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3歳息子に「クリーンヒットした絵本」5つ!繰り返し読んだ、わが家の“激推し”ラインナップ【本日のお気に入り】

「絵本」と一口に言っても、その内容は多種多様。「何度読んでも笑っちゃう本」「悲しい時に寄り添ってくれる本」「シュールでヘンなのにずっと忘れられない本」……子どもにも大人にも、きっと特別な1冊があると思います。

わが家の3歳息子(もうすぐ4歳)も絵本が大好き。毎日寝る前に3冊~6冊、絵本を読むのが習慣なので、年間だとのべ1,000冊以上は読んでいます。(例にもれず、同じ本を繰り返し読みたがるので、1,000「回」以上、というのが正確かも?)

昨年のちょうどこの時期に、「うちの2歳さんが鬼のようにリピートしているとっておき絵本5冊」という記事を書いたのですが、それから1年経って、よく読む絵本も変わってきました。

そこで今回は、うちの3歳さんと一緒に、あらためて最近のとっておき5冊をご紹介させてください。

2歳くらい~小学校入学後まで、幅広い年齢の子が楽しめる絵本ばかりだと思うので、ぜひ探して手に取ってみていただけたら。きっと後悔はさせませんよ!

1:こんな絵本見たことある?『ふんがふんが』

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『ふんがふんが』文:おおなり修司、絵:丸山誠司/絵本館/1,540円(税込)

ゴリラが表紙のこの絵本。文章には、たった5つの平仮名しか使われていません。それは「ふ」「ん」「が」、そして「ー」「っ」

そうなのです。なんと始めから終わりまで「ふんが」の絵本。前代未聞です。

冒頭のテキストをご覧いただきましょう。

「ふんがー」「ふんがふんが ふんが ふんがふんが ふんが」「ふんが ふんが ふんが ふんが」「ふんが?」

ここまででだいたい、本全体の4分の1くらい。この記事の読者にゴリラの方がいたら、きっと、どんな話かよくわかったことでしょう。筆者はゴリラ語に不慣れなので、残念ながらちんぷんかんぷんです。

そんな「全編ゴリラ語」のこの絵本、息子の大のお気に入り。

「ふんが!ふんがっ!って、逃げろ逃げろ、って言ってるんだと思う」「疲れたー!だってさ」(息子)

どうやら彼はゴリラ語がわかるようです。なんなら1人で声に出してゴリラ語を読めます。なんてったって平仮名が5つだけだから、文字を覚えたての3歳さんでも読みやすい。

最近は、通園中に親子でゴリラ語の会話までするようになりました。ことばの壁を軽々超えて、どこまでも。ほんと、前代未聞の絵本です。

2:ちょっと怖い…のその先へ!『やねうらべやのおばけ』

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『やねうらべやのおばけ』作:しおたにまみこ/偕成社/1,320円(税込)

2歳から3歳になって、変わってきたなと思うのが「ちょっと怖い絵本」をよく持ってくるようになったこと。おばけや怪物が出てくる絵本、なんならそこそこホラーなものまで、怖がりながらも喜んで読んでいます。彼いわく、

「おばけは怖いんだけどね、本のおばけは怖くないの」(息子)

とのこと。先日、東京都・立川で開催していた「オバケ?展」に行ってからというもの、より一層、おばけと仲良くなれたようです。

大人はつい「怖い絵本は読ませない方がいいのかな」と思ってしまいがちですが、自分の子どもの頃を思い返すと、ドキドキしながら読んだ絵本ほどずっと大事に心の隅に残っていたりもして。

親と一緒にいる、安心できる環境で読むからこそ、ちょっと怖いところにも冒険できるのかな。だからこそ、「本のおばけは怖くないの」って感じるのかな。……なんて思っています。

なかでも息子が好きな『やねうらべやのおばけ』は、おばけ初心者なお子さんにもぴったり。透き通ってつやつやした可愛い「おばけ」が、「おんなのこ」と遭遇する物語です。

画材は木炭鉛筆と水彩。よく見ると、リアルな陰影や透明感が、無数の細かな点で描かれていることがわかります。(すごい!)

「ちっちゃくなってね、かくれんぼするんだよ。あとね、見えなくなって怖がらせるの!」(息子)

人間はおばけがちょっと怖い。おばけも人間がちょっと怖い。そんな「怖さ」のその先へ、一歩踏み出す勇気をくれる絵本でもあります。

3:これはウケるに決まってます『ボンバルボンのおとどけもの』

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『せかいいちれいぎただしいかいじゅう ボンバルボンのおとどけもの』作:キューライス/小学館/1,540円(税込)

この『せかいいちれいぎただしいかいじゅう ボンバルボンのおとどけもの』は、マクドナルドのハッピーセットの絵本として話題になった『せかいいちれいぎただしいかいじゅう ボンバルボン』の続編。(なんて長いタイトル!笑)

主人公のボンバルボン(以下、ボンちゃん)は、きっちり挨拶もできて、まわりの人にも気が使える、礼儀正しいかいじゅうの男の子です。そんなボンちゃんが、北極に住むおじいちゃんにママ特製ケーキを届けるべく、はじめてのおつかいに!

