子どもが絵本の内容を理解していなくても、読み聞かせする意味はあるの?
Q1:2歳の子どもが内容を理解しているかどうか不明です(39歳・その他)
A1:大人が思いもよらない収穫があるのが、絵本の面白いところ!
話せる言葉が少しずつ長くなってきて、パパやママとの会話も増えてきて。だから、なんとなくお話も理解できるのかな……って思ったりもしますが、当然全てを理解できるわけではありません。特に物語を理解するにはあまりにも経験が足りませんよね。だから選ぶ絵本も年齢によって検討した方がいいことは確かです。内容を理解してもらいたいと思ったら、毎日の経験とあわせて読んでいくのがいいでしょう。
例えば、おさんぽが好きな子にはおさんぽのお話を。雨の日には雨がテーマになっているお話を。食事やトイレやお風呂といった生活の話も理解しやすいですね。
でも、内容やストーリーが完全に理解できないからこその楽しみ方もあるのが、絵本の面白いところです。例えば子どもの頃に読んでもらった絵本を思い出すとき、ストーリーは覚えていないけど、強烈に記憶に残っている場面があったりしますよね。それはきっとお話の進み方とは関係なく、その場面が気になって仕方なくてじっと見ていたのでしょう。「美味しそうだなあ」とか「かわいいなあ」とか「怖いなあ」とか思いながら。それも大切な経験だと思うのです。
ですから絵本を読んであげている時、例え内容を理解しているように見えなくても、夢中でながめていたり、声を出して笑っていたり、繰り返しをお願いされたなら、迷わず何回でも読んであげてくださいね! そんな時はきっと、大人が思いもよらない収穫をしているはずです。
Q2:0歳児の頃は読んでも伝わっているのかな?と思っていました(40歳・主婦)
A1:0歳児は「おと」や「しげき」として感覚的に絵本を楽しんでいます。
0歳の赤ちゃんと絵本の関係は、他の年齢の子どもたちとは全く違います。そもそも視線が定まっていませんし、言葉の意味もわかりません。最も感覚的に絵本に接しているとも言えるでしょう。ですから、赤ちゃん絵本はそのように作ってあるものが多くあります。
言葉は「おと」として楽しみますし、色や形は「しげき」として反応します。触感を確かめるために、絵本を触ったり、つかんでみたり、めくってみたりします。そして読んでいるママやパパの声を聞き、表情を観察します。そうやって楽しんでいるのです。
難しいのは、わかりやすい反応をしてくれるとは限らない、ということ。ぼーっとしているように見えて、声や音を楽しんでいることもありますし、ページをめくったり、口に入れるのに夢中になっていることだってあります。絵本を見て笑ってくれたと思ったら、全然反応してくれなかったり。「読んでいる意味なんてあるのかな……」そんな風に思ってしまう気持ちもわかります。
実はそこには答えはありません。本人に聞くわけにもいきませんしね。だけど、よく観察してみてください。確実にその反応に変化があります。お気に入りの言葉の時にだけ笑うとか、ママの顔をじっと見るようになったとか、自分でページをめくるようになった、とか。絵本の内容を理解しながら楽しむようになるのは、その延長線上です。その変化を気長に楽しむ、というのが0歳の子と絵本を楽しむ時のコツかもしれませんね。
今月のおすすめ絵本
小さな子どもだちの感覚を刺激してくれる絵本『いろいろバス』
『いろいろバス』(大日本図書)作/tupera tupera
絵本を楽しむ方法は、言葉だけではありませんよね。小さな子どもたちでも、その感覚を存分に使って味わえる絵本があります。
「うわあ、きれい」「すごい」
絵本をめくって2ページ目、思わず叫んでしまったのはこの言葉。
だって、赤いバスから降りてきたのは、ごろごろ大きな真っ赤なトマト。
驚いている間もなく、今度乗車するのはやっぱり赤い、にゅるりとタコ。
そのビジュアルのインパクトはすごいのです。
ユーモラスなのに、なんだかすごくおしゃれ。惹きつけられます。
「いろいろバス」っていうし、表紙のバスもすごくカッコイイから、てっきり乗り物好きの子のためのマニアックな内容かと思ったら、びっくりの連続!
黄色のバスから降りてきたものはふんわり美味しそうな“あれ”…!?
緑のバスから降りてきたのは伝説の“あの方”で、乗っていったのはゆっさり大きな緑の…。
黒いバスからは想像をはるかに超えたスケールの大きさの彼、乗っていったのは想像もつかないもので…。
ページをめくるたびに意表をつかれすぎて、笑わずにはいられません。
やがてたくさんの乗客を乗せたバスが帰ってきて、間もなく終点!
赤、黄色、緑、黒、ピンク、白、茶色のバスから一斉に降りてくる場面は圧巻です。
気になっていた運転手さんも姿を見せてくれますよ。
今回も、やっぱりtupera tuperaさんには完敗です。
色が大好きになりそうな絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
※ 絵本ナビより引用
繰り返し読みながら、いつの間にか言葉の意味やストーリーも理解していく。そんな風に長く読み続けられる絵本に出会えたら、子どもたちにとっても幸せですよね。
【参考】