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大雪で家に閉じ込められた日…「お米」がやっぱり頼りになった!【お米農家のヨメごはん#44】

こんにちは。富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・12歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らしている、そんな私たちの食卓周りの日常を、皆さんにお伝えする連載の44回目。今回は、災害と言ってもいいくらいの大雪で家に閉じ込められた日々、そこで感じたお米の有難さについてお伝えしたいと思います。

雪国の人間でも、今回の雪はなかなか堪えた

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首都圏で緊急事態宣言が発出された頃、日本海側では違う意味での緊急事態に見舞われていた。

雪だ。 雪に慣れている雪国の人間でも、今回の雪はなかなか堪えた。 短い時間にあっという間に降り積もった雪は、私たちの生活や仕事を大きく混乱させた。
朝起きて窓を開けるのが恐怖の日々。今やもう懐かしく感じるけれど、記録としてこちらに残しておいてもいいでしょうか。

防風が吹き荒れた木曜日をなんとかやり過ごし、迎えた金曜日。窓からのぞく景色はモノトーン一色の世界だった。
まずは軽トラにたんまり積もった雪をおろす。 普段あまり雪が降らない、海に近いこの地域でも、50cmは積もっていた。
この時はまだマシだった事をこの後に嫌と言うほど痛感する。

娘の小学校が通常通りなのには驚いた(その後は休校にはなった)。 たくましい雪国の子どもでも、歩くのはかなり困難な状態の歩道。 旦那さんが子どもの頃は、大人を先頭に子供が一列になってラッセルするように進んだそうだが、 今はさすがに皆さん、車で送迎。 我が家もまずは軽トラで、娘を学校へ送り出した。

それから作業所へ。
除雪しながらトラクターを引っ張り出してくる。 作業所も家の敷地もなかなか広い。 人力での除雪にはちょっと無理があって、こうしてトラクターで雪をどかしていく。
それでもすっきり除雪したそばから雪は降り続け、あっという間に元の状態になってしまう。

心が折れる。
それでも除雪しないと後が大変だとわかっているから、黙々とトラクターで、 トラクターが入れないところは人力で、除雪した。

一般道路では除雪車が全く間に合っておらず、道路でスタックする車が多数。
帰宅時間帯はかなり酷かったようで、普段15分ほどのドライブに5時間も6時間もかかった、さらに家まで続く道路が全く除雪されていなくて、辿り着けず、車を乗り捨て夜の雪道を遭難しそうになりながら歩いて帰宅した、という話もたくさん聞いた。

ビニールハウスは、ご覧の通りあっという間に雪に埋もれていった。

トラクターで駆けつけるも、トラクターでさえ雪に足を取られて身動きが取れなくなる。 本当ならハウスの屋根から雪を下したり、ハウスとハウスの間を除雪したりしないと、 雪の重みで倒壊する危険があるのだが、旦那さん1人と非力な私では全く太刀打ちできず。

ハウス内部から単管で補強したり、ストーブを炊いて雪をとかしたり、 無駄かもしれないと思いつつできる事をやった。
ドアが外れたり歪んだりビニールが裂けたりはしたが、 ハウスの支柱そのものは無事だった。

お米は、究極の「保存食」

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さてこの大雪で物流は完全にストップ。いただいていたご注文のお米を発送する事もできなければ、外からの商品も入ってこなくなった。

普段スーパーにお買い物に出る事はほとんどなく、宅配やネットスーパーを利用する事が多い我が家も、注文したものが届かず、野菜や牛乳、卵のない生活がしばらく続いた。

お買い物に出るのは命がけ、出たとしてもスーパーに商品がない状況。 ならば、家にある物でご飯を用意すればいい。
今回の雪は災害級ではあったけれど、電気もガスも問題なかったのが幸いだった。

家にあるものといったら、何を置いてもまずはお米。 毎日食べるものだからあって当然、ついつい有難みが薄れてしまいがちだが、 こういう時はやっぱりお米って究極の保存食だと思う。

炊き立てホカホカのご飯は、除雪で疲れ切った身体には一番のご馳走。
それにアツアツのお味噌汁さえあれば!

メインのように鎮座しているお皿は、お漬物と梅干。 冷凍庫に眠っていた鮭も焼いてお正月残りのイクラを並べたら、もうこれで十分。 牛乳がない、卵がないと不安になったけれど、なければないなりで、これで何日でも乗り切れそうだという自信がわいた。

さて娘は、 久しぶりの大雪にハイテンションで雪と戯れていた。 スキーウェアに着替えようとしたら、去年までのはサイズアウト。 私のウェアを奪われた。もう私より身長も高くなって、私のウェアでさえ少し窮屈そう。

いつか娘と洋服をシェアできるかなと夢見てたけれど、残念ながら、いや、嬉しい事なのかな、それもちょっと難しくなってしまったようだ。

身体はすっかり大人なのに、やる事はまだまだ子ども。 夢中になって穴を掘り続けカマクラもどきを作って楽しそうで、 その様子に私も笑顔になった。

雪と遊んだ後は、小豆からコトコト炊いたお善哉でほっこり暖まる。

そうそう、小豆も大豆もまだまだ保管してある。こういう乾物は非常時にも心強いという事も実感したし、ちょっとした食料の整理にもなった。 大雪も悪い事ではない。 と思うようにしないとやりきれないので、そう思うようにする。

雪が落ち着いたら今度は、屋根から落ちてくる雪に悩まされる。

この雪の重みで亡くなる方が後を絶たないから、十分に気をつけなくてはいけない。 こんなに積もったのだから仕方ない、作業所の屋根はすっかり歪んでしまった。 今は次の大雪に備えて補強をする日々です!


濱田律子

愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係らず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。

濱田ファームのHPはこちらから。

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