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【ゴミ清掃芸人に聞く】「資源」に出したいけど、コレって大丈夫?

ゴミや「資源」を分別するとき、どうするか困った経験はありませんか? まずは自治体のホームページなどで調べるのが基本ですが、それでも分別するときに困るあれこれについて、芸人でありゴミ清掃員でもあるマシンガンズ・滝沢秀一さんに聞きました。

「自治体による」で戸惑う私たち

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可燃ゴミ一つとっても「これは燃やせる?」と迷ったり、紙類が「これはリサイクル出来るんだっけ?」とわからなくなったり。「?」が浮かぶことがたびたびあります。

その理由の一つに、ゴミの出し方は自治体により、一概にいえないということがあります。自治体ごとに異なるのは、地域のゴミ処理場の機能によるためなのだとか。

「分別が細かく厳しいエリアは地方に多いんですけど、その地域のゴミ処理場が小さいから、なるべく可燃ゴミを減らしたいという理由があるんですよ。反対に、可燃ゴミの許容範囲が広い地域は、ゴミ処理場が大きくて、受け入れられるものが多いともいえます。

といっても、燃え残りは出るし、燃え残ったゴミは埋め立てたりする必要があるから、なるべくゴミは減らすに限ります!」(以下「」内、滝沢さん)

ゴミを減らすためにも! ここからは、怒涛の“資源に出したいけど、これってOKなゴミ?”を解決します。滝沢先生、よろしくお願いします!

悩み多き「資源の分別」

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ゴミを減らすには、資源に出して、リサイクルすることが欠かせません。悩みがちな分別について、しっかり解決しましょう!

Q.そもそも「資源」はどこまで細かく分別するべき?

A.自治体のルールに即して、出来るだけ徹底しましょう。

ペットボトルのラベルを剥がす、紙製バインダーの金属部分やカレンダーの留め具は取る、紙パックの口についたプラスチック素材も外すなど。資源に出すときにハマる分別の沼。

資源はリサイクルが目的だから、可燃ゴミではOKとされている9割ルール”が適用されません。“9割ルール”というのは、ほぼ該当するならOKというもの。たとえばベルトは、一部金属だけど9割がた燃える素材なので、可燃ゴミに出していいんです。

ただ、資源の場合は、素材の質を損なわないためにも、きちんと分別する必要があります

Q.中身を使いきれなかった瓶詰めは、そのまま「資源」に出していい?

A.リサイクル出来るガラス瓶なら、必ず中身を出して、きれいにしてから。

中身の入っているガラス瓶は、ほとんどの自治体で「資源」へ出せません。汚れやにおいがついていない状態でないと、きちんとリサイクル出来ないからです

「使いきれなかった中身は全部出して、きれいにします。金属製のふたは別にして、瓶だけを資源へ出してください。

中身が液体の場合、そのまま流しに捨てるのは心が痛みますよね。不要になった衣類やタオルを小さく切って、吸わせるのも手ですよ。これに使った布は、可燃ゴミです」

Q.花瓶や魔法瓶も「瓶」がつくから「資源」?

A.不燃ゴミです。

見た目は似ていますが、左が「花瓶」、右が「ガラス瓶」です。

不要になった花瓶は「ガラス瓶」だから、資源?と思いきや、正解は不燃ゴミ(※)。

同じ『瓶』でも素材の質が違うので、花瓶は資源ではなく不燃ゴミです。魔法瓶や哺乳瓶も、『瓶』はつくけど違います

※サイズ、量にもよります。大きすぎるもの、大量な場合は粗大ゴミとなる場合があります。

ガラス瓶の中には「R」という文字で、リユースが出来ることを明記してあるものも。

ガラス瓶でも、乳白色のガラス、薬品などが入っていたガラス、耐熱ガラスはリサイクルできないため、分けて不燃ゴミへ。また、割れたガラス瓶も不燃ゴミに出します(新聞紙などにくるんで“割れ物”“危険”と明記しておくと、わかりやすいでしょう)。

同じように「缶」も、瓶と同じく素材の質や、自治体によっては分別しなければなりません。

「僕はずっとクッキー缶は不燃ゴミだと思っていたんですが、この間、とある町の集積場でクッキー缶が資源に出してOKなのを見かけました。引っ越したら最初に、住むエリアのゴミ出しルールを確認すると、資源の日にも判断しやすくなりますよ

お住いの自治体の資源ルールをチェックすると、知らなかった発見があるかもしれません。

「紙」の分別が難しい!

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資源の中でも、とくに細かく分別を必要とするのが“紙”かもしれません。

Q.段ボールは、たたんで出したほうがいいですか?

A.ガムテープと伝票は剥がして、たたみましょう。

たたみ方の例。「紙ひもは、見つけるのも縛るのも難易度が高いと思うので、そうでないものでも大丈夫です」。

宅配や水のまとめ買いなどで溜まりがちな段ボール。ガムテープや伝票などを剥がしてからたたみ、段ボールだけでまとめるのが正解です。

「マトリョーシカのように大きな段ボールに小さな段ボールを入れる方法はかさばるので、たたんで、出来れば紙ひもでまとめてください! ただ、段ボールの中には頑丈な金具が使われているものもあって、外そうとしてケガをする可能性もあるので、そこまで無理しなくても大丈夫です」

Q.段ボール以外の紙は、全部一緒に出していい?

