長期休みを利用して私たちは、毎年のように旅に出ている。今年はペルーへ。
null油断してるとつい働いてしまうので、努力して休むのだ
休みやすい冬の農閑期は、努めて休みを取るようにしている。
そう、油断するとつい働いてしまうので(笑)、努力をして休むのだ。中でも年末年始は娘も冬休みなので、長期で休みを取りやすい。休みを取り始めた最初の頃は、ドキドキしながら5日間くらいしか休めなかった。休み期間中にお米の問い合わせが入っていたらどうしようと気が気じゃなかった私たちも、今では成長して、平然と2週間ほど休む。
その長期休みを利用して私たちは、毎年のように旅に出ている。
元々旅をこよなく愛する私は、大学卒業後10年暮らしたカナダでも旅行会社で働いていた。時間があればふらりと旅に出る。いや、時間を作って旅に出る。1年の年間スケジュールもまずは旅を基本に考えるくらい、旅が生活の優先順位のかなり上位を占めている。
若い頃は自分の行きたい所へ、どんなに時間がかかっても一番安い手段で、宿はドミトリーを泊まり歩いてと、典型的なバックパッカーだったけれど、齢を重ね、そして家族で旅をするようになり、旅先も自分が行きたい所というよりは家族で楽しめる所を選んで、快適に旅するスタイルへと変化してきた。
家族で楽しめる旅先。つまりは一番年齢の若い娘を優先すべきなわけで、それならプールと海のあるリゾート地が一番なんだけれど、それだけだと私が退屈してくる。だからそこに、世界遺産やその国ならではのアクティビティを組み合わせて、娘も私も満足できるような行き先を心がけている。たとえば、カンボジア(プール+アンコールワット)とかスリランカ(海+シーギリヤロック)とかケニアとか(プール+サファリ)。
今回の旅の行き先は、普段は何も口を挟んでこない旦那さんが、珍しくマチュピチュに行きたいと言ってきたのでペルー。
ペルー、そこは南米だ。遠い……。
遠いという事はそれだけ、航空運賃が高い……。
でも南米、思い切ってこのタイミングで行くのもいいかも。11歳はまだ子供運賃が適応される。この先、中学生になると部活やら子ども同士の約束なんかでもう、親と一緒に旅してくれなくなりそう(それはそれで私はOKだけど!)。
航空運賃の高さは、現地での移動手段(全てバス利用)や宿代、そして全てを自分で手配する事で節約して、家族3人2週間ほどペルーを旅してきた。
息が切れる!お酒が飲めない!
アメリカ経由でペルーに到着した私たちを悩ませたのは、標高の高さとスペイン語。予防策をいろいろ考えてきたものの、最後まで標高の高さには悩まされた。息が切れる。お酒が飲めない!無理しても仕方ないとのんびり観光を心がけた。
スペイン語はもう、全くもってお手上げだった。英語が話せる事なんて、この国ではほとんど意味がない。英語が通じないなら日本語で話しても一緒なわけで、日本語と単語を並べただけのスペイン語と得意のボディランゲージで、自分の思いを伝える。文明の機器スマホ翻訳アプリは最終手段。ほとんど使わない。
最初にちゃんとスペイン語で挨拶して、あとは単語とボディランゲージ、最後に笑顔でグラシアス(スペイン語でありがとう)。これでだいたいの事はちゃんと伝わる。相手も、理解しようとしてくれる。翻訳アプリで伝えるよりも、ずっと楽しい。人と人との心が通じた感があるから嬉しい。
ちゃんと伝わらなくて、例えばレストランで想像していなかったものが出てきたとしても、それはそれで面白いし、旅の思い出が深まる。
娘にも、自分が欲しい物や聞きたい事がある場合は、娘自身でさせるようにしている。
どうせ英語が通じないなら、日本語(しかも富山弁)で話しても一緒。英語力なんて必要ない。流ちょうな英語で話したってここでは伝わらないのだ。大事なのは言語じゃない。伝えたいという思い、コミュニケーション能力なわけで、それは自分の人生を生きていく力だ。
歩くのが遅い娘と一緒の旅、だからこそ……
観光地や世界遺産を回っていると、ただ訪れて写真を撮るだけになりがちの私。旦那さんはもう少し踏み込んで、ちゃんと歴史的背景も知ろうとする。そこに娘が加わると、全く違った歩き方になるから面白い。
娘はとにかく、歩くのが遅い。
私は目的地に向かって(例えばマチュピチュの場合はあの、全景写真を撮れるスポット)歩を進めいくけれど、娘はそこに到達するまでの道のりを楽しむタイプだ。やれ、あそこに日本では見た事がない鳥がいる、足元にイチゴの実がなっている(本当にワイルドベリーがあった)、石を裏返したら大きな虫が出てきた、等々。
私にとってはどうでもいい事そのものが楽しそうだ。周りの人にどんどんどんどん抜かされて行く。私は少しヤキモキして、早く目的地にたどり着きたいと思うんだけれど、時間が許す限り、娘の興味の示す世界を狭めないように努める。私だけ、私と旦那さんだけ、では見えなかったり気づかなかったりした景色を、娘は教えてくれる。子どもがいると世界が広がると感じる事の1つだ。
旅は人との触れあいこそ、すべてだ
nullリマから入って、ナスカやアレキパ、チチカカ湖、クスコにマチュピチュと旅して、旅の終盤戦。クスコ郊外の小さな村チンチェーロに立ち寄ったら、サンデーマーケットが開催されていた。観光客はほとんどいなくて、ローカルの人々が集まる市場。
市場やスーパーが大好き!
