ナメコが繋いでくれる、1年に1度の秋のご挨拶
null山で採れたナメコは、スーパーで買う物と名前こそ同じだけれど、別物だと思う。
大きさも香りもプルンプルン具合も格別。有り難い、この時期だけのご馳走だ。
富山は、海の幸のイメージを強くもたれがちだが、実は山もすぐそこ。立山をはじめとする北アルプスはとても身近な存在で、春は山菜、秋はキノコを求めて皆さん、山に入っていく。
毎年この天然ナメコを届けて下さるのは、農家の先輩。いつもニコニコ笑顔で届けていただくのだが、受け取る私たちもニコニコの笑顔になる。1年に1回の、ナメコが繋いでくれる秋のご挨拶。
天然ナメコの唯一の難点は、下処理がとにかく大変なこと。
山で育ったナメコだから、当たり前だけれどたくさんの木の屑や枯葉が付着している。ジクも硬くて食べられないので長めに切り落としていく必要がある。何度も何度も水を変えながら、1つひとつ根気よく丁寧に下処理をしていく。
好きなクラシック音楽(今はバッハのゴルトベルク変奏曲に夢中!)を聞きながら作業すれば、夢中になって楽しめる。季節ごとの、田舎暮らしの醍醐味かもしれない。
下処理したナメコはもう、プルンプルン具合が光り輝いて、とても美しい。
さてこれを、どうやっていただこうかと考えるけれど、今年もやっぱりナメコ汁になった。定番だけど間違いない味。
その時に冷蔵庫にあるお野菜やお豆腐を入れて、味噌で味を調えるだけ。なんの料理のコツもない。素材がいいからそのまま炊くだけだ。
娘はこの、天然ナメコが苦手なようだ。
普通の小ぶりのナメコは好きなのに、自然の野生のナメコは気持ちが悪いらしい。まだまだ子どもだ。ならば仕方ないとばかりに、大人だけで嬉々としていただく。
その娘が最近よくピアノに向かっている。
前は声がけしないと練習しなかったのに、今は自ら進んで、時間があって気が向くと1日何回でもピアノの前にいる。ピアノの先生から出される課題曲は相変わらず練習しないのに、自分が弾きたい曲は別だ。
私の全く知らないアニメの主題歌や人気グループの曲を、耳コピで弾こうとしたり、YouTubeで公開されている動画(楽譜が読めなくても弾けるようになっている)を見ては、楽しそうに弾いている。
ピアノをずっと好きでいてほしいから、ピアノの練習をしなさいとはできるだけ言わないようにしてきた。
私が子どもの頃、母親からよく練習を強要された嫌な思い出があるからだ。
弾きたくないバッハ(今は大好きなのに!!)を無理やり先生から弾かされてピアノを嫌いにもなった。娘には、こんな思いをしてほしくない。だから、娘の好きなように弾かせている。
そういえば、1年に1回お願いしている調律の直後のピアノに向かった娘は、「すごーーーい!」と目を輝かせていた。私にはよくわからないピアノ調律後の音色も、娘には全く違って聞こえるようだ。
素晴らしい耳と心を持っているんだなぁと感心してしまう。
ピアノ教室では今、ブルグミュラー練習曲を弾いている。
娘の真新しい赤い本と私がかつて使っていた青い本。私が弾いた曲を娘も弾いているのは、なんだか感慨深い。
そして、いま私が弾いている曲(やっぱりバッハ!)を娘も弾こうとして、遊びで鍵盤を押さえている。
いつか弾けるといいね。
今は連弾もしていないけれど、またいつか一緒にピアノを弾こう。
そうそう、あなたが弾きたがっているモーツァルト2台のピアノのためのソナタ、なんてどうだろう。
お互いかなり練習しなくてはいけないけれど、いつかの楽しみがあるのは、
お母さん、とても嬉しいな。
田んぼでは「秋起こし」がはじまりました
nullさて田んぼでは、秋起こしという作業がようやく始まった。
秋、というよりはもう、冬がすぐそこまで来てしまっているけれど、誰が何と言おうとこれは、秋起こしだ。先月まで田んぼにずっと堆肥をまいていたので、今度はこの堆肥を土に漉き込みながらトラクターで起こしていく。
少しづつ日本海側特有の冬の天候になってきていて、低く黒い雲が空を覆い、雷はゴロゴロ風はビュービュー。
もうすぐで雪も降り始める。
そんな中での農作業だが、トラクターなら全く問題ない。キャビン付きで暖房完備。ラジオだってあるから快適に作業ができる。はず。
雪が降る前までに秋起こしを終わらせようと、毎日せっせと田んぼで作業する日々、
もう少し続きます!
濱田律子
愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係らず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。濱田ファームのHPはこちらから。