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【好き!を育てる絵本】「電車」に対する情熱が、「地理」や「科学」への興味に繋がる!? プレゼントにも

子どもが「好きなもの」への興味を深め、そこから枝葉をのばすように、さまざまなものに好奇心が広がっていく……。そんな出合いを応援するような、「好き!」を大事にした絵本セレクトを、絵本選びのプロ・磯崎園子さん(『絵本ナビ』編集長)に教えていただくシリーズ【子どもの好き!を育てる絵本】。

今回は「電車」が好き!という子に向けた6冊をご紹介します。

「電車」が好きな子に絵本を選ぶなら

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こんにちは、絵本ナビの磯崎です。今回のテーマである「電車」は、子どもから大人まで、多くの人を魅了してやまない存在ですよね。

すでに成人したわが家の息子も、子どものころ、電車が大好きでした。

「プラレール」に親子でハマって、難しいレールの組み方ができるようになったのを見て「天才じゃないかしら!?」なんて思ってみたり、一緒に気になる電車に乗りに行ったり……。一口に「電車」と言っても、人によってさまざまな楽しみかたができるのが、乗りもののいいところ。

今ではもう、息子と話していても電車の話題は出ませんが、あの頃に培った知識はまだ私のなかにバッチリあります(笑)。同時にもちろん、その頃の想い出も。ぜひ、今だけの親子の時間を存分に楽しんでくださいね。

【分類の見かた】

●入門編:もともと「電車」が好きな子はもちろん、はじめの1冊としても楽しめる絵本(目安/1歳~)
●発見編:「電車」が好き!という子が、どんどん読み進めるのにぴったりな絵本(目安/3歳~)
●探求編:ちょっとディープで、「電車」以外の分野にも興味が広がっていくような絵本(目安/5歳~)

【入門編】~新しい「好き」の入り口に~

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●一人旅の心細さも温かさも、全部がここに

『でんしゃにのって』作:とよた かずひこ/アリス館/通常版:1,430円、小型版:880円(ともに税込)

『でんしゃにのって』

小さい子が一人で電車に乗る時の心細さ、ちょっとした乗客同士のやりとり、そして目的地で待っていてくれる人……。そんな一連の“大冒険”をこんなに丁寧に描いている本は、なかなか無いと思います。

最初は「わにだ駅」、次は「くまだ駅」……と続いて、到着するのは「ここだ駅」! そんな言葉の1つひとつが心地いいんですよね。

この本はわが家でも、本当に何度も何度も読みました。子どもをひざに乗せて、「ガタゴトー ガタゴトー」と揺らしながら読むと、臨場感がよりUPしますよ。

●自分の「好き!」も、相手の「好き!」も大事に

『くるまね? でんしゃさ!』作:うちむら たかし/クレヨンハウス/1,870円(税込)

『くるまね? でんしゃさ!』

今日は仲良しの2人でおでかけ。でも……1人は電車で、1人は車で! 横長の絵本をさらに上下に分けた画面で、電車と車、それぞれの道のりが描かれます。

車内の様子や街並みなどの細部まで可愛く、眺めるだけで“電車の旅”と“車の旅”、それぞれの楽しさが伝わってくるよう。

そして2人が到着したのは、おもちゃ屋さん。でも、乗ってきた乗りものじゃなくて、相手の乗りもののおもちゃが気になって……? 自分の好きなものも、相手の好きなものも、どっちも大事にしたいね。好きなものが違ったって仲良くなれるよね。という気持ちになる、優しい絵本です。

【発見編】~もっと「好き」を楽しもう!~

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●絵本と実体験、セットで楽しむのも◎!

『モノレールのたび』作:みねお みつ/福音館書店/1,100円(税込)

『モノレールのたび』

突然ですが、モノレールには車両の下にレールがある「跨座式(こざしき)」と、車両の上にレールがある「懸垂式(けんすいしき)」の2つがあるってご存じですか?