きっと皆さんもそうだろうが、私たちも市場やスーパーが大好だ。
日本では見た事がない野菜や果物が並ぶ。ペルーの野菜はどれも力強い美味しさに溢れていて、何を食べても美味しかった。
けど果物は……。野性味あふれる、という表現にしておこうか。
娘が食べたいと自分で買い求めたリンゴは、普段とっても甘いリンゴに慣れ親しんでいる私たちには、なかなか食べづらい。
でも、世界には日本のリンゴが甘すぎると気持ち悪がる人もいるらしい。なるほど、確かに。私たちが欧米のチョコが甘すぎると言っているのと同じかもしれない。
そんな事を感じながら市場での散策を楽しんだ。
食堂のお母さんと目が合った。ただそれだけの理由で座ってみたら……
ローカル食堂も旅の楽しみの1つ。ガイドブックやトリップアドバイザーで予め下調べしておくと間違いないけど、でも、ちょっぴり面白みがないのも事実。
オリャンタイタンボという街をブラブラ歩いていたら、食堂のお母さんと目が合った。ただそれだけの理由で座ってみた、道端のオープンエアな食堂。
メニューはシンプルにスペイン語で書かれた白いボードだけ。想像できない食べ物ばかりだ。予想しながら注文する。
牛肉とトマト、ジャガイモを炒めたペルーの国民食ロモ・サルタードと、トゥルチャという川魚のフライの2皿。どちらもご飯が添えられて出てきた。お料理の美味しさはもちろん、そうでしょう!と言わんばかりのお母さんの嬉しそうな顔、私たち以外のローカルのお客さん皆さんが親切に、こうして食べるんだこれを混ぜろ等いろいろ所作を教えてくれたりと、とっても印象に残る食事になった。
こういう事こそが旅の醍醐味で、実は、こういう事しか思い出に残らなかったりする。
旅は人が全てだ。世界遺産とかインスタ映えとか美味しい現地料理とか、もちろんそういうモノも大事な旅の要素だけれど、人との触れあいこそが、旅の思い出を深くしてくれると思う。
ペルーを家族3人で旅してきて。旅の前と後で、私たちには何も変わった事はない。娘にも、目に見える変化や成長があるわけでもない。旅育という言葉もあるけれど、私は旅にそういったものを求めていない。
その場所に、自分の足で行って自分の目で見て自分の心で感じる。ただそれだけだ。娘にもいつか、自分が行きたいと思う旅先ができて、そこへ自分の足で行けるくらい成長してほしい。
世界は広いけれど、と同時に、世界は狭い。
どこへでも行けるよ、大丈夫。
お正月は、仲間と恒例の餅つき!
nullペルーから帰国したら、私たちを待っていたのは山盛りてんこ盛りの仕事だった。あっという間に日常の世界に戻る。
でも仕事の合間に、毎年恒例の餅つきを気のおけない仲間たちと。巨大な蒸し器に立派な臼と杵。地元産の糯米。とっても贅沢な餅つきを当たり前のようにできる環境が、本当に有難い。
そして、お正月にはやっぱり食べたいお雑煮。
この地域のお雑煮は、ご覧の通り具沢山。濃い目のだし汁に牛蒡や人参、コンニャクに厚揚げ、富山県ならではのオレンジと青の色鮮やかな蒲鉾も入る。さらに、焼いたサバやフクラギ(鰤の幼魚)の身をほぐして入れれば出来上がり。
ほんのり甘いお醤油仕立てのこのお雑煮、郷土色豊かなんだけど、実は何年たっても私は慣れない。……ので、この後にもう一度、自分好みのお雑煮(鶏肉入りの澄まし汁)を作ったのは、ここだけの内緒。
2020年の始まり、また次回から私たちの食卓まわりの日常をお届けしていきたいと思います。
今年もどうぞ、よろしくお願い致します!