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娘(中3)と一緒に参加の「第九」練習とプラムケーキ作り【お米農家のヨメごはん】

こんにちは! 富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・15歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らす。そんな私たちの、食卓周りの日常を皆さんにお伝えする連載114回目。
今回は、忙しい日々の中でも簡単に作れるオヤツと、今年はほぼ1人で乗り切った!そんな収穫作業の様子をお伝えしたいと思います。

フードプロセッサーを使って、お手軽プルーンケーキ作り

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今頃プルーン?と思われるかもしれないが、 北から南まで長い日本列島なので、地域によって収穫できる農産物の旬は、かなりバラツキがある。

最近はビニールハウス栽培も多いので、本来の季節がいつだかよくわからない野菜・果物が多いかもしれない。 この辺りでは、梨と同じ時期にプルーンが収穫される。

梨も8月から10月までと収穫時期が長いのだが、プルーンの旬は9月下旬くらいまでだろうか。 先日ご近所の直売所に梨を買いに行った際、プルーンも発見。

これが今年最後のストーンフルーツ(大きい種が一つ入っている果実のこと。プルーンのほか、桃や梅、さくらんぼやマンゴーなどがあります)かなぁと思い、一緒に買ってきた。 そのまま食べたら強烈な酸っぱさだったので、冷蔵庫で保管、少し追熟させた。

ところでプルーンは、プラムの種類なんだそう。 プラムはなんと1000種類以上もの種類があり、日本ではスモモがよく知られている。

今回はプルーンを使って、ドイツでよく食べられているプラムケーキを作ってみた。人気童話「大どろぼうホッツェンプロッツ」にも登場する、 クランブルをたっぷりのせたジューシーなケーキだ。

本来はイースト入りの生地に、生のプラムとクランブルをのせて焼くのだとか。 イーストを入れるとなると、発酵させる手間と時間が必要だし、ちょっと手間がかかりそう。 この時期は農作業も事務作業も忙しく、とてもそんな時間はない。 そこでお手軽に、フードプロセッサーを使ってクッキー生地で作る事にした。

サイコロ状にカットして冷やしておいたバターに、 小麦粉やベーキングパウダー、きび砂糖を入れてフードプロセッサーにかける。バターが溶けてしまうとサクッとした仕上がりにならないので、バターを冷やしておくのがポイント。

フードプロセッサーはこういう作業にすごく向いていて、暑い日でも手軽にあっという間に生地を作れる。

スコーンやサブレ、パイ生地などは、フードプロセッサーがないともはや作りたくないくらいの、 お手軽さ。 最後に生クリームも加えたリッチな生地を、型に広げる。

カットしたプルーンは、ついついつまみ食いしたくなる気持ちを押さえ……ず(笑)、つまみながら隙間なく並べていく。 冷蔵庫で熟したプルーンは、皮に多少の酸っぱさが残っていたものの、果肉は優しい味わいに変化していた。

きび砂糖を全体にふって、バターをちぎりながら置いていく。 この2つはケチらずたっぷりと。 絶対に美味しくなるので。

あとはオーブンで、こんがり焼き色がつくまで焼くだけ。 時間と共に、オーブンから甘酸っぱい香りが漂ってくる。部屋中に広がる香りを楽しめるのが、家でのお菓子作りの特権だ。

熱々はもちろん、冷めても美味しいプラムケーキの出来上がり!

たっぷりの生クリームや、冷たいバニラアイスと組み合わせるのがお勧め。けどこの日はシンプルに。

いつか本場のドイツでも、プラムケーキを食べてみたい。その時こそはイースト入りの生地、たっぷりのクランブルがのっているのがいいな。

娘と一緒に、第九に挑戦!

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ドイツにはずっと憧れを抱いていて、大学時代の第二外国語でもドイツ語を学んだ。それなのに今まで訪れる機会が無く、ドイツの文化やお料理にはかなり疎い。

そんな私だが、ドイツの偉大な音楽家ベートーヴェンは大好きで、ピアノ曲もよく弾くし、 何より交響曲を愛してやまない。 特に第九! 去年12月に初めて第九を歌うという機会があり、四苦八苦しながら練習した事については、この連載にも書いた通り(連載・第94回)。

私が練習する様子はもちろん、本番まで見た娘も歌いたいと言うようになり、今年はなんと、母と娘と2人で第九を歌う事になった。

というわけで2人仲良く、とはならず、喧嘩しながらだが、 練習(オンラインレッスン)に励んでいる。

娘と一緒に何かをするという機会は、娘の成長と共にほとんど無くなってきている。だからこそ、一緒に第九を歌うという一大イベントを大事にしたい。

本番は12月、佐渡裕さん指揮だ。パンフレット用の写真も撮って事務局に提出した。 2人でやる気満々、楽しみ!

たった1人での稲刈り…やればできた!

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さて前回に引き続き、収穫作業の様子をお伝えしよう。

今年は例年になく早く始まった稲刈りだったが、雨やら雷やらで思うように作業が進まなかった。なにより、人手の確保がなかなか大変で右往左往。お願いしていた方が急に来れなくなったりして、 最終的には1人で稲刈りをした。

収穫作業というと、コンバインでの稲刈りに光が当たりがちだが、 刈り取った籾(もみ)を運搬する人がいないと始まらない。……始まらないけど1人しかいないので、 コンバインから軽トラに乗り換えて、籾を作業所へ運搬。

乾燥機への張り込みも1人で行う。大きな農家さんからしたら、とても考えられない光景だろうし、私たちもまさか1人で稲刈りができるとは思ってもみなかった。効率はものすごく悪いのだが、とりあえず1人稲刈りは可能だという事がわかった。

大変だったけれど、それは大きな収穫、だと思いたい。

稲刈りと稲刈りの合間には、こうして乾燥調製(籾から籾殻を取り除き玄米の状態にして選別して袋詰め)という作業も並行して行う。 これも大きな農家さんだと、この作業だけをする人がいて稲刈りに集中できるわけだが、うちみたいな小さな農家は、旦那さん1人で行う。

乾燥調製すると大量に出るこの、籾殻の山も片付けなくてはいけない(主に田んぼへ排出)。

稲刈りというのは、単に稲を刈るだけではなくて、その陰で刈り取った籾の運搬、乾燥機の管理、 調整作業、籾殻の排出など、実はたくさんの作業がある。 今年はこの作業をほぼ1人でこなした旦那さん、かなり疲労していた。

人手の確保が今後の我が家の課題だが、同時に、今と同じように米作りを続けていくのはちょっと難しいかなと思わされたりもした……。

そんなほろ苦い秋、この後はひたすら新米お届け作業を楽しみたいと思います!

濱田さん一家の『濱田ファーム』ホームページはこちらから。

濱田律子
濱田律子

愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係わらず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。黒部の専業米農家『濱田ファーム』はこちら。

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