素人は「暗号資産」に手を出しちゃいけない?
null「ビットコイン」や「イーサリアム」など、インターネット上でやりとりできる財産的価値「暗号資産(仮想通貨)」。今やTVCMでも見かけますし、『メルカリ』では売り上げをこれらに投資することもできます。
ただ、暗号資産は日本円や米ドルといった法定通貨のように、国や中央銀行の“信用”を価値の裏付けとした資産ではありません。それゆえ正体がよくわからず、なんとな〜く怖い……。
よくわからないものに投資初心者が手を出すのは危険ですよね?
「いえいえ、そんなことはありません。というのも、今現在『暗号資産』のプロはいないと言えるからです。上がる理由、下がる理由がわからず、ほぼほぼみんな素人なんですよ。
その中でもビットコインは、何者にも支配されていない資産としての価値が意識されています。金は安全資産で、有事の資産と考えられていますが、暗号資産もそういう位置付けです。どこの政府も支配していないからこそ、何か政治的なリスクがあったときに買われたりします。だから全く持っていないことは機会損失になる可能性も。もし気になるのなら、少し持っていてもいいと思います」(以下「」内、藤川里絵さん)

短期より「長期で積み立て」がおすすめ
nullでは、どのように投資するのがよいのでしょう?
「今は1日1,000円などで積み立てもできるので、ここからはじめてみてはいかがですか。たとえば自分の全資産の5%など、負担にならないレベルで積み立て、それ以降は放ったらかしにしておくのがおすすめ。
というのも、暗号資産は短期的な売り買いで利益を確定するのは難しい。私はビットコインを3〜4年前から1日1,000円で2年ほど積み立て、それ以降は放ったらかしにしていました。一時すごく減りましたが、『ビットコインの価値が上がっている』と聞いて確認してみたら、2024年には3〜4倍の価値になっていましたよ。
買い方は株と同じ。暗号資産取引所などの口座にお金を入れて、買いたい暗号資産を買います。私は積み立てもできる『bitFlyer(ビットフライヤー)』を活用しています」
ちなみに暗号資産は、株よりも利益確定時(売却時)の税金が高くなる可能性もあります。
こう見ると、一概に値上がりしたからといって儲かるというわけではなさそうです。販売所と取引所、どちらで購入するかによっても大きく違うので、事前の予習が必須といえます。
※総合課税・・・各種の所得金額を合計して所得税額を計算するもの
ほかにも気になる投資手段
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リスクを回避するためにも、一つに偏りすぎないように。「分散投資」をするうえで、気になる投資手段はほかにもいろいろあります。
よく聞く「債券」は安全?
中でもよく耳にする「債券」は? 「債券」とは、国や地方公共団体、企業などが、投資家から資金を借り入れるために発行する証書(有価証券)です。投資家は債券を購入することで、発行体から定期的に利子を受け取り、満期日には元本を返還してもらえるというもの。
「人気なのは日本の個人向け国債で、毎月発行されています。中でも『10年変動』とも呼ばれる『個人向け利付国庫債券(変動・10年)』は、金利が変わるともらえる金利も変わります。最低金利は0.05%が保証されていて、1万円から購入でき、発行から1年経過すればいつでも中途換金OK。元本と利子の支払いを日本国政府が行うから、ほぼリスクゼロなのもポイントです。
10年後に学費などまとまったお金が必要、という人にはベストパターンでしょう。ただ、10年後の10万円が現在と同じ価値か?という疑問はありますが、感覚としては銀行預金とほぼ同じです。
『社債』の場合、国内であれば、その企業が潰れなければ安全資産に近いです。ただ『外国債券』は、為替のリスクがあるのであまり得策ではないかも。金利がついても為替で円高になったら、米ドルから日本円に変えるときにマイナスになってしまうので」

え? 国債を買い付けるのに上限があるの?
藤川さんの話を受け、「個人向け国債」が気になった筆者は、取引している『SBI証券』の該当ページにアクセスしてみました。すると、月内は募集を打ち切っているではないですか〜! 確かに「国債」=国が発行する債券で、国が借金をすることを意味しますから、必要な額が集まればそれ以上は必要ないですよね。
銀行からすすめられる「投資信託」は買い?
また「銀行から一方的にすすめられる投資信託も避けたほうがいい」と藤川さんは続けます。
「悲しいかな、銀行からすすめられる銘柄は、投資家ではなく銀行が儲かるものであることがほとんどです。もし勧められたら『あなた(営業担当の人)はこの銘柄を買っていますか?』と聞いてみるといいでしょう。きっと買っていません(笑)」
知識と経験は裏切らない!
null大切なことは、わからないもの、知らないことに手を出さないこと。まずはきちんと調べる。そして、確かな情報のもと投資すること。
「きちんと知識をつけて投資をするのは、日々を豊かにしてくれます。ちょっとずつ知識や経験がついてゆくとおもしろくなりますよ。決して無理せず、負担のない範囲で、身の丈にあった投資を楽しんでみてくださいね」
※本記事はマネーに関する情報を提供しており、斡旋を目的とするものではありません。暗号資産などのご利用・それに伴うやりとりに関しては、個人の責任のもとで行ってください

藤川里絵さん。
【教えてくれた人】
藤川里絵(ふじかわりえ)さん
CFP、株式投資スクール講師、個人投資家。2010年より株式投資をはじめ、主に『会社四季報』を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。負けない投資がモットー。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を、日本中の(とくに数字オンチの)人に広めるため、講演活動、YouTube、オンラインサロンと多岐に活動中。

『ド文系女子の株の達人が教える 世界一楽しい!会社四季報の読み方』
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個人投資家のバイブルともいえる『会社四季報』。ただ、あまりにも膨大な情報が掲載されているため、どう活用すればよいのか、また、どこをチェックすればよいのかわからないという声も多い。そこで、本書では、自他ともに認める四季報マニアで、かつ四季報オンラインの大人気コラムニスト・藤川里絵さんが、推理小説のように謎解きを楽しみながら、かつ株価が上がる会社が見つかる、これまでにない新しい四季報の読み方を解説! !

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote