今年は豊漁のブリを炊き込みごはんに!
null富山県を代表するお魚といえば、やっぱりブリだろう。
でもちょっとお高めのお魚なので、なかなか買えないのも事実。ブリよりお手頃な、フクラギ(ブリの幼魚)を食べる事が多い。
でも今年はブリが豊漁で、スーパーにもたくさんのブリが並んでいる。
そんなわけで、久しぶりにブリの切り身を買った。ブリを使ったお料理でまず思い浮かぶのは、ブリ大根。
だけれども、少しアレンジして「ブリと大根の炊き込みご飯」を作ってみた。
大根は小さめのサイコロ状に、大根の葉はザクザク切る。
ブリは30分くらい、醤油・酒・味醂・生姜(手軽にチューブ入りのものを使用)を合わせたタレに漬けこんでおく。
フライパンでサッと焦げ目がつくくらい焼いたら、もうこれだけで美味しそう。
研いだお米に、いつもの水加減に酒・醤油・塩を少々加えて、まずは大根、次に焼き目をつけたブリをのせて炊く。
炊き上がったらすぐに大根の葉っぱを入れて蒸らそうと思っていたのに、すっかり忘れてしまった。
蒸らし終わった後に慌てて投入。
少し硬い状態になったけれど、それはそれでアクセントになったという事にしておこう。
ご飯だけで十分にご馳走だから、お汁はすぐに火が通る具材(エノキと長ネギ)でお味噌汁に。
お漬物と梅干しを添えて、いただきます!
主張の強いブリを大根が優しく受け止めて、その2つの味わいが染みこむ炊き込みご飯。これは美味しい。気持ちに余裕があれば、針生姜をたっぷり散らすといいかも。
生魚は食べられないけれど、お魚そのものは大好きな娘も大満足。ピースをいただいた。
そんな娘は、もう少しで中学校を卒業する。
自分でできる事が増えてきた。もう1人であちこち出かけられるし、わからない事を自分で解決する事もできるようになった。けれど、まだまだ読めない漢字、知らない言葉も多い。もっともっと勉強して経験して、この世界を楽しんでほしい。
この先の高校生活が有意義になるよう、親としてこれからも惜しみなく手助けしていく所存だ。過保護・過干渉になりすぎず、助けを求めてきた時にはいつでも頼れる存在でありたい。
ブリといえば氷見(ひみ)。水産加工会社の今は…
nullさていつもこの連載では、最後に農作業や田んぼの様子を綴っている。
でも今回は、地震の後はじめて訪れた氷見の、とある水産加工会社さんについて書こうと思う。富山でも、ブリといえば氷見だ。
本来なら冬のブリを楽しみに、多くの観光客で賑わう場所でもある。でも今年は、地震の影響を大きく受けて様相が一変した。
能登半島の付け根にある氷見は、富山でも大きな被害があった場所だ。ずっと断水が続いていて、最近になってようやく解消されたばかり。あちこちの家屋にはまだブルーシートがかかり、道路はところどころ通行に注意が必要。
もうあれから2カ月経つのにと、外部の人間は勝手に思ってしまう……。
能登の方を考えたらまだ大丈夫という気持ちもあって、声を上げづらかったという事も聞いている。なかなか気持ちが前向きにならなくて、この先の生活や仕事に向き合えなかったとも。そうだろうと想像できたからこそ、すぐに連絡を取る事をためらい遠慮してしまっていた。
どうしているだろうか大丈夫だろうかと、気に病むばかりの日々。そこへ、加工に必要な米糠(こめぬか)の注文が入った。加工するという段階、状況、心境になったのだと驚き、安堵し、嬉しくなり、いつもは配送業者さんにお願いして届けてもらっている米糠を、自分達で持っていく事にした。
久しぶりにお会いする6代目が、建物内を案内してくださった。
まだまだ片付いていない場所、使えなくなってしまった山積みの物の中で、崩れることなく立派な梁に守られたスペースがあった。すっきり片付けられた場所は、私たちが訪れる前日に、たくさんのボランティアの方々が片付けてくれたそうだ。
この光景を見て6代目は初めて、気持ちが少し前向きになれたと。もう少し頑張ってみようと。
そういう気持ちになったとお話してくれた。
曰く、
「止まっていた時間が少しずつ動きはじめ、背中を押される流れも感じられるようになった」と。
資材が積み上げられた加工所内に光が差し込む光景に、なんだか胸がギュッと締め付けられて、私は思わず6代目をハグしてしまった(注:6代目は女性の方です)。
言葉がうまく出てこなかったからだ。
建物や加工に必要な機械などもダメージを受け、従業員の方も被災され戻ってこられない状況の方も多いとの事。そんな状況なので、これまでずっと作り続けてきた干物などは諦められたそう。
だけれど、「こんか漬け」だけは仕込むと決意された。この辺りの伝統的な保存食「こんか漬け」については、以前のこの連載【娘(14歳)は苦手な「こんか漬け」。富山の発酵食はこんなレシピで】でも書いた。
今だからこそ是非読んでほしいのだが、「こんか漬け」とは、寒の時期に水揚げされ脂がのった魚を塩漬けにして、糠床(ぬかどこ)で半年も熟成させた保存食だ。
この「こんか漬け」に、我が家の米糠を使って仕込んでいただくご縁が数年前から続いている。
その米糠をお持ちして、6代目の決意を直接お伺いした。
「できない理由は山ほどある。だけど、どうやったらできるか考えて考えて心が決まった」との言葉に、
私たちはただただ、樽開きを楽しみにしているとしか言えなかった。
今年の「こんか漬け」は、特別な味になりそうです。
愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係わらず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。黒部の専業米農家『濱田ファーム』はこちら。