この絵本で描かれているのは、懸垂式の湘南モノレール(神奈川県・「大船駅」~「湘南江の島駅」間)。レールから車両が吊り下げられた構造なので、道との間に遮るものがなく、まるで空を飛んでいるみたい! 独特な風景が楽しめるんです。

そんなモノレールの旅を、細部までリアルに描いたのがこの絵本。読むだけでももちろん楽しいのですが、近くに住んでいる方なら“読んでから実際に乗りに行く”と、さらに楽しさがアップしますよ。

この本に限らず、家から行ける範囲を走る電車の絵本を探して、現実の体験とセットで楽しむのは、“電車絵本ならでは”の楽しみかた。旅行の想い出として、絵本を探すのもいいですね。

●穴が開くほど楽しめる!最新のイチオシ電車絵本

『でんしゃ すきなのどーれ』作:岡本雄司/福音館書店/990円(税込)/2023年12月20日(水)発売予定 ※写真は2021年に「こどものとも年少版」として刊行されたもの

『でんしゃ すきなのどーれ』

こちらは12月20日(水)に発売される新刊。画面いっぱいに並んだ電車たちと、繰り返し出てくる「すきなの どーれ」という言葉。電車好きな子に読むと、好きな電車を指さしながら、びっくりするほど盛り上がります。

図鑑のようでもあり、読み聞かせもできるこの絵本。電車の“顔”や“形”、“色”に“模様”、そして“種類”など、さまざまなポイントに注目しながら展開していきます。さらには、昔の電車と今の電車の比較まで!

絵だからこそ、背景などの余計な情報が無く、じっくり観察・比較できるのも大きな魅力! シンプルで見やすいのに、かつとっても正確なタッチが、電車好きの心をくすぐります。

【探求編】~「好き」が導く!未知の世界~

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●「電車愛」が、いつしか「地図への興味」に…

『せんろはつづく にほんいっしゅう』作:鈴木 まもる/金の星社/1,540円(税込)

『せんろはつづく にほんいっしゅう』

コロナ禍まっただ中の、2021年9月に刊行されたこちらの絵本。日本中の電車が、地図にあわせて所狭しと描かれていて、自分自身が日本をぐるっと一周したような気分が味わえます。

電車が好きな子が、いつしか地理や歴史にも詳しくなることって多いですよね。この本も、興味が広がるいいきっかけになってくれるはず。「電車を乗り継げば、日本を一周できるんだ!」って気づいたら、きっとみんな感動すると思うんです。

ちなみにこちらは、名作『せんろはつづく』のシリーズ4作目。著者の鈴木まもるさんいわく、1作目で「線路を引き」、2作目で「技術を磨き」、3作目で「電車の多様性を描き」……、そしてこの4作目では「それが現実でどう走っているのか」と、一繋がりの流れになっているそう。シリーズで続けて読むのもおすすめです。

●驚くべき密度!マニア垂涎の、知識の宝庫

『乗り物ひみつルポ(1) 新幹線と車両基地』作・絵:モリナガ・ヨウ/あかね書房/1,760円(税込)

『乗り物ひみつルポ(1) 新幹線と車両基地』

『ひみつルポ』というタイトル通り、膨大な取材がないと描けない圧倒的な情報量。読んでいてちょっとでも疑問に思うようなことと、その答えが、ページの隅々までぎっしり書き込まれています。

子ども向けながら決して手を抜かない、あくなき探究心は、まさにルポ絵本の最高峰! 「電車好き」の知識欲が、“ものの仕組み”や“科学”など、どこまでも際限なく広がって行きます。

著者は、模型やミリタリーなど、さまざまなジャンルに造詣の深い漫画家・絵本作家のモリナガ・ヨウさんで、同じシリーズに(2)『消防車とハイパーレスキュー』、(3)『ジェット機と空港・管制塔』もあります。

どの本も、「電車」が好き!という子なら間違いなく喜ぶんじゃないか、という本ばかり。好きなものを入り口に、さらに好きなものが広がって……、その先には、どんな楽しい未来が待っているのでしょう。子どもたちの成長が楽しみですね。

 

撮影/横田紋子(小学館)
構成/kufura編集部

 

磯崎園子
磯崎園子
『絵本ナビ』編集長として、絵本作家さんへのインタビューやおすすめ絵本の紹介、絵本ナビコンテンツページの企画制作などを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。
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