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エジプトへの家族旅。娘(15歳)のアラビア語の記憶力に助けられたのが…【お米農家のヨメごはん】

こんにちは!富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・15歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らす。そんな私たちの、食卓周りの日常を皆さんにお伝えする連載121回目。
今回は、4年ぶりの海外旅行でエジプトへ! 帰国して新年早々の大きな地震を経て、今後の生活や仕事について思っている事を書きました。

4年ぶりの家族旅行はエジプトに!

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実に4年ぶり(前回はこの連載でも書いたペルー旅行 )の海外旅行は、長年の憧れだったエジプト。

個人旅行では少し大変なイメージがあったが、実際に訪れてみると、治安はいいしお料理は美味しいし、「ウザイ」とよく称される人々は優しいし(もちろん騙してくる人も多い)。何より、壮大なスケールの遺跡や神殿に圧倒された旅だった。

目の前に、まごう事なき本物のピラミッドがあるのだ。しかも4,500年前からこの地にあるという、途方もない歴史の長さ。

私が小さい頃よく読んでいた漫画の世界が、現実のものとして存在するだなんて。カラフルな色彩にはもう、驚きしかなかった。そんな私の興奮をよそに、最初こそ楽しげだった娘はすぐに、退屈そうな態度になった。

大丈夫、想定内。子どもなんてそんなもんだろう。私はかまわない。私が来たい所に娘を連れてきただけだ。思えば、小さい頃から私に引き連れられて、娘はいろんな国を旅してきた。

日本とは全く異なる文化や風習、人々、宗教、言語、お料理などなど。日本では当たり前のことが、全く当たり前ではない世界。それを体感するだけでもう、十分だと思う。いろんな世界がある。いろんな考え方がある。娘にはそれを感じてほしい。それだけだ。

今回はバックパッカー的な旅だったので、ホステルタイプの宿も多く利用した。

お湯が途中で水に変わったり、鍵がうまく開かなかったり、エアコンから凄まじい音がしたり、何度お願いしてもホテルにリクエストが通らなかったり。世界の安宿ではよくある事だが、娘には驚きだったようだ。

が、すぐ慣れて、笑顔でスルーできるようになっていた。エジプトの大らかさを学んだのかもしれない。英語が役に立たない(現地はアラビア語)事は、ペルー(はスペイン語)と同じ。挨拶と感謝の言葉だけはしっかり現地の言葉で、笑顔で言う。あとは、いかに手振り身振りで伝えるか。目力も大事だろう。

まだまだ英語での会話が得意ではない娘だが、コミュニケーション能力だけは養われている、と思う。

今回の旅では配車サービスのUberをよく使ったのだが、車のナンバープレートまでアラビア語で、これには私も困り果てた。が、娘はすぐにアラビア語の数字を覚えて、ナンバープレートを確認してくれるようになった。

すごい!これはあなたに任せたよ、あなたしかできないからね!と旅の役割を与えたら、娘は嬉しそうな顔で意気揚々と観光し始めた。

今までただ連れまわされていただけの娘が、こんなに能力を発揮してくれるとは。一度覚えたアラビア語の数字、きっとこの先も娘はずっと忘れないだろう。その力がいかされる日がくるかどうか、それはわからないけれど、人生で何事にも無駄はないはず。娘の成長を感じた旅となった。

地震を受けて…富山の米農家として思うこと

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楽しく充実した旅から戻って、新年早々に地震が起きた。

一時は津波の危険があり、この辺りでも多くの人が標高の高い場所へと避難した。

富山県でも、能登半島に近い氷見や高岡は大きな被害があった(この原稿を書いている今も断水など大変な状況の地域もある)。幸い私たちが暮らす黒部では、大きな被害はなかった。

ホッと胸をなでおろしつつ、うまく書き表せないもどかしい気持ちと、何だかよくわからないひけ目。一刻も早く状況が改善される事を、ただ願うばかりの無力感もある。

大変な状況にいらっしゃる方を思いながら、私が今できる事に真摯に向き合う事で、気持ちに折り合いをつける日々。

自分の気持ちをうまく書き表せないけれど、きちんと仕事をして日々の生活をしっかり送り家族や友人まわりの人を大切にする。とりあえず今は、そうやってやり過ごしている。

能登へは何度も訪れている。輪島には大好きな宿もある。何か私たちにできる事があれば、声をあげてほしいし伝えてほしい。今すぐでも落ち着いてからでも。

心がモヤモヤしていたからだろうか、今年はお雑煮がより美味しく感じた。

雑な盛り付けでお恥ずかしい限りだが、これがこの地域の独特なお雑煮だ。具沢山で、焼いてほぐしたお魚やゴボウにニンジン、お豆腐に蒲鉾(かまぼこ)が入った、ほんのり甘い味付け。

なんといっても、富山県ならではのオレンジと青の、色鮮やかな蒲鉾が特徴だ。

県外のお客様には本当に驚かれて、そして喜ばれるぐるぐる蒲鉾(と私は呼んでいる)。

それぞれオレンジとソーダの味がするよ、と伝えると恐々食べる人も多い。が、味は普通の蒲鉾。

今時ではないのだが、人工着色料が使われる事が多い鮮やかさだ。お雑煮はもちろん、うどんや蕎麦、炒飯に入る事もある、食卓に欠かせない存在。

いつかこの蒲鉾を使ったお料理も、この連載で紹介したい。

それができるようになったら私はもう、立派な富山県人かもしれない。

濱田さん一家の『濱田ファーム』ホームページはこちらから。

濱田律子
濱田律子

愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係わらず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。黒部の専業米農家『濱田ファーム』はこちら。

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