前作も何度読んだかわからないのですが、続編はまた違った面白さがあるよう。いろんなものを発見しては嬉しそうに教えてくれます。

「いってきます!って言っててね、歯に骨がはさまってるのが好きなの。あと土のなかにね、卵があるのが好き! あとね、一番好きなのはおじいちゃん。あと、あと……」(息子)

息子の言うとおり、この本には子どもも大人もつい笑ってしまうような仕掛けがたくさん。「お気に入りポイント」がまだまだあるんだそうです。

知り合いが訪ねてきて挨拶するときに、「ボンちゃんみたいに大きい声で言えたよ」(息子)なんて言ったりもしていて、親としての視点から、大変ありがたい絵本でもあります(笑)。

4:絵本は自由!どこまでもどこまでも自由!『おはよう』

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(左)『おはよう』作:及川賢治(100%ORANGE)/講談社/1,650円(税込)、(右)絵本を“体感”する雑誌『さがるまーた 2023 VOL.1』3,300円(税込)のふろく版

息子に加えて、筆者自身も絵本が大好きなのですが、「絵本」ってほんとに幅が広くって。

冒険もミステリーも、フィクションも科学も、笑えるのも泣けるのも全部「絵本」。芸術だったり、ナンセンスだったり、堅苦しいラベル分けも取り払って、子どもも大人も引き連れて「自由で新しい世界」を見せてくれます。

そんな絵本たちのなかでも、おそらく飛び抜けて自由な絵本の1つが、この『おはよう』。初めて読んだとき、衝撃を受けました。

私の口からは「ネタバレ」できないので、頼れる3歳さんにご登場いただきましょう。ちなみに彼は、この絵本を読み終わったあとしばらく、不思議そうな顔をして、ぐるぐる本を回しながらじっくりと眺めていました。

「ほんとはこっち向きなのかな? しかくと、さんかくと、まるなの。待ってるんだよね。ここに時計があるんだよね、まあるい時計」(息子)

この絵本は、昨年創刊された「絵本を“体感”する」雑誌『さがるまーた』の第1号に、ふろくとしてついていたもの。話題を呼んで、今年の9月末に書籍化されました。(さがるまーた、絵本の自由さを煮詰めて固まりにしたような、とても“濃ゆい”雑誌です。)

この『おはよう』、ベッドに並んで寝っ転がって読み聞かせるのもおすすめなので、試してみてくださいね。

5:可愛い!楽しい!だけじゃない!!『109ひきの どうぶつかくれんぼ』

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『109ひきの どうぶつかくれんぼ』作:のはなはるか/ひさかたチャイルド/1,540円(税込)

大トリはこちら! 文句なしに楽しい「かくれんぼ絵本」です。

なんてったって、総勢109匹もの動物たちによるかくれんぼ! さがしっこは計221個! 全部見つけたら、親子で「〇〇はどーこだ?」なんてクイズを出し合って遊ぶこともできます。まさに無限。

作者は、『10かいだての おひめさまの おしろ』(PHP研究所)や『パンダツアー』(白泉社)といった「可愛いくて楽しい絵本」が人気の、のはなはるかさん。動物の動きひとつひとつが、カラフルな色づかいが、本当に可愛い!

しかも、「さがしっこ絵本」でありながら「ストーリー絵本」としても面白くって。きっと「やられた~!」って思いますよ。

この絵本についても、うちの3歳さんに感想を聞いたのですが、すぐに「さがしっこ」が始まってしまって好きな理由は聞き出せませんでした(すみません)。

虹のような7種類(7色)のエリアに分かれてかくれんぼをするのですが、息子が特に好きなのは、大小さまざまなキノコのなかで妖精たちが暮らす「むらさきしつげん」なんだそう。

動物たちが水中に隠れる「みずいろみずうみ」もお気に入り。

「この魚がこれでしょー、にんぎょは……いた! 歌ってて、ヤギが聞いてるね~」(息子)

などなど、さがしっこをしながら細部までじっくり「絵を読んで」いるような、そんな楽しみかたをしています。(ひとりでも楽しく遊んでくれるので、料理などで手が離せないときにも助かります。)

筆者自身が好きなのは、最後の方でホッキョクグマがオコジョに「ぼくには おもいつかないことを きみは おもいつくんだなぁ!」と言うシーン。(オコジョの隠れ場所とは、はたして……?)

現実の世界でもこうやって、お互いの「個性」や「選択」をリスペクトしていきたいよね……そんなことまで、109匹との「かくれんぼ」を通して感じることができました。

 

以上、3歳息子のお気に入り絵本5選、いかがでしたか?

絵本を通していろんな「新しいこと」や「わからないこと」に触れるなかで、自分の「好き」が広がったり、それまでと違う「価値観」が自分の中に芽生えたり。あらためて考えれば、それこそが絵本を読む醍醐味で、成長の真っ只中にある子どもが(そして大人も)絵本に惹かれる理由なのかもしれません。

息子の人生においても、きっと「好き」が繋いでくれる出会いや、自分らしい「価値観」が連れて行ってくれる世界が、たくさんあるでしょう。

そんな未来を妄想しつつ、今は親子で「父はこれが好きなんだ! 〇〇はどれが好き?」なんていう会話を、たくさんできたらなと思います。

編集部・関口
編集部・関口

音楽&絵本&甘いものが大好きな、一児の父。文具や猫もとても好き。子育てをするなかで、新しいコトやモノに出会えるのが最近の楽しみ。少女まんがや幼児雑誌の編集を経て、2022年秋から『kufura』に。3歳の息子は、シルバニアファミリーとプラレールを溺愛中。

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