ストレスを抱える子どもにはサインが出ている
null臨床心理士の資格を取り、小・中学校のカウンセラーとして勤務している南先生。進学、クラス替えなど環境が変わる春は、相談に来る子どもも増えるそうです。
「環境の変化や人間関係によってストレスを抱える子どもからは、何らかのサインが出ています」(以下「」内は、南先生)
そのサインとは、たとえば腹痛や頭痛、睡眠が浅く眠れないなど、大人でも起こる身体の不調。また、赤ちゃん返りや、わがままになったり反抗的になったりと、態度や行動に表れることもあるそう。
「元気がないなど明らかに悩んでいる様子があれば分かりやすいのですが、甘えているだけに見えたり、親を困らせるような態度をわざと取っているように見える場合もあるため、注意が必要です」
子どもたちが、自分でセルフケアをできるように…
null「カウンセリングに来る子どもは、自分が本当はどうしたいのか、何につまずいているのかなど、言葉にできないストレスを、無意識のうちに感じています。
ただ、今の日本の学校教育では、頑張ったり協調性を持つことは求められていても、自分を大切にしたり、疲れた時にセルフケアをすることは教えてもらえないのが現状」
そんな子どもたちのケアの一環として、ヨガの呼吸法やポーズを伝えられたら……と思い、趣味のヨガをブラッシュアップし、ヨガ講師の資格を取得したという南先生。
「子どもたちが、ヨガを通じてセルフケアを学ぶことができたら、ストレスを抱えている自分を、まずは受容できるようになるのでは、と思っています」
カウンセリングに来る手前で、自分で自分をケアできるようにする予防教育も、スクールカウンセラーの大切な仕事のひとつ。
今日からできる!お出かけ前の「玄関ヨガ」
null今回は、玄関でもできる、簡単なヨガポーズを教えてもらいました。朝、小学校や保育園に向かう前に、親子で一緒にリラックスする時間をもつことで、緊張もゆるんで良いスタートができそうです。
「この『風に揺れるヤシの木のポーズ』は、実際のカウンセリングの前に行うことも多いポーズ。不安と緊張でいっぱいの子どもが、これを一緒にやることで、表情も自然と和らいでくることが多いんですよ」
【風に揺れるヤシの木のポーズ】
- 足を腰幅に開き、両手は体の横へ。息を吸いながら肩を中心に全身に力を入れて緊張させ、息を吐きながら緩めます。
- 両手を胸の前で組みます。息を吸いながら腕を持ち上げ、天井に向かって伸びます。そのまま息を吐きながら体を右側に倒します。
- また息を吸いながら真ん中に戻り、今度は息を吐きながら左側へ体を倒します。2、3を2~3往復、繰り返しましょう。
- 息を吸って真ん中に戻り、息を吐きながら両手を下ろして終了です。
「まずは、風に揺れるヤシの木のようにゆらゆらと動いてみてください。
不安や緊張を抱えていると、どうしても意識が上半身に向きがち。呼吸も浅く、ネガティブな考えが巡るなど、悪循環を引き起こすことに。
このポーズでは下半身はどっしり安定させて、上半身はなるべく力を抜くようにしましょう。身体の側面を伸ばすことで、息を大きく吸うことができるようになり、呼吸が深くなります。すると、緊張も自然と緩んできます。
自分がラクになるポーズを知っていることは、子どもにとってもきっと、お守りになりますよ」
朝の2〜3分でできる、お手軽な『玄関ヨガ』。親子ですっきり時間を共有して、笑顔で送り出してあげましょう!
(取材・文 / 小野澤 悠)
【プロフィール】
みなみ まい●公認心理師・臨床心理士・ヨガ講師。
学校カウンセラー、自治体での乳幼児健診や子育て支援の相談からキャリアをスタート。趣味のヨガでは、身体が自由になっていく心地よさ、自分と向き合う姿勢にカウンセリングと近いものを感じ、講師の資格も取得。