたくさんもらっていたし、環境について考えている人は、そんなに多くないかも知れません」(以下「」内、滝沢さん)
生ゴミは絞るだけでメリットが大きい
null一番いいのはゴミを減らすことですが、なかなか難しいですね……。どうしたらいいでしょうか?
「まず、生ゴミは絞って出してくれるといいですね。匂いも減るし、環境にもいいんです。ゴミの匂いっていうのは水分なんです。そこから雑菌が繁殖するということです。1回でもいいのでギュッと絞ってくれたら、それだけでだいぶ違います。
生ゴミの80%は水分なので、絞ってくれたら、我々清掃員に跳ね返ってくることが少なくなります。清掃車の回転板って、ゴミを圧縮しながら回ってるので、各家庭の生ゴミが雑巾のように絞られてくるような感じで、すごい匂いなんです。
各家庭が絞ってくれたら僕も助かりますし、環境にもいいんです。絞られていないとゴミが重いので、運ぶのにCO2をより多く排出します。
焼却炉はなんでも燃やしてくれるイメージがあるかもしれませんが、やっぱり火で燃やしているので、絞られていない生ゴミは、火に水をぶっかけるようなものなんですね。燃えにくくなってしまうので、より長く燃やさなきゃならなくなります。もしくは重油をかけることになります。この重油は、みんなの税金などで賄っているんですよ」
なるほど……、キッチンのゴミをまとめる際には絞ることを心がけたいものです。
可燃ゴミから「紙」を抜くといい
null他にもゴミを減らすコツはあるのでしょうか?
「可燃ゴミの中から、紙だけ抜くといいですよ。カレンダーとか、お菓子の箱とか、封筒とか。これだけで1週間のゴミが2袋分くらいになります。このような紙って燃やしたら灰になってしまうんですけど、古紙の日に出せばまた紙に変わるので、資源になります。真逆の行為なんですよ。
雑誌や新聞以外の紙は、溜まりがちな紙袋に入れて出すのがオススメです。最近では食品包装用ラップフィルムの紙パッケージも、捨てやすいようにギザギザが紙でできている商品も増えていますね。購入する時に“この商品は、全部紙だから楽だな”と捨てる時のことまで想定できるメーカーのものを選ぶ、というのもいいですね」
滝沢さん自身の変化も
nullゴミ清掃員を始めてから、滝沢さん自身にも変化はありましたか?
「ゴミを捨てる量が、それまでと比較して少なくなりましたね。よく考えると、以前は自分も紙ゴミがいっぱいありました。今は物もあまり買わなくなりましたし、普段着ている洋服もレンタルです。洋服って、取っておいても後で着なかったり、溜まっていく一方だったりしますよね。買わないとスペースが生まれて、意外と快適なんですよ。
ただ、そんな風に増やさないようにしていても、やっぱりゴミは大量に出てくるんです。買う前に本当に必要か、考えるといいと思います」
生ゴミは絞り、可燃ゴミから紙は抜く……。そんなシンプルな行為でもみんなが行なえば、ゴミの削減、そして環境保護につながります。2023年は、ゴミの量を減らすことを意識してみませんか。
取材・文/まなたろう 撮影/五十嵐美弥(小学館)
【取材協力】
滝沢秀一(たきざわしゅういち)
1976年生まれ。1998年に西堀亮とお笑いコンビ『マシンガンズ』を結成。
『THE MANZAI 』 2012、2014年認定漫才師。
2012年より定収入を得るため、ゴミ収集会社に清掃員として勤務を始める。
現在、SNSや執筆、講演会等にて、ゴミ清掃中に気がついたことを発信している。
著書に『このゴミは収集できません』(白夜書房)、『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』(太田出版)などがある。
「滝沢ごみクラブ」というゴミを減らすためのオンラインサロンを開催中。