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反抗期で気持ちが揺れ動いてる娘(12歳)。大人げなく怒ってしまう日もあるけれど…【お米農家のヨメごはん#37】

こんにちは。富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・12歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らしている、そんな私たちの食卓周りの日常を、皆さんにお伝えする連載の37回目。
今回は、味見と称して一足お先にいただきました!新米で作る栗ごはんと、稲刈りのその先にある、あまり一般に知られていない農作業についてお伝えしたいと思います。

米農家の特権!ひと足先に、新米を味わいました

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稲刈りはまだ続いている(この原稿を書いているのは9月末)。

稲刈りが続いているという事は、乾燥調製という、稲刈りの先にあるあまり知られていない農作業もあるわけで、これが終わらないと新米をお届けする事ができない。 できないんだけれど、農家の特権!ひと足お先に、味見と称して新米をいただく。

新米がツヤツヤ&ピカピカ輝いている様は、見てるだけで幸せな気分になれる。 さて、これをどうやって食べるのが一番美味しく、そして新米の魅力を損なうことなく味わえるだろう。 一番のお勧めは、なんといっても塩むすび。 新米の瑞々しい甘さを味わうなら、これが最強だと信じている。去年のこの時期の連載(『新米は「すだちゴハン」で【お米農家のヨメごはん#13】』)でも紹介した、すだちゴハンも捨てがたい。 けれど今年は、ちょうど知り合いの農家さんから栗を譲っていただいたので、栗ごはんで楽しむことにした。

この皮むき器は『諏訪田製作所 栗の皮むき鋏 栗くり坊主II 』ネット通販で2,500円くらいでした。

栗にはもれなく、栗の皮むきという大変な作業がついてくる。
イガがないだけでも有難いけれど、外側の硬い鬼皮、そして内側の薄い渋皮をむいて、中の黄色い種の部分を取り出すまでが大変な労力。

昔は一晩かけて水に漬けて柔らかくしてから、指が痛いと嘆きながら包丁でむいたものだ。そこまでしてでも食べたいと思う食いしん坊の私でも、徐々に億劫になってきていた。ところが最近は、こんな栗の皮むき専用の便利グッズがあって、水に漬けなくてもスイスイ皮がむけてしまう。

しかも、手が滑って指が切れるという危険性も低い。普段ほとんど便利グッズに見向きもしない私だが、これはもう、手放せないくらい愛用している。

珍しく娘が手伝ってくれた。そう、子どもでも簡単にできる上に、皮むきの感触がちょっと面白いのだ。

もしや…娘が反抗期というやつではないか!!

最近なにかと口答えをするようになった娘。口答えどころか、嫌味を言ったり無視したり可愛くない態度をとるようになったり。私が言う事うすべてに言い返してくる。

ふと、気づいた。これはもしや、反抗期というやつではないかと。

最近は、反抗期がない子どもも多いそうだが、娘はわかりやすい成長をしているようだ。 そう、成長なのだ、これは。 すごくすごく苛立つけれど、どうやらまたひとつ、大人の階段を上っているらしい。 反抗期だとわかると少しは私の気持ちの落としどころもあるけど、でもやっぱりイライラする。そしてカッとなって短絡的に怒ったり、意地悪して娘の分だけ洗濯しなかったり……(苦笑)。

書いていてもう恥ずかしくなるくらい、わたし、大人げない……。

でも私だって(30年以上前に自分自身も反抗期ではあったけれど)反抗期の子どもに接する親という立場は初めてなのだ。初めてだからどう接すればいいのかわからないし、私自身もまたひとつ親として成長するチャンスをもらっているんだろうけれど、そんな冷静にひとつひとつ対処できない。

すぐに怒ってしまう。怒り散らしている……。

売り言葉に買い言葉ですぐにカッとなるから、口をきかない。 ずっと一緒にいてもお互いの時間がむしばまれるだけなので、少し距離を取るようにしている。

最近はお出かけにもついてこなくなったので、これ幸いとばかりに娘が行きたがらない美術館に行ってゆっくりとした時間を満喫したり、子どもとは見れなさそうな内容の映画を見たり、大人だけで夜の街へ飲みに出たり。

子どもは親のいない世界でこそ育つと聞いたことがある。 娘はそんな年頃になったようだ。 寂しくも嬉しい、嬉しくも寂しい。

そんな今年の栗ごはん作りになった。

ゴロゴロッと栗だくさんの栗ごはんが炊き上がった!

