子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

「桃が甘くない」そんな年は、料理で愉しむ。農作物は工業製品ではないのだから…【お米農家のヨメごはん#33】

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE

こんにちは。富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・12歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らしている、そんな私たちの食卓周りの日常を、皆さんにお伝えする連載の33回目。
天候不順だったからこそ有難く感じる農産物。今回は、今が旬の桃のこと、そして早くも始まった稲刈り準備についてお伝えしたいと思います。

野菜の値段が高騰している、というけれど……

今年の梅雨は長かった。 長雨と日照不足の影響で野菜の価格が高騰しているという報道を目にするけれど、 でも、農家目線で見るとどうしてもその価格は、高いようには思えない。

農産物が安く売られているのを見ると、嬉しいと思う事はなくて、 この価格で大丈夫なんだろうか……、と、心を痛める自分がいる。 生活者でもあるけれど、私は農家だから、どうしても農家側から物事を見てしまう。

長い日数をかけて育てた野菜、1年に1回しか収穫できない果物やお米。天候不順で収穫量が下がったり思うような味にならなかったり。

栽培技術の不足もあるかもしれないけれど、でもやっぱり、天候で大きく左右されるのが農産物だ。毎年まったく同じような形にも味にもならない。当たり前の事なのに、当たり前が通用しないのが流通の世界なのかもしれない。

少し形がいびつなだけで選別され、味は糖度という甘さ第一主義の物差しで計られる。

生活者の方の何気ない、今年はあまり美味しくないねという言葉に、農家がどれだけ傷つくか。

甘さがのってない桃は、「桃料理」を試す、いい機会

この辺りでは桃の栽培も盛んで、ほとんどは軒先販売される。流通にのらず農家さんの軒先で直売されていて、まさに地産地消だ。

先日、桃農家さんから桃を買わせていただいた際、申し訳なさそうに「今年はあまり甘さがのっていない」と説明があった。長かった梅雨が影響して割れて売り物にならなかったり、害虫の発生も多かったりで、販売できる桃もあまりないと寂しそうにされていた。

確かに、そのままいただくにはちょっと甘さが物足らない。味に正直で贅沢な娘は、全く食べようとしない。それならばと、桃をお料理してみることにした。いつもならばそのままいただいてしまうけれど、今年は桃のお料理に挑戦できる絶好の機会だと思考を変えてみる。

【桃のコンポート】

まずはコンポートから。

皮のまま、半分に割って種を取り除いた桃を鍋に並べて、水・砂糖・白ワイン・レモン汁で10分ほど火を通すだけ。

冷やしてそのまま汁ごといただいても、暑い日は炭酸を足してシュワッとさせても、朝ごはんにはヨーグルトに添えてと、いろいろ楽しめる。

娘もすごい勢いで食べる食べる!

【桃のアイスティー】

次に桃のアイスティー。

8つ割りにして皮をむいた桃に、濃いめ、そして甘めにいれた紅茶を注いで冷やすだけ。レモンとミントを添えると爽やかに。

桃ごと食べるというか飲むので、食べごたえ飲みごたえ満天のアイスティーになった。

【桃のアールグレイマリネ】

こちらは桃のアールグレイマリネ。

数年前からSNSでよく見かけていたお洒落な一品。細かく挽いたアールグレイの茶葉と、ほんの少しの砂糖をまぶして冷蔵庫で冷やすだけ。マスカルポーネを添えるのがまたいい。

娘はおやつ代わりに、私と旦那さんはワインのお供にと、ものすごい勢いで食べた。

もうすでに何度か作ったけれど、あともう23回は楽しみたい!

【桃モッツァレラと生ハム】

最後に桃モッツアレラと生ハム。こちらもここ数年あちこちで見かける。

一番大変なのは桃を切る事で、あとは生ハムとモッツアレラを適当にちぎって、オリーブオイルと塩コショウをかけるだけ。レモン汁もあうし、タイムを添えてもグッと気分が上がる。

暑い時期によく冷えた白ワインと一緒にいただくと、まるで、地中海でも旅している気分になれる!(行った事はないけれど)

あまり甘くない桃だったからこそ、いつものようにそのまま食べるのではなくて、こうしていろいろお料理していただく楽しみを知れた。

どれも簡単で手軽、それでいて、桃ならではの見た目がいきる一品になる。

そういう年があってもいいと思う。農産物は工場製品ではないのだから。

1年に数日しか使わないのにとても高価……農機具事情

さて農作業の方はというと、ずっと雨続きで外での作業ができなかったので、代わりに作業所内で稲刈り準備をせっせと進めていた。

9月に入ったらすぐに稲刈りだ。スムーズに稲刈りできるよう、準備を万端に整えておく。

稲刈りそのものは、コンバインや刈り取った籾(もみ)を貯蔵するタンクの準備くらいだけれど、稲刈りした後、籾を乾燥させて玄米の状態にするまでには、書ききれない程たくさんの農機具を使用する。

その中でも一番の大物が、乾燥機。大きくて背も高い乾燥機が、我が家には4台ある。

新品で購入すると数百万するので、どれも中古品。近くの農家さんで、もう米作りをやめた方から譲り受けたものばかりだ。

この乾燥機は、いや乾燥機も、1年に1回、わずか数日しか使わない。米作りの過程で使用する数多くの農機具の多くがそんなものばかりだから、新品で購入せず中古を使うように努めている。

農機具を買えないから農家をやめたという冗談みたいな話は、農業の世界では比較的よく聞く話だし、農機具を買うよりこの先の一生分のお米をスーパーで買った方がよっぽど安いというのも農家の常識。

それくらい農機具は高価。それでいて1年に1回しか使わないのだから文句も言いたくなる。

不平不満をここで述べても仕方ないので、やるべき事を黙々と。使う前にしっかり掃除、そして整備していく。

さぁ、雨続きで作業所にこもって黙々と作業していた7月から一転、8月はお天気が良く気温も高い日が続いている。

遅れていた出穂(しゅっすい=稲から穂が出てくる事)の時期を迎え、もう少しで稲の花も咲きそうです!

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
kufura members募集中
連載・特集
人気の記事