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宅配食材のこんなパスタが、多忙な日の私を救ってくれる【お米農家のヨメごはん#26】

こんにちは。富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・11歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らしている、そんな私たちの食卓周りの日常を、皆さんにお伝えする連載の26回目。
1年で最も忙しい農繁期を迎えている我が家。5月5日ごろから始まる田植えに向けて、早朝から夜遅くまで農作業があるのでどこにも出かけらない日々が続いています。今回は、宅配で届く食材でやりくりをするパスタ尽くしの食卓。
そして、春作業の中でも大きなイベントの播種(はしゅ=種まき)作業について、お伝えしていこうと思います。

娘(11歳)が生まれてから、食材は宅配(生協)のお世話になってます

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我が家は、もともとスーパーで買い物をする事がほとんどない。 娘が生まれてからずっと、生協の宅配や通販を利用して食材を調達している。

首の座らない赤ちゃんでも、イヤイヤ期で暴れまわる小さい子どもでも、子どもと一緒にお買い物に出かけるという事は、恐ろしく手間がかかり大変な行為だ。

車で出かけるのはもちろん、チャイルドシートに載せて、 着いたら今度は子どもが座れるカートを探して、 モタモタしていると泣き始めたりおむつ交換が必要だったりと、 お買い物だけでもう、汗だく、ぐったり、疲れ果てたりした事があった。

それならと始めた生協の宅配。 注文してから届くまでタイムラグがあったり、割高だったり、欲しいものが絶対に手に入るというわけではなかったり、不便はもちろんある。 あるけれど、でもそんなの、子連れ買い物に比べたら全く問題にならない。

牛乳もお肉も新鮮だし、お野菜も地元産が多かったり、冷凍食品もなかなか美味しいし、時に全国の美味しいお菓子が紹介されていたりする楽しみもあったり。

スーパーのお買い得品と比べると価格は高いけれど、チラシを見比べて安いものを買い求めに出かけたのに、ついでに余分なものまで買ってしまう誘惑にどうしても勝てないタイプの私には、 実は1週間分の食材をまとめて宅配で買ってしまうという方が、 節約できるという利点もあった。

多忙な日の食事作りは「パスタ」に救われている

買うものはだいたい決まっている。

牛乳や卵、パンといった毎日食べるものに、玉ねぎ・人参・ジャガイモのなどの定番野菜、それにトマトやレタスに季節野菜も加えて。あとは納豆やお魚、お肉、お菓子、冷凍食品などなど。

もう何年も利用しているので買うものにほぼ迷いはない。だから、時間も節約できる。 食材が乏しくなる後半は、あるもので何とかする工夫もできるようになった。

そんな中で私がよく作るのがパスタだ。 スパゲッティやマカロニなど、いろんなパスタを常備しておく。

玉ねぎやベーコンを軸にして、その時にあるお野菜、 例えばシメジ、パプリカ、キャベツなどをとりあえずオリーブオイルとニンニクで炒めて、 お酒やワインで風味を付けて。

そこに気分に任せてトマト缶(今は缶詰ではなく紙パックになって便利になった!)を投入してトマトソースにしたり、牛乳、あれば生クリームと半々にしたクリームソースにしたり、お醤油を入れて和風ソース、シンプルにペペロンチーノと、 いろんな味わいを楽しんでいる。

これは冷凍のエビとマカロニでクリームソースに仕立てて、鍋ごとドーンとテーブルに。 あまりにも大量に作ったので、 翌日は小分けして、上にパン粉とチーズをのせてトースターで焼いてグラタンにした。

春になるとこの辺りでは山菜をよくお裾分けでいただく。この時は、アマナという山菜とタケノコで、あっさりペペロンチーノにしてみた。

トマトソースでもクリームソースでもそうだけど、特にペペロンチーノは乳化が大事、だと思う。 固めに茹でたパスタをソースに投入したら、 その中でパスタを柔らかく仕上げていく気持ちでしっかり目に火を入れる。 と、パスタもいい感じの柔らかさになるし、難しい乳化もなんとなくうまくいってるような気がする。

もう1つポイントがあるとしたら、パスタにあらかじめ塩味をつける気持ちで、強めに塩を入れてパスタを茹でる事。乳化とパスタに塩味をつける事。 この2つだけ気を付ければ美味しいパスタになると思う。

これは我が家の定番、ベーコンと玉ねぎ、シメジをトマトソースに仕立てて鍋ごと食卓へ。

あるもので作れる事、その時の気分で味わいを変えられる事、手間がかからない事、洗い物も少ない事、何より美味しくて家族みんなが大好きな事。 パスタ料理は忙しい日々の私を救ってくれる、大切なメニューだ。

意外とインドア派だった娘は、毎日楽しみを見つけて満喫中

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さて、学校がずーっととお休みの娘。 不登校とかいじめられているとかでは全くないけれど、でも、学校がすごく好きというわけではないようで、 学校に行かなくてもいい今の日々をとても楽しんでいる。

こうなって初めて親の私も気づいたが、元々インドア派だったようで、 家で1人でいても何かしら楽しみを見つけて過ごしている。

ゲーム機はない。テレビを見る習慣もほとんどない。 そんな我が家で、娘は宿題をすることもあるようだけれど、 そのほとんどの時間を今は折り紙に割いているようだ。 折り紙を小さく切って折って、そして組み合わせて1つの形を作り上げていく、 ユニット折り紙とやらに夢中だ。

何かに夢中になれるのは、素晴らしい事だと思う。

たとえ着替えもせず髪の毛がボサボサだったとしても、 今は娘が夢中になっている事を邪魔しないよう、最低限の事をしていたらあとは、折り紙をさせようと思う。

本当は、部屋の掃除しなさい!とかピアノ弾きなさい!と言いたいし、言ってしまってもいるけれど、理想はここで書いた通りだ。 書くことで自分の気持ちに折り合いをつけている……。

米作りは、春の一大イベント播種(はしゅ=種まき)を終えました

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 さて、米作りの方は春作業の一大イベントの播種(はしゅ=種まき)を2回、無事に終えた。

作業所の中で行われる作業なので、あまり一般の方には馴染みがないかもしれないが、広い場所を使って、大量の土や水・苗箱などの資材が必要で、さらにはたくさんの方にお手伝いに来ていただいてと、なかなか大がかりな作業。

だから、本番当日はもちろん、その準備も大変だ。 そんな大事な、大変な、大切な作業なのに、年にたったの2回だけ。 あれ、これはどうだったかな、去年はどうしていたかな、という事にならないよう、 これまでのノウハウやデータを蓄積して可視化するようにして、 さらには改善点を皆で出し合い、試してみる。 農業のこんな世界にも、PDCAが回っていたりする。

これまでも時々、気分まかせや遊び半分で農作業をしていた娘は、今年は自らお手伝いを志願。

米作りという、日本人の主食を生産する現場を体験したいという崇高な目的では全くなく、 お小遣い目当てだ。でもそれはそれでいいと思う。遊びではない、真剣な現場に、子どもとはいえ1人ちゃんと仕事を任せられて責任を負う。 そんな場所に身を置く経験もまた、娘を大きく成長させてくれるだろう。

真剣な目つきで作業をしている娘を、親として誇らしく思った、そんな今年の播種でした。

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