新米と栗と、それぞれの味わいをしっかりと受け止めたいから、味付けは極々シンプルにお塩だけ、お米3合に対して小さじ1のみ。
ちょっと物足りないかなというくらいにすると、 五感で素材を味わいにいこうとする力が引き出される気がする。 秋はそんな、五感を磨く季節かもしれない。

娘の塾へ行く時のお弁当にも、栗ごはんを詰めた。
娘はたしかに反抗期に突入しているみたいだけれど、でも時にギュッと抱きしめてきたり、手をつなぎたがったり、「今から友達と出かけてきていい?」とちゃんと私に許可を求めたり、 まだまだ当たり前だけれど、12歳の可愛い子どもなのだ。

甘えたい時といちいち反抗したい時と。 シーソーのように揺れている彼女の心をの動きをちゃんと受け止めたいな。 そういう気持ちで、お弁当を娘に手渡した。

最後に栗のリゾットも。

これは新米ではなく、逆に古いお米の方が美味しくできると思う。 オリーブオイルで玉ねぎを炒めたら、洗っていないお米をそのまま投入。 生栗も入れたらあとは、お湯を注ぎながらお好みの硬さになるまで10~15分、ひたすら混ぜるだけ。
味付けは塩胡椒のみ。米1合で2人分くらいできる。 ロゼのスパークリングと合わせてみたら、ちょっと華やかな食卓になった。

稲刈りからお米を出荷するまでには、こんなにたくさんの工程が!

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さてさて農作業はというと。

田んぼで刈り取られた籾(もみ)が次から次へと作業所に運ばれてきては、 巨大な乾燥機に入っていく。そして一晩かけてゆっくりと、貯蔵に適した水分量に乾燥していく。

乾燥した籾は、 籾殻(もみがら)を取り除く籾摺り(もみすり)という工程を経て、茶色いお米=玄米の状態になる。ここからたくさんの選別機に通されて、未熟な粒や虫食いの黒い斑点がある粒がはじかれて、綺麗な玄米だけに選別されていく。

写真ではお伝え出来ないが、ものすごい音と埃。とても米作りをしているとは思えない作業だ。

そして袋詰め。 この一連の行程を乾燥調製という。

稲刈りと同時進行の大事な作業だ。稲刈りは、田植えと同様に一般的には米作りの一大イベントであり、華やかな晴れ舞台のような農作業。ただ、それだけではお米にはならない。

実際には稲刈り以外の一般的にはあまり知られていない、地味で地道な作業の積み重ねを経て、ようやく「お米」になる。

米袋や、1トンのお米を入れる事ができる大きな大きなフレコンと呼ばれる袋に詰めて、こうして積み上げたら次の行程、農産物検査へ。

稲刈り→乾燥→籾摺り→袋詰めという作業を経て、そして検査を受けて、やっと出荷という運びになる。 稲刈りしたらすぐに新米お届け、とならないのは、 一般の方が知らないこんなたくさんの作業が必要だから。

さていよいよ、農産物検査をして新米出荷の季節だ。

今年もわたしたちの『濱田ファーム』に、全国のたくさんの方からご予約・ご注文をいただきました! 新米を楽しみにお待ちいただいて、とっても嬉しいです!!

ありがとうございます!!!


濱田律子

愛知県生まれ、千葉(スイカの名産地・富里)育ち。大学卒業後カナダへ。バンクーバー、カムループス、バンフと移り住み、10年間現地の旅行会社で働く。カナダの永住権を取得したにも係らず、見ず知らずの富山県黒部市で農家に転身。米作りをしながら、旦那とココ(娘)と3人で日々の暮らしを楽しんでいます。

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