A.種類によって分けてまとめましょう。

紙だからと、牛乳パックと新聞を一緒にするのはNGです。

段ボール以外の紙や雑誌・新聞は、大きな紙袋などにまとめて入れてもいいですか?

紙資源はリサイクルするための行き場所が違うんですよ。だから、段ボールだけじゃなく、それぞれ分けて出してほしいです」

Q.紙資源の「基本の出し方」をそれぞれ教えてください!

「雑紙」(ざつがみ)と呼ばれる、そのほかの紙。一つひとつは小さいが、記者の家では大人2人、子ども1人、1週間程度でこんなに出ました。

段ボール
ガムテープや伝票は全て剥がし、平たくたたみます。そのうえで、紙ひもなどで縛りましょう。

新聞や雑誌・本
新聞は新聞、雑誌は雑誌など、それぞれ分けて紙ひもなどで縛ります。「よく古いアルバムが混じっていますが、アルバムは綴じてあるけど本じゃありません!」注意したいポイントですね。

牛乳パック
きれいにすすいで乾かし、平らに開きます。「開くときには、はさみじゃなくてもOKです。手でも裂けますよ」まとめる場合は、紙ひもなどで牛乳パックだけをまとめます。

そのほかの紙「雑紙」
お菓子の箱やラップの芯、プリント類など。「細かな『雑紙』をギュッとまとめるだけでも、ゴミのカサがかなり減りますよ。紙袋などにまとめて出してください」

Q.資源にならない「紙」ってどんなもの?

A.加工が施してあるもの、香りや金銀の塗料など異物のついたものは可燃ゴミです。

『その他の紙』の中でも、リサイクル出来ないものがあります。中でも代表的なものはこちら!

紙製のテイクアウトカップ。熱さから手指を守る「スリーブ」も「いりません」と断ればごみが減りますね。

ヨーグルトの紙パックやテイクアウトドリンクの紙カップ
パッケージを見ると「紙」と書いてありますが……? 「ヨーグルトのパックや紙カップは、内側に水分が漏れないような加工が施してあります。これは紙素材ではあるけど、可燃ゴミですね(*)

*種類と地域によっては「資源」として出せる場合もあります。メーカーのサイトとお住いの地域のルールをご確認ください。

 

キラキラとしたパッケージの紙は、資源にはならないのです。

箔押しされた紙
コスメや高級品を包む箱などで見かける金色や銀色のパッケージ。「金色と銀色を見たらリサイクルできない、と覚えておきましょう! 紙の表面加工が他の色と違うんですよ」

芳香剤入りの洗剤の箱はうっかり混ぜてしまいがち。(写真提供:滝沢さん)

香りがついたもの
洗濯洗剤の箱、香水やお香の入っていた箱など、香りがついた紙もリサイクルできません。「せっかく資源に出しても、香り=異物。その香りがうつって、他の資源もリサイクル出来なくなってしまうケースもあるんですよ〜」

捨てづらく溜め込みがちですが、思い切って可燃ごみへ!(写真提供:滝沢さん)

お習字やクレヨンのお絵かき
子どもが持ち帰ってくるお習字や、お絵かきなども、資源にはならないそうです。「墨汁やクレヨンなどは異物になるので、可燃ゴミです」

撥水加工が施されている紙袋
雨の日などに安心の、中身が濡れづらい紙袋。「これも表面に加工されているので、資源には出せません」

内側が銀色の牛乳パック
豆乳やアーモンドミルクの紙パックを洗って開いたら、内側が銀色。これも“牛乳パック”とまとめていい? 「内側にアルミがコーティングされている紙パックは、中身がより日持ちするように加工されています。だからこれは可燃ゴミに出してください」

靴を買ったときに入っている薄紙
新しい靴を買うと、箱の中で靴が包まれている薄紙も、資源に出してはだめ。「あの紙自体にインクがしみていて、他の紙と混ぜると全てリサイクル出来なくなってしまうんです」

ちなみに滝沢さんによると、ゴミ清掃員の中には「資源」ではなく「資源ゴミ」と言うと「ゴミじゃない!」と怒る方もいるそうです。確かに、きちんとリサイクルすれば、新たな命が吹き込まれるものですもんね。必要のなくなったゴミではありません。

皆さんも、お住まいの地域のルールを改めてチェックして、正しく分別出来ているか。また、もっとリサイクルできるものはないか、確認してみるのをおすすめします!

撮影/五十嵐美弥(小学館)


 

【取材協力】

滝沢秀一(たきざわしゅういち)

1976年生まれ。1998年に西堀亮とお笑いコンビ『マシンガンズ』を結成。
『THE MANZAI 』 2012、2014年認定漫才師。
2012年より定収入を得るため、ゴミ収集会社に清掃員として勤務を始める。
現在、SNSや執筆、講演会等にて、ゴミ清掃中に気がついたことを発信している。
著書に『このゴミは収集できません』(白夜書房)、『ごみ育 日本一楽しいごみ分別の本』(太田出版)などがある。
滝沢ごみクラブ」というゴミを減らすためのオンラインサロンを開催中。

ニイミユカ
ニイミユカ

